61 / 149
第二章 マリーナフカの棺とハルの妖精
28:シスター・マリン(1)
しおりを挟む
あの日、あんなにも怖い思いをしたのに、それでも頻繁に足を運んでくれるアイシャにシスター・マリンはとても感謝していた。
子どもたちはアイシャと遊ぶのがとても楽しそうだし、いつもは顔すら見せない引きこもりのジェスターが窓から顔を出すようになった。
そう簡単に他人に心を開く子たちではないのに。きっと彼女が子どもたちに哀れみの目を向けない人だからだろう。
アイシャ・ブランチェットという女性は所作や話し方にこそ高貴な令嬢の雰囲気があるものの、態度はとても柔和で、領主夫人である事を鼻にかけることはなく、何より施しをしてやっているという傲慢さがない。
一般市民でさえ、哀れな子どもらに接するのには大なり小なり、『自分たちより下の人間に慈悲を与えてやっている』という心が透けて見えるのに、彼女には一切それがない。
きっとそういうところが、子どもたちは安心できるのだ。
マリンは、寒空の中を靴を脱いで走り回る子どもたちとそれを必死で追いかけるアイシャを見つめ、苦しそうに笑った。
外套を纏い、顔を隠すようにフードを目深に被っているため、彼女たちからは口元しか見えないだろうが、多分今の自分は心から笑えていない。心の奥底から湧き上がる嫉妬の感情が制御できていないのだ。
ああ、どうして自分は彼女のようになれないのだろう。
マリンがそんなことを考えているとリズベットが下から覗き込んできた。
「腹でも痛いの?でっかいのしてくる?」
なんの躊躇いもなく、悪戯っ子ような顔でそんな事を聞いてくるものだからマリンは思わず半眼になってしまった。
「……リズさんってデリカシーないって言われません?」
「じ、冗談だよ。なんか辛そうな顔してたから、ほら、笑かそうと思って」
「もう少し品のある笑いをお願いしたいものですね。仮にも奥様の護衛なのに」
「確かに護衛だけどあたしは貴族ではないから問題ない」
「貴族でなくとも、臣下の評価はそのまま奥様の評価ですよ。本当に、あなたの言動が奥様の品位を下げないか心配です」
マリンは呆れたようにため息をこぼしながら冷たい芝の上に腰掛けた。
すると意外にもリズベットはしょんぼりと肩を落とし、彼女の隣に座った。
どうせまた『あたしはあたしだ』とか『そんなの知らない』とか言うのだろうと思っていたのに、意外だ。
「……そっか。じゃあ気をつける」
「なんだかやけに素直ですね、珍しい。奥様が来るって聞いた時はあんなにも『認めない』って喚いていたのに。認めたんですか?」
「認めたとまでは言えない。でも実際に会ってみたら思っていたよりもずっと根性あったから、あのお嬢様になら少しは預けても良いかと思っただけよ」
「それは領主様のことですか?それとも自分のこと?」
「……秘密よ!」
「そっかあ、秘密か……。あなたにそんなふうに言わせるなんて奥様はやっぱり素敵な方なのですね」
褒めているのにどこか卑屈に聞こえる口調。リズベットは不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの?元気ないけど」
「……別に、ただ自分のことが嫌いになっただけです」
「何それ。なんか悩みでもあるの?」
「……悩みがない人なんていませんよ」
マリンは誤魔化すように笑った。その自嘲するような笑みにリズベットはますます不思議がる。
しかし彼女にはわかららないだろう。アイシャを見ていると内側からじわじわと湧き出てくるこのあさましい劣等感など。
「リズー!交代!」
二人が肩を寄せ合い日向ぼっこをしていると、ゼーゼーと息を切らせたアイシャがおぼつかない足取りで近づいてきた。
よく見ると彼女の背中にはシュゼットが乗っていた。イリーナとレオもボールを抱えて後ろからアイシャを追いかけている。
リズベットはやれやれと肩をすくめ、アイシャにしがみつくようにして乗っかっていたシュゼットを引き剥がした。
「体力なさすぎでは?お嬢様?」
「う、うるさい。あなたと同じにしないで」
「まあいいわ、しばらく休んでな」
リズベットはシュゼットを俵担ぎにすると、こちらに向かって走ってきていたレオとイリーナを視界に入れた。
二人は彼女にロックオンされたことに気がついたのか、ピタリと足を止め、綺麗に回れ右をして駆け出した。
きゃーという子どもの甲高い声が寒空に響く。子どもを担いだまま全速力で走れるなんて、アイシャはやはり騎士の体力には及ばないなと自嘲するように微笑んだ。
「お疲れ様です、奥様」
「ありがとう、シスター」
アイシャはマリンが差し出したグラスの水を一気に飲み干した。喉を鳴らして水を飲むなんてはしたない真似、実家ではしたことがなかったが、ここに遊びに来るようになってからは遊び終わった後のこの一杯が最高に美味しく、ついつい喉を鳴らして飲んでしまう。
マリンはアイシャの口の端から漏れた水滴が彼女の白磁の肌を伝い、首元へと流れる様をじっと見つめた。少し濡れたピンクの唇も紅潮した頬も、その肌の艶も、綺麗に整えられた爪も、全てが自分とは違う。
アイシャがここに通うようになってから彼女とはかなり打ち解けたつもりだが、それでもやはり格が違う。彼女の体に流れる血の高貴さが、どうしてもマリンを見下す。いくら彼女がこちら側へと降りてこようと、自分の頭は彼女の足元にも並べない。
それがどうしようもなく苦しい。
「ありがとう、ご馳走様」
「あ、はい……」
「ん?どうかしたの?」
「……子どもたちのこと、すみません。奥様に無礼を働いてはいけないと毎度言い聞かせてはいるのですが……」
「別に気にしていないわ。むしろこんなふうに気安く接してくれた方が私は嬉しいし」
「ですが……」
アイシャからグラスを受け取ったマリンはグラスの端についた紅を見つめ、ポツリとつぶやいた。
「ですが、やはりそろそろ高貴なお方に対する礼儀についても教えていかねばなりませんね」
ぎゅっとグラスを握る彼女に、アイシャは小さく息を吐いた。
「礼儀って?彼らは挨拶はしっかりできるし、ごめんなさいもありがとうも言える。今はまだそれだけで十分じゃない?」
「しかし、身分の違いについてはきちんと教えていかなくてはなりません。奥様と自分達は違うのだと知らずに恥をかくのは彼らです」
「心配しなくても大丈夫よ。あなたがよく言い聞かせてくれたから、たまにだけど彼らは私を奥様と呼ぶようになったし、きっと理解しているわ」
「行動が理解しているとは思えません」
「それは徐々にでいいわよ。そもそも私は遊ぶために来ているのだし、堅苦しいのは嫌だわ」
「でも……!」
「それに、どうせ教えるなら先に、読み書きや計算を教えてあげたほうが彼らの将来のためにもなるんじゃないかしら」
マリンの言う貴族に対する礼儀礼節は平民にはほとんど必要ない。そもそも貴族と接する機会のある仕事は数が少ないし、仕立て屋やお屋敷のメイドなど、所作に気をつけねばならない仕事は初めのうちに必要な事を教えてもらえる。
ならばそれよりも読み書きや計算ができた方が将来的に就ける職業の幅が広がるというものだ。
「所作に気を遣わねばならない仕事に就くためには、それ相応のことができないといけないわ。違う?」
「……」
違わない。けれど、マリンは素直にそう言えなかった。
アイシャはそんなマリンにお尻ひとつ分近づき、彼女の肩に自分の頭を置いた。マリンは驚いたように目を見開き、そして動揺した。
「お、奥様……?」
「最近のシスターは線を引きたがるわね。どうして?」
「線引きは大事です」
「それだけ?」
「……それだけです」
「そっかぁ。でも、やっぱり少し寂しいからあまり線は引かないで欲しいなぁ……」
少し甘えるようにアイシャが呟く。マリンはその声に眉を顰めた。
「シスター。私ね、話が聞ける人になりたいの」
「そうですか……」
「私の生まれ育ったブランチェット領はね、たしかに豊かだけどやっぱり広いから……。だから一人一人の顔を見て、話をしてってことができなかった。お屋敷の使用人の数も多くて一人一人の顔と名前を覚えるのも難しかったし……、まして領民のことなんて顔さえ見たことない人たちがほとんどだったの。でもここは狭い土地だから、一人一人顔を見て話ができるわ」
「そう、ですね……」
「私はそれがとても嬉しいの。だってみんなの個人的な事情まで気にかけることができるでしょう?その人が何を思いら何を考えているのか。何に困っているのか、どんなことをしたいのか、とか。そういうことを知ることができればこの地をもっとよくすることができるわ」
優しい口調で、耳障りの良い言葉を吐くアイシャ。彼女は再びこの孤児院を訪れた日からよくこの手の話をしてくる。
マリンはその優しい言葉を聞きながらグッと唇の端を噛んだ。
子どもたちはアイシャと遊ぶのがとても楽しそうだし、いつもは顔すら見せない引きこもりのジェスターが窓から顔を出すようになった。
そう簡単に他人に心を開く子たちではないのに。きっと彼女が子どもたちに哀れみの目を向けない人だからだろう。
アイシャ・ブランチェットという女性は所作や話し方にこそ高貴な令嬢の雰囲気があるものの、態度はとても柔和で、領主夫人である事を鼻にかけることはなく、何より施しをしてやっているという傲慢さがない。
一般市民でさえ、哀れな子どもらに接するのには大なり小なり、『自分たちより下の人間に慈悲を与えてやっている』という心が透けて見えるのに、彼女には一切それがない。
きっとそういうところが、子どもたちは安心できるのだ。
マリンは、寒空の中を靴を脱いで走り回る子どもたちとそれを必死で追いかけるアイシャを見つめ、苦しそうに笑った。
外套を纏い、顔を隠すようにフードを目深に被っているため、彼女たちからは口元しか見えないだろうが、多分今の自分は心から笑えていない。心の奥底から湧き上がる嫉妬の感情が制御できていないのだ。
ああ、どうして自分は彼女のようになれないのだろう。
マリンがそんなことを考えているとリズベットが下から覗き込んできた。
「腹でも痛いの?でっかいのしてくる?」
なんの躊躇いもなく、悪戯っ子ような顔でそんな事を聞いてくるものだからマリンは思わず半眼になってしまった。
「……リズさんってデリカシーないって言われません?」
「じ、冗談だよ。なんか辛そうな顔してたから、ほら、笑かそうと思って」
「もう少し品のある笑いをお願いしたいものですね。仮にも奥様の護衛なのに」
「確かに護衛だけどあたしは貴族ではないから問題ない」
「貴族でなくとも、臣下の評価はそのまま奥様の評価ですよ。本当に、あなたの言動が奥様の品位を下げないか心配です」
マリンは呆れたようにため息をこぼしながら冷たい芝の上に腰掛けた。
すると意外にもリズベットはしょんぼりと肩を落とし、彼女の隣に座った。
どうせまた『あたしはあたしだ』とか『そんなの知らない』とか言うのだろうと思っていたのに、意外だ。
「……そっか。じゃあ気をつける」
「なんだかやけに素直ですね、珍しい。奥様が来るって聞いた時はあんなにも『認めない』って喚いていたのに。認めたんですか?」
「認めたとまでは言えない。でも実際に会ってみたら思っていたよりもずっと根性あったから、あのお嬢様になら少しは預けても良いかと思っただけよ」
「それは領主様のことですか?それとも自分のこと?」
「……秘密よ!」
「そっかあ、秘密か……。あなたにそんなふうに言わせるなんて奥様はやっぱり素敵な方なのですね」
褒めているのにどこか卑屈に聞こえる口調。リズベットは不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの?元気ないけど」
「……別に、ただ自分のことが嫌いになっただけです」
「何それ。なんか悩みでもあるの?」
「……悩みがない人なんていませんよ」
マリンは誤魔化すように笑った。その自嘲するような笑みにリズベットはますます不思議がる。
しかし彼女にはわかららないだろう。アイシャを見ていると内側からじわじわと湧き出てくるこのあさましい劣等感など。
「リズー!交代!」
二人が肩を寄せ合い日向ぼっこをしていると、ゼーゼーと息を切らせたアイシャがおぼつかない足取りで近づいてきた。
よく見ると彼女の背中にはシュゼットが乗っていた。イリーナとレオもボールを抱えて後ろからアイシャを追いかけている。
リズベットはやれやれと肩をすくめ、アイシャにしがみつくようにして乗っかっていたシュゼットを引き剥がした。
「体力なさすぎでは?お嬢様?」
「う、うるさい。あなたと同じにしないで」
「まあいいわ、しばらく休んでな」
リズベットはシュゼットを俵担ぎにすると、こちらに向かって走ってきていたレオとイリーナを視界に入れた。
二人は彼女にロックオンされたことに気がついたのか、ピタリと足を止め、綺麗に回れ右をして駆け出した。
きゃーという子どもの甲高い声が寒空に響く。子どもを担いだまま全速力で走れるなんて、アイシャはやはり騎士の体力には及ばないなと自嘲するように微笑んだ。
「お疲れ様です、奥様」
「ありがとう、シスター」
アイシャはマリンが差し出したグラスの水を一気に飲み干した。喉を鳴らして水を飲むなんてはしたない真似、実家ではしたことがなかったが、ここに遊びに来るようになってからは遊び終わった後のこの一杯が最高に美味しく、ついつい喉を鳴らして飲んでしまう。
マリンはアイシャの口の端から漏れた水滴が彼女の白磁の肌を伝い、首元へと流れる様をじっと見つめた。少し濡れたピンクの唇も紅潮した頬も、その肌の艶も、綺麗に整えられた爪も、全てが自分とは違う。
アイシャがここに通うようになってから彼女とはかなり打ち解けたつもりだが、それでもやはり格が違う。彼女の体に流れる血の高貴さが、どうしてもマリンを見下す。いくら彼女がこちら側へと降りてこようと、自分の頭は彼女の足元にも並べない。
それがどうしようもなく苦しい。
「ありがとう、ご馳走様」
「あ、はい……」
「ん?どうかしたの?」
「……子どもたちのこと、すみません。奥様に無礼を働いてはいけないと毎度言い聞かせてはいるのですが……」
「別に気にしていないわ。むしろこんなふうに気安く接してくれた方が私は嬉しいし」
「ですが……」
アイシャからグラスを受け取ったマリンはグラスの端についた紅を見つめ、ポツリとつぶやいた。
「ですが、やはりそろそろ高貴なお方に対する礼儀についても教えていかねばなりませんね」
ぎゅっとグラスを握る彼女に、アイシャは小さく息を吐いた。
「礼儀って?彼らは挨拶はしっかりできるし、ごめんなさいもありがとうも言える。今はまだそれだけで十分じゃない?」
「しかし、身分の違いについてはきちんと教えていかなくてはなりません。奥様と自分達は違うのだと知らずに恥をかくのは彼らです」
「心配しなくても大丈夫よ。あなたがよく言い聞かせてくれたから、たまにだけど彼らは私を奥様と呼ぶようになったし、きっと理解しているわ」
「行動が理解しているとは思えません」
「それは徐々にでいいわよ。そもそも私は遊ぶために来ているのだし、堅苦しいのは嫌だわ」
「でも……!」
「それに、どうせ教えるなら先に、読み書きや計算を教えてあげたほうが彼らの将来のためにもなるんじゃないかしら」
マリンの言う貴族に対する礼儀礼節は平民にはほとんど必要ない。そもそも貴族と接する機会のある仕事は数が少ないし、仕立て屋やお屋敷のメイドなど、所作に気をつけねばならない仕事は初めのうちに必要な事を教えてもらえる。
ならばそれよりも読み書きや計算ができた方が将来的に就ける職業の幅が広がるというものだ。
「所作に気を遣わねばならない仕事に就くためには、それ相応のことができないといけないわ。違う?」
「……」
違わない。けれど、マリンは素直にそう言えなかった。
アイシャはそんなマリンにお尻ひとつ分近づき、彼女の肩に自分の頭を置いた。マリンは驚いたように目を見開き、そして動揺した。
「お、奥様……?」
「最近のシスターは線を引きたがるわね。どうして?」
「線引きは大事です」
「それだけ?」
「……それだけです」
「そっかぁ。でも、やっぱり少し寂しいからあまり線は引かないで欲しいなぁ……」
少し甘えるようにアイシャが呟く。マリンはその声に眉を顰めた。
「シスター。私ね、話が聞ける人になりたいの」
「そうですか……」
「私の生まれ育ったブランチェット領はね、たしかに豊かだけどやっぱり広いから……。だから一人一人の顔を見て、話をしてってことができなかった。お屋敷の使用人の数も多くて一人一人の顔と名前を覚えるのも難しかったし……、まして領民のことなんて顔さえ見たことない人たちがほとんどだったの。でもここは狭い土地だから、一人一人顔を見て話ができるわ」
「そう、ですね……」
「私はそれがとても嬉しいの。だってみんなの個人的な事情まで気にかけることができるでしょう?その人が何を思いら何を考えているのか。何に困っているのか、どんなことをしたいのか、とか。そういうことを知ることができればこの地をもっとよくすることができるわ」
優しい口調で、耳障りの良い言葉を吐くアイシャ。彼女は再びこの孤児院を訪れた日からよくこの手の話をしてくる。
マリンはその優しい言葉を聞きながらグッと唇の端を噛んだ。
12
お気に入りに追加
2,851
あなたにおすすめの小説
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
婚約者とその家族に虐げられる日々を送っていたアイリーンは、赤ん坊の頃に森に捨てられていたところを、貧乏なのに拾って育ててくれた家族のために、つらい毎日を耐える日々を送っていた。
そんなアイリーンには、密かな夢があった。それは、世界的に有名な魔法学園に入学して勉強をし、宮廷魔術師になり、両親を楽させてあげたいというものだった。
婚約を結ぶ際に、両親を支援する約束をしていたアイリーンだったが、夢自体は諦めきれずに過ごしていたある日、別の女性と恋に落ちていた婚約者は、アイリーンなど体のいい使用人程度にしか思っておらず、支援も行っていないことを知る。
どういうことか問い詰めると、お前とは婚約破棄をすると言われてしまったアイリーンは、ついに我慢の限界に達し、婚約者に別れを告げてから婚約者の家を飛び出した。
実家に帰ってきたアイリーンは、唯一の知人で特別な男性であるエルヴィンから、とあることを提案される。
それは、特待生として魔法学園の編入試験を受けてみないかというものだった。
これは一人の少女が、夢を掴むために奮闘し、時には婚約者達の妨害に立ち向かいながら、幸せを手に入れる物語。
☆すでに最終話まで執筆、予約投稿済みの作品となっております☆
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
婚約「解消」ではなく「破棄」ですか? いいでしょう、お受けしますよ?
ピコっぴ
恋愛
7歳の時から婚姻契約にある我が婚約者は、どんな努力をしても私に全く関心を見せなかった。
13歳の時、寄り添った夫婦になる事を諦めた。夜会のエスコートすらしてくれなくなったから。
16歳の現在、シャンパンゴールドの人形のような可愛らしい令嬢を伴って夜会に現れ、婚約破棄すると宣う婚約者。
そちらが歩み寄ろうともせず、無視を決め込んだ挙句に、王命での婚姻契約を一方的に「破棄」ですか?
ただ素直に「解消」すればいいものを⋯⋯
婚約者との関係を諦めていた私はともかく、まわりが怒り心頭、許してはくれないようです。
恋愛らしい恋愛小説が上手く書けず、試行錯誤中なのですが、一話あたり短めにしてあるので、サクッと読めるはず? デス🙇
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
あなたには彼女がお似合いです
風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。
妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。
でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。
ずっとあなたが好きでした。
あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。
でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。
公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう?
あなたのために婚約を破棄します。
だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。
たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに――
※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる