140 / 149
番外編 ビターチョコレート
13:相談
しおりを挟む
「あ、あの……。相談が、あるんですけど……」
久しぶりに二人きりになった執務室で、テオドールは遠慮がちにイアンに話しかけた。
彼と話をしなければと思っていたイアンは、まさかの発言に目を丸くした。
個人的な相談をされることは初めてに近いかもしれない。
「お、おう。何でも言ってみろ」
「あの、ランのことなんですけど……」
「え、ラン?」
リズベットの話かと思っていたイアンは肩透かしを食らった気分だ。
しかし、あまりにも神妙な面持ちで話すものだから、イアンはとりあえず彼をソファに座らせた。そして自分も向かいに座る。
「ランがどうかしたのか?」
「ランが、その、笑ったんです」
「……ん?」
「僕を見て、笑ったんです……」
「お、おう……」
「みんなに向ける笑顔と同じ笑顔を、僕にも向けたんです。いつもはもっと、生ゴミを見るような目を向けてくるのに。今日は笑ったんです」
「………………えーっと?」
それのどこが悪いのか、イアンにはさっぱりわからない。
「良かったな?」
「良くない!!」
テオドールは急に声を荒げて立ち上がった。イアンはびっくりして体勢を崩し、背もたれにもたれかかる。
「き、急に大声出すなよ。びっくりすんだろ!?」
「……す、すみません」
怒られたテオドールはしおしおと再びソファに座る。
イアンは眉間を摘み、テオドールの言葉の意味をしばらく考えた。
そして一つだけ思い当たることがあり、まさかそんな事はないと思いつつも一応聞いてみた。
「あー……、何か?ランの中で自分がその他大勢と同じになってしまったのかと悩んでるわけか?」
「ま、まあ。そう、ですね。はい……」
まさかの正解だった。イアンは呆れて笑うしかない。
「はは……。歪んでんなぁ……」
普通は逆だろうに。好きな女に笑顔を向けられたことでここまで落ち込むバカは、世界中探しても他に見つからないだろう。
イアンは足を組み、体を前のめりにしてテオドールを見据えた。
「テーオ。そこだけ話してもわからんだろ?」
「はい……」
「初めから包み隠さずに全部話せ。ちゃんと聞くから」
「……いや、その……」
「何があった?」
「実は……その……」
テオドールは言葉を選びながら、ひとつひとつ話し始めた。
多分生まれて初めての人生相談だ。
イアンは彼の話をうんうんと、相槌を打ちながらも決して口は挟まずに最後まで聞いてやった。
*
話を聞き終えたイアンはソファの背もたれに体を預けて、深く息を吐いた。
「まあリズベットのことはともかく、ランのことに関してはお前が悪いわな」
「わかってますよ。だからどう謝ろうかと……」
それを相談したいのだと、テオドールは口を尖らせた。
「謝るって、お前……。今謝ったところで、ランは受け入れないと思うぞ」
リズベットのことを解決していないのに、ランがテオドールの話を素直に聞くわけがない。
相談したいことがあるのだと話しかけるのならまだしも、ただ謝るだけなら『別に気にしていませんよ』と鉄壁の笑顔で返されるに決まってる。
そしてテオドールは壁を作られたことでまた悩むのだ。キリがない。
「……じゃあどうしろと」
「夏祭りの初日、リズとデートなんだろ?とりあえずそこでケリをつけてこい」
「……何で知ってるんですか」
「リズが今朝、テオを借りたいと言ってきた」
「行動が早いな。僕は行くなんてひと言も言ってないのに」
「何でだよ。そこは行ってこいよ。ただのデートじゃないことくらいお前もわかってるだろ?」
「それは……、まあ、何となくは」
「なら行くべきだろう」
「でも……」
テオドールは気まずさからイアンから目を逸らせた。
昨夜、テオドールがリズベットの部屋に行ったとき、彼女は『もう一人でも眠れる』と言って彼を追い返している。
そしてその代わりに夏祭りの初日を一緒に過ごしたいと彼にお願いした。
リズベットの琥珀色の瞳がどことなく覚悟を決めたように強く光って見えて、テオドールは大体のことを察した。
多分、行けば確実に何かが終わる。
「リズと真正面から対峙するのは、その、まだ少し怖いと言いますか……」
「何が怖いんだよ」
「……せ、戦争は終わりました」
「そうだな」
「僕が担っていた屋敷の管理はもう、殆ど奥様にお任せしています」
「ああ」
「リズはもう一人でも眠れるそうです」
「うん」
「…………ぼ、僕の存在意義は、どこにあるのでしょう」
罪を背負うなと言うのなら、自分はどういう理由でここにいればいいのだろう。
リズベットやイアン、アッシュフォードに尽くして罪を償うことが、テオドールがここにいる理由になっていた。その理由を取り上げられてしまったら、存在意義を失う。
テオドールは泣きそうになりながら、イアンを見た。
すると、イアンは半眼でこちらを見ていた。
可哀想なものを見るような、愚か者を見るような生温かい目だ。
「は?何言ってんだ?俺がお前にどれだけの仕事を任せていると思っているんだよ。お前がいなくなったら仕事回らないだろ」
「いや、それはまあ、そうなんですけど……」
「そもそもの話だ。何で存在意義がどうのこうのって考え方になるんだよ。いらねーよ、そんなもん」
「えぇ……」
あまりにあっけらかんと言うものだから、テオドールは間の抜けた声を出してしまった。
しかし、イアンからしてみればテオドールのその考えは理解できない。
「テオ。ここにいる理由なんて、お前がここにいたいかどうかだけで十分だろ。存在意義とか贖罪とか、難しく考えるなよ」
「でも……」
「それとも何か?明確な理由がないとアッシュフォードにはいたくないのか?」
「そういうわけでは……」
「そういうわけじゃないなら、それでいいじゃないか。理由なんて」
「……そう、ですね」
まだどこか納得していないような返事をするテオドールに、イアンは「はあー」と声に出して大きなため息をついた。
「いいか、テオ。全部、お前がどうしたいかだ」
「……はい」
「例えば今回のことに関して言えば、リズの手を取るにしてもランの手を取るにしても、その選択の理由に贖罪云々の考えは必要ないし、テオバルトもリズもランも関係ないんだよ。重要なのはお前の心が何を望んでいるのかだ。それをよく考えろ」
「……」
「よく考えた上で出した答えなら、俺もアイシャも何も言わない」
「はい……」
人生の選択の理由に他人を使うと、いずれ歯車が噛み合わなくなる。
誰かのためではなく、自分のために決断すべきだ。
イアンは立ち上がると、テオドールに近づき乱暴に頭を撫でてやった。まるで子どもにするみたいに。
「お前の人生はお前のものだよ。テオドール」
久しぶりに二人きりになった執務室で、テオドールは遠慮がちにイアンに話しかけた。
彼と話をしなければと思っていたイアンは、まさかの発言に目を丸くした。
個人的な相談をされることは初めてに近いかもしれない。
「お、おう。何でも言ってみろ」
「あの、ランのことなんですけど……」
「え、ラン?」
リズベットの話かと思っていたイアンは肩透かしを食らった気分だ。
しかし、あまりにも神妙な面持ちで話すものだから、イアンはとりあえず彼をソファに座らせた。そして自分も向かいに座る。
「ランがどうかしたのか?」
「ランが、その、笑ったんです」
「……ん?」
「僕を見て、笑ったんです……」
「お、おう……」
「みんなに向ける笑顔と同じ笑顔を、僕にも向けたんです。いつもはもっと、生ゴミを見るような目を向けてくるのに。今日は笑ったんです」
「………………えーっと?」
それのどこが悪いのか、イアンにはさっぱりわからない。
「良かったな?」
「良くない!!」
テオドールは急に声を荒げて立ち上がった。イアンはびっくりして体勢を崩し、背もたれにもたれかかる。
「き、急に大声出すなよ。びっくりすんだろ!?」
「……す、すみません」
怒られたテオドールはしおしおと再びソファに座る。
イアンは眉間を摘み、テオドールの言葉の意味をしばらく考えた。
そして一つだけ思い当たることがあり、まさかそんな事はないと思いつつも一応聞いてみた。
「あー……、何か?ランの中で自分がその他大勢と同じになってしまったのかと悩んでるわけか?」
「ま、まあ。そう、ですね。はい……」
まさかの正解だった。イアンは呆れて笑うしかない。
「はは……。歪んでんなぁ……」
普通は逆だろうに。好きな女に笑顔を向けられたことでここまで落ち込むバカは、世界中探しても他に見つからないだろう。
イアンは足を組み、体を前のめりにしてテオドールを見据えた。
「テーオ。そこだけ話してもわからんだろ?」
「はい……」
「初めから包み隠さずに全部話せ。ちゃんと聞くから」
「……いや、その……」
「何があった?」
「実は……その……」
テオドールは言葉を選びながら、ひとつひとつ話し始めた。
多分生まれて初めての人生相談だ。
イアンは彼の話をうんうんと、相槌を打ちながらも決して口は挟まずに最後まで聞いてやった。
*
話を聞き終えたイアンはソファの背もたれに体を預けて、深く息を吐いた。
「まあリズベットのことはともかく、ランのことに関してはお前が悪いわな」
「わかってますよ。だからどう謝ろうかと……」
それを相談したいのだと、テオドールは口を尖らせた。
「謝るって、お前……。今謝ったところで、ランは受け入れないと思うぞ」
リズベットのことを解決していないのに、ランがテオドールの話を素直に聞くわけがない。
相談したいことがあるのだと話しかけるのならまだしも、ただ謝るだけなら『別に気にしていませんよ』と鉄壁の笑顔で返されるに決まってる。
そしてテオドールは壁を作られたことでまた悩むのだ。キリがない。
「……じゃあどうしろと」
「夏祭りの初日、リズとデートなんだろ?とりあえずそこでケリをつけてこい」
「……何で知ってるんですか」
「リズが今朝、テオを借りたいと言ってきた」
「行動が早いな。僕は行くなんてひと言も言ってないのに」
「何でだよ。そこは行ってこいよ。ただのデートじゃないことくらいお前もわかってるだろ?」
「それは……、まあ、何となくは」
「なら行くべきだろう」
「でも……」
テオドールは気まずさからイアンから目を逸らせた。
昨夜、テオドールがリズベットの部屋に行ったとき、彼女は『もう一人でも眠れる』と言って彼を追い返している。
そしてその代わりに夏祭りの初日を一緒に過ごしたいと彼にお願いした。
リズベットの琥珀色の瞳がどことなく覚悟を決めたように強く光って見えて、テオドールは大体のことを察した。
多分、行けば確実に何かが終わる。
「リズと真正面から対峙するのは、その、まだ少し怖いと言いますか……」
「何が怖いんだよ」
「……せ、戦争は終わりました」
「そうだな」
「僕が担っていた屋敷の管理はもう、殆ど奥様にお任せしています」
「ああ」
「リズはもう一人でも眠れるそうです」
「うん」
「…………ぼ、僕の存在意義は、どこにあるのでしょう」
罪を背負うなと言うのなら、自分はどういう理由でここにいればいいのだろう。
リズベットやイアン、アッシュフォードに尽くして罪を償うことが、テオドールがここにいる理由になっていた。その理由を取り上げられてしまったら、存在意義を失う。
テオドールは泣きそうになりながら、イアンを見た。
すると、イアンは半眼でこちらを見ていた。
可哀想なものを見るような、愚か者を見るような生温かい目だ。
「は?何言ってんだ?俺がお前にどれだけの仕事を任せていると思っているんだよ。お前がいなくなったら仕事回らないだろ」
「いや、それはまあ、そうなんですけど……」
「そもそもの話だ。何で存在意義がどうのこうのって考え方になるんだよ。いらねーよ、そんなもん」
「えぇ……」
あまりにあっけらかんと言うものだから、テオドールは間の抜けた声を出してしまった。
しかし、イアンからしてみればテオドールのその考えは理解できない。
「テオ。ここにいる理由なんて、お前がここにいたいかどうかだけで十分だろ。存在意義とか贖罪とか、難しく考えるなよ」
「でも……」
「それとも何か?明確な理由がないとアッシュフォードにはいたくないのか?」
「そういうわけでは……」
「そういうわけじゃないなら、それでいいじゃないか。理由なんて」
「……そう、ですね」
まだどこか納得していないような返事をするテオドールに、イアンは「はあー」と声に出して大きなため息をついた。
「いいか、テオ。全部、お前がどうしたいかだ」
「……はい」
「例えば今回のことに関して言えば、リズの手を取るにしてもランの手を取るにしても、その選択の理由に贖罪云々の考えは必要ないし、テオバルトもリズもランも関係ないんだよ。重要なのはお前の心が何を望んでいるのかだ。それをよく考えろ」
「……」
「よく考えた上で出した答えなら、俺もアイシャも何も言わない」
「はい……」
人生の選択の理由に他人を使うと、いずれ歯車が噛み合わなくなる。
誰かのためではなく、自分のために決断すべきだ。
イアンは立ち上がると、テオドールに近づき乱暴に頭を撫でてやった。まるで子どもにするみたいに。
「お前の人生はお前のものだよ。テオドール」
10
お気に入りに追加
2,851
あなたにおすすめの小説
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
婚約者とその家族に虐げられる日々を送っていたアイリーンは、赤ん坊の頃に森に捨てられていたところを、貧乏なのに拾って育ててくれた家族のために、つらい毎日を耐える日々を送っていた。
そんなアイリーンには、密かな夢があった。それは、世界的に有名な魔法学園に入学して勉強をし、宮廷魔術師になり、両親を楽させてあげたいというものだった。
婚約を結ぶ際に、両親を支援する約束をしていたアイリーンだったが、夢自体は諦めきれずに過ごしていたある日、別の女性と恋に落ちていた婚約者は、アイリーンなど体のいい使用人程度にしか思っておらず、支援も行っていないことを知る。
どういうことか問い詰めると、お前とは婚約破棄をすると言われてしまったアイリーンは、ついに我慢の限界に達し、婚約者に別れを告げてから婚約者の家を飛び出した。
実家に帰ってきたアイリーンは、唯一の知人で特別な男性であるエルヴィンから、とあることを提案される。
それは、特待生として魔法学園の編入試験を受けてみないかというものだった。
これは一人の少女が、夢を掴むために奮闘し、時には婚約者達の妨害に立ち向かいながら、幸せを手に入れる物語。
☆すでに最終話まで執筆、予約投稿済みの作品となっております☆
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
屋月 トム伽
恋愛
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。(リディアとオズワルド以外はなかった事になっているのでifとしてます。)
私は、リディア・ウォード侯爵令嬢19歳だ。
婚約者のレオンハルト・グラディオ様はこの国の第2王子だ。
レオン様の誕生日パーティーで、私はエスコートなしで行くと、婚約者のレオン様はアリシア男爵令嬢と仲睦まじい姿を見せつけられた。
一人壁の花になっていると、レオン様の兄のアレク様のご友人オズワルド様と知り合う。
話が弾み、つい地がでそうになるが…。
そして、パーティーの控室で私は襲われ、倒れてしまった。
朦朧とする意識の中、最後に見えたのはオズワルド様が私の名前を叫びながら控室に飛び込んでくる姿だった…。
そして、目が覚めると、オズワルド様と半年前に時間が戻っていた。
レオン様との婚約を避ける為に、オズワルド様と婚約することになり、二人の日常が始まる。
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。
第14回恋愛小説大賞にて奨励賞受賞
[完結]想ってもいいでしょうか?
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
貴方に逢いたくて逢いたくて逢いたくて胸が張り裂けそう。
失ってしまった貴方は、どこへ行ってしまったのだろう。
暗闇の中、涙を流して、ただただ貴方の事を考え続ける。
後悔しているの。
何度も考えるの。
でもどうすればよかったのか、どうしても分からない。
桜が舞い散り、灼熱の太陽に耐え、紅葉が終わっても貴方は帰ってこない。
本当は分かっている。
もう二度と私の元へ貴方は帰ってこない事を。
雪の結晶がキラキラ輝きながら落ちてくる。
頬についた結晶はすぐに溶けて流れ落ちる。
私の涙と一緒に。
まだ、あと少し。
ううん、一生でも、私が朽ち果てるまで。
貴方の事を想ってもいいでしょうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる