7 / 11
変身しちゃってどうしよう……。
しおりを挟む
野村君の言う通りにして「変身!」と叫んだ私は光に包まれ……、変身したんだけど……。
……やっぱり──なんだかとっても恥ずかしい姿になっていた。
「……あ、あの……これ、露出多すぎじゃない……かな?」
その姿は、水着みたいな露出度で……。
……まあ厳密に言うと、手袋とかブーツとかを付けている分だけ水着より露出度は少ないといえるのだろうけど……いや、そこは別に見せても構わないし……。
というか、さっきまでの野村君が着ていた変身していた姿では、ヘルメットのような感じで覆われてて、地肌が出てたのは口とおでこの部分くらいって感じだったのに、どうして私の頭の部分には耳当てにバイザー付いてるだけなの? ってか、これじゃあ顔がバレバレじゃない!?
おへそなんかも丸出しだし……うーん、ご飯食べた後にこの格好はしたくないなぁ……っていうか、太っちゃったりしたら即バレだ……。
という感じで、『この服、胸しか守る気ないんじゃない?』という謎デザインにあたふたしていると、察しの良い野村君は言った。
「大丈夫、そのスーツは俺のやつよりも高性能だ。一見、肌が露出しているように見える部分も目には見えないシールド効果で覆われているから……」
「というか、目に見えるシールド効果で覆ってください!」
野村君は年頃な女の子の気持ちは察してはくれていないようだったので、私はめずらしくツッコミを入れてしまった。
「……それは、そいつを作ったオッサンに言ってくれ」
「え……?」
戸惑う私にはお構いなしに、野村君は心持ち項垂れながら独り呟く。
「……最近、俺のスーツの調子が悪いから新しいのを作ってくれって頼んだら、そんなのを作りやがって……。リングにハートマークなんて付いてるから怪しいと思ったんだよ……。やっぱり、俺が使わなくてよかった……」
「あ……あのー。私は、実験台?」
……まあ、確かにこの衣装を着た野村君は見たくはないけど……。というか、もし野村君が今私の着ている方の姿で現れていたとしたら、さすがにもう愛せなくなっていたかも……。
「でも今、君が助かるにはそれしかない……。そのスーツを装着していれば、元の何倍ものパワーと運動能力が発揮される……ハズだ」
野村君は、背中の痛みに表情をゆがめながらそう説明してくれた。
なんだか私は、この話の流れはなんだかヤバそうだと思っていたんだけど、それに続く言葉は、私の想像した言葉じゃなかった。
「……その力で、君は逃げられるよ」
「……え?」
私は戸惑ってしまう。
だって、てっきり私は「その力であいつと戦ってくれ」なんて言われるんだと思っていたから……。
「早く逃げろ!」
野村君は力を振り絞るように私にそう叫ぶ。
……で、でも……
「そ、それじゃあ、野村君はどうなるの?」
「さあね……。それはあいつに訊いてくれ……」
野村君はそう言うと、覚悟を決めたように目を閉じた。
そんな彼の言葉に……私は立ち上がり、ロボットさんの前まで歩いていく。
──そして私は……。
「あなた! 野村君をどーするつもりなの?」
と訊いていた。
「本当に訊いてどーすんだ。てか逃げてくれよ……」
と、力尽きたはずの野村君が地面に突っ伏したまま力なくツッコミを入れている声が、耳に装着されているヘットフォンのような装置から聞こえる……。
――野村君が訊けって言ったから訊いてみたのに……。
そんな事を思っていると、ロボットさんは何の気まぐれか、私の質問に答えてくれる。
『アレハ敵。敵ハ、排除スル』
「排除って……?」
『生命活動ヲ停止サセル』
「訊く方も訊く方なら、答える方も答える方だな……」
野村君は地面に突っ伏したまま、そう呟いていた。
でも、私はその親切に説明してくれたロボットさんの言った内容の方が、今は問題だった。
「生命活動を停止って……殺すっていうの?」
その問いにもロボットさんは律儀に答えてくれる。
『ソウダ』
「そんなのダメ!」
私はその言葉に頭が真っ白になって、ついつい相手を突き飛ばしてしまっていた。
……やっぱり──なんだかとっても恥ずかしい姿になっていた。
「……あ、あの……これ、露出多すぎじゃない……かな?」
その姿は、水着みたいな露出度で……。
……まあ厳密に言うと、手袋とかブーツとかを付けている分だけ水着より露出度は少ないといえるのだろうけど……いや、そこは別に見せても構わないし……。
というか、さっきまでの野村君が着ていた変身していた姿では、ヘルメットのような感じで覆われてて、地肌が出てたのは口とおでこの部分くらいって感じだったのに、どうして私の頭の部分には耳当てにバイザー付いてるだけなの? ってか、これじゃあ顔がバレバレじゃない!?
おへそなんかも丸出しだし……うーん、ご飯食べた後にこの格好はしたくないなぁ……っていうか、太っちゃったりしたら即バレだ……。
という感じで、『この服、胸しか守る気ないんじゃない?』という謎デザインにあたふたしていると、察しの良い野村君は言った。
「大丈夫、そのスーツは俺のやつよりも高性能だ。一見、肌が露出しているように見える部分も目には見えないシールド効果で覆われているから……」
「というか、目に見えるシールド効果で覆ってください!」
野村君は年頃な女の子の気持ちは察してはくれていないようだったので、私はめずらしくツッコミを入れてしまった。
「……それは、そいつを作ったオッサンに言ってくれ」
「え……?」
戸惑う私にはお構いなしに、野村君は心持ち項垂れながら独り呟く。
「……最近、俺のスーツの調子が悪いから新しいのを作ってくれって頼んだら、そんなのを作りやがって……。リングにハートマークなんて付いてるから怪しいと思ったんだよ……。やっぱり、俺が使わなくてよかった……」
「あ……あのー。私は、実験台?」
……まあ、確かにこの衣装を着た野村君は見たくはないけど……。というか、もし野村君が今私の着ている方の姿で現れていたとしたら、さすがにもう愛せなくなっていたかも……。
「でも今、君が助かるにはそれしかない……。そのスーツを装着していれば、元の何倍ものパワーと運動能力が発揮される……ハズだ」
野村君は、背中の痛みに表情をゆがめながらそう説明してくれた。
なんだか私は、この話の流れはなんだかヤバそうだと思っていたんだけど、それに続く言葉は、私の想像した言葉じゃなかった。
「……その力で、君は逃げられるよ」
「……え?」
私は戸惑ってしまう。
だって、てっきり私は「その力であいつと戦ってくれ」なんて言われるんだと思っていたから……。
「早く逃げろ!」
野村君は力を振り絞るように私にそう叫ぶ。
……で、でも……
「そ、それじゃあ、野村君はどうなるの?」
「さあね……。それはあいつに訊いてくれ……」
野村君はそう言うと、覚悟を決めたように目を閉じた。
そんな彼の言葉に……私は立ち上がり、ロボットさんの前まで歩いていく。
──そして私は……。
「あなた! 野村君をどーするつもりなの?」
と訊いていた。
「本当に訊いてどーすんだ。てか逃げてくれよ……」
と、力尽きたはずの野村君が地面に突っ伏したまま力なくツッコミを入れている声が、耳に装着されているヘットフォンのような装置から聞こえる……。
――野村君が訊けって言ったから訊いてみたのに……。
そんな事を思っていると、ロボットさんは何の気まぐれか、私の質問に答えてくれる。
『アレハ敵。敵ハ、排除スル』
「排除って……?」
『生命活動ヲ停止サセル』
「訊く方も訊く方なら、答える方も答える方だな……」
野村君は地面に突っ伏したまま、そう呟いていた。
でも、私はその親切に説明してくれたロボットさんの言った内容の方が、今は問題だった。
「生命活動を停止って……殺すっていうの?」
その問いにもロボットさんは律儀に答えてくれる。
『ソウダ』
「そんなのダメ!」
私はその言葉に頭が真っ白になって、ついつい相手を突き飛ばしてしまっていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
甘灯の思いつき短編集
甘灯
キャラ文芸
作者の思いつきで書き上げている短編集です。 (現在16作品を掲載しております)
※本編は現実世界が舞台になっていることがありますが、あくまで架空のお話です。フィクションとして楽しんでくださると幸いです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
乙女フラッグ!
月芝
キャラ文芸
いにしえから妖らに伝わる調停の儀・旗合戦。
それがじつに三百年ぶりに開催されることになった。
ご先祖さまのやらかしのせいで、これに参加させられるハメになる女子高生のヒロイン。
拒否権はなく、わけがわからないうちに渦中へと放り込まれる。
しかしこの旗合戦の内容というのが、とにかく奇天烈で超過激だった!
日常が裏返り、常識は霧散し、わりと平穏だった高校生活が一変する。
凍りつく刻、消える生徒たち、襲い来る化生の者ども、立ちはだかるライバル、ナゾの青年の介入……
敵味方が入り乱れては火花を散らし、水面下でも様々な思惑が交差する。
そのうちにヒロインの身にも変化が起こったりして、さぁ大変!
現代版・お伽活劇、ここに開幕です。
かの子でなくば Nobody's report
梅室しば
キャラ文芸
【温泉郷の優しき神は、冬至の夜、囲碁の対局を通して一年の祝福を与える。】
現役大学生作家を輩出した潟杜大学温泉同好会。同大学に通う旧家の令嬢・平梓葉がそれを知って「ある旅館の滞在記を書いてほしい」と依頼する。梓葉の招待で県北部の温泉郷・樺鉢温泉村を訪れた佐倉川利玖は、村の歴史を知る中で、自分達を招いた旅館側の真の意図に気づく。旅館の屋上に聳えるこの世ならざる大木の根元で行われる儀式に招かれられた利玖は「オカバ様」と呼ばれる老神と出会うが、樺鉢の地にもたらされる恵みを奪取しようと狙う者もまた儀式の場に侵入していた──。
※本作はホームページ及び「pixiv」「カクヨム」「小説家になろう」「エブリスタ」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる