30 / 149
第一章 輪廻の滝で
29:兄の手紙(2)
しおりを挟む
親愛なる妹、アイシャへ
改めて、結婚おめでとう。
本当は見送りに行きたかったのだが、どうしてもダニエル殿下の聖地巡礼について行かねばならなくなったんだ。会いに行けなくてごめん。
その代わり、団長に掛け合って騎士団の中でも一番強くて信頼できる奴らを送った。きっと、何があっても必ず、安全に君をアッシュフォードまで送り届けてくれるはずだ。
長旅になるだろう。くれぐれも体に気をつけて。
さて、私はひとつだけ、君に言わなければならないことがある。本当は私の口から伝えるべきではないのかもしれないが、君が誤解したまま彼に会うのは本意ではないので、やはりここに記しておこうと思う。
単刀直入に言うならば、君が昔よく話してくれたあの輪廻の滝で出会ったと『お兄さん』というのは、イアン・ダドリーのことだ。
実は昔、イアンとは戦後処理のために一緒に仕事をしたことがあってね。その時、彼は君と同じように、輪廻の滝で出会ったとある少女の話をしてくれた。
話を聞いていたら、君が言っていた話と重なる部分が多くてね。すぐにわかったよ。
イアンは耳にタコができるくらいに、何度も何度も君の話をしてくれた。
彼女はヴィルヘルムを救ってくれた女神様のような人だとか、生きる希望を与えてくれた天使のような人だとか。正直、凄くうんざりするくらいに何度も聞いたよ。
でも、その時の彼の横顔は見ていて面白かったなぁ。だってあれ以降一度も会えていないのに、その輪廻の滝の少女に恋をしているみたいな顔をするんだ。
……いや、恋とは違うな。むしろ崇拝に近いかもしれない。『もう一度会えたら、彼女の前に跪き、忠誠を誓いたい』とまで言っていたからな。
そんかわけだから、まさかないとは思うが、もしも着いて早々に跪かれて忠誠を誓われてもどうか笑顔で受け流してやってくれ。
まあとにかく、そのくらいイアンは君がいなければ、ここまで生き残ることも、ここまで強くなることもできなかったと思っているらしい。
果ては、『俺が戦争の英雄ならば、彼女は間接的に帝国を救ったことになるはずです』とか言って、本気で君を聖女として祀りあげるべきだと思っている。
馬鹿な男だろう?でもそれくらい、彼にとっては大切な出会いだったんだよ。
その話を聞いた時の彼はまだ平民だったし、変に希望を持たせたくなくてその少女がアイシャかもしれないことは言い出せなかったんだけど、今はもう彼も立派な貴族だ。
だから、ベアトリーチェの縁談の話を聞いて、私は父上にアイシャを嫁がせてはどうかと進言した。
勝手なことをしてごめん。父上はベアトリーチェを送り出したくないようだったし、ちょうど良いと思ったんだ。
もしあのままブランチェット家にいても、父上が君にまともな縁談を持ってくるとはどうしても思えなかったから。
でも、もっとこうして丁寧に説明すべきだったな。懸案事項があって、そっちに気を取られすぎていた。
きちんとした説明を怠って君を傷つけた愚かな兄をどうか許して欲しい。
……いや、嘘だ。
許さなくても良い。責めてくれていい。
私は所詮、表立って君を守ろうとはしなかったのだから。
長い間、後継者という立場だから親には逆らえないなどと言い訳をして、片方の妹が寂しい思いをしているのにそれを父上にも母上にも指摘しなかった。
そのくせ君に嫌われたくなくて、陰で君に優しくした。卑怯な兄だ。本当にごめん。
こちらのことは何も心配しなくていい。この結婚は必ず私が守るから。
君はただ、イアンに愛されて幸せに、平穏に暮らしていてくれ。
彼は誠実で真面目で、そして優しい男だ。戦場の悪魔だの何だと言われているが、そんなのは所詮ただの噂話。多少粗暴なところはあるかもしれないが、彼は確実に君を幸せにしてくれる。
誰よりも君を愛してくれて、誰よりも求めてくれるはずだ。
だからどうか、幸せになってくれ。
私たちの手の届かないところで、どうか幸せに。
それが何もできなかった愚かな兄のただ一つの願いだ。
愛を込めて、兄より
***
ずっと開けようともしなかった手紙を読み、居た堪れなくなったアイシャは気がつくと部屋を飛び出していた。そしてなぜか、裏庭の畑へと来ていた。
畑の隅で、顔を隠すようにして膝を抱える彼女にニックはどうすれば良いのかわからない。
「あのー、奥様?どうなさいました?」
「驚きと嬉しさと切なさと恥ずかしさが複雑に絡み合って私の心を締め付けているのよ。胸が苦しいわ」
「それは大変だ。肺ですか?心臓ですか?薬を煎じて差し上げましょう」
この裏庭には野菜だけでなく、あらゆる種類の薬草も植えられていると、ニックは心配そうな顔をして教えてくれた。
だが苦しいのは肺でも心臓でもなく、心なので薬草は効かない。アイシャは大丈夫だと返した。
(お兄様のばか……。懸案事項って何よ)
始めからちゃんと説明してくれていたら、無駄に悩まなくて済んだのに。イアンに輪廻の滝のことを話さずに済んだのに。
「はぁ……。どうしよう。男爵様に合わせる顔がないわ」
「顔がない?はて?見た限りではちゃんとありますけど、目と鼻と口が」
「そういう意味ではないわ。慣用句よ。貴方、わかってて言っているでしょう」
「励まそうと思っただけです。ふざけ過ぎましたかね?」
「いいえ、少し元気が出たわ。ありがとう」
アイシャが顔を上げてフッと笑みをこぼすと、ニックは満足げに笑った。
「旦那様と喧嘩でもしましたか?」
「違うわよ。ただ、意図せず色々と知ってしまって混乱しているの」
「ああ!もしや、輪廻の滝の彼女のことですか?」
「……え?貴方も知っているの?」
「旦那様の昔からの知り合いならば、ほぼ全員知っているかと」
ニック曰く、イアンはことある事に輪廻の滝の少女の話をしていたらしい。戦時中、大事な決戦前や大怪我をした時など、普通なら神に祈りを捧げる場面で彼はその少女に祈りを捧げていたのだとニックは呆れたように笑った。
あの時のお兄さんがイアンであるというだけでも驚きなのに、彼の中で神格化していることを知り、アイシャはもうどうして良いのかわからない。
「どうしよう。私はそんな大層な人間ではないのに……」
むしろ、背中を押してもらったのに、結局両親から愛情を向けてもらうことができなかった情けない女だ。それなのに愛されているという彼の言葉に縋って、みっともなく、長い間両親からの愛を求め続けた惨めな女。
「何て哀れなのかしら」
アイシャは自嘲するようにつぶやいた。
イアンはあの約束を希望にして立派に生きてきたみたいだが、彼女はそうではない。
「もう恥ずかしくて男爵様と顔を合わせられないわ」
「知らぬ間に神格化されているせいですか?」
「……それはある。確かに少し恥ずかしい。いや、嘘。かなり恥ずかしい。でもそれだけじゃないわ」
「はて?では何故でしょう」
「だって、私はあれから何も変わってない。相変わらず、ずっと両親からの愛情を求めて彷徨って、伯爵家を出る前は身代わりにされたと妹に八つ当たりまでした。妹は何も悪くなかったのに。あの時と同じよ。まるで成長していないわ。それなのに男爵様は、戦争の英雄とまで言われるくらいに大活躍して、爵位と領地まで賜ってるのよ?」
過ぎた時間は同じなのに、過ごした時間の濃さはまるで違う。
「がっかりさせてしまうわ」
アイシャはまた、顔を両膝の間に埋めた。
きっと先ほどの執務室での会話で、イアンはアイシャがあの時の少女であることに気づいたはずだ。だとするならば、あの涙の意味は何だろうか。自分に対する憐れみだと思っていたが、それが失望から来るものだったならどうしよう。
アイシャは良くない方へと思考を巡らせた。
「ああ、消えてなくなりたい」
消え入りそうな声でそんな事を呟く彼女に、ニックはどうしたものかと顔を顰めた。
だって、彼の主人は少しもがっかりなんてしていない。むしろ舞い上がり過ぎて気持ち悪いくらいだ。ニックは小さくため息をこぼした。
「そんなに思いつめなくても大丈夫ですよ。だって旦那様は……って、あ……」
「……ニック?」
「やばい。奥様、逃げて」
「……え?」
話を途中で止めたニックは青ざめた顔でアイシャの後ろを見ていた。顔を上げたアイシャは彼が見つめる視線の先に顔を向ける。
するとそこには、顔を真っ赤にして全速力でこちらに向かってくる熊…….のような大男がいた。
「き、きゃあああ!?」
あまりに衝撃的な光景に、アイシャはすぐさま立ち上がり、駆け出した。彼女の生存本能が逃げろと告げているのだ。
「え!?待って!?嘘だろ!何で逃げるの!?」
ニックがいたところまで来たイアンはそう叫んだ。
「顔が怖いからじゃないっすか?」
ニックは吹き出しそうになるのを必死に堪え、一度息を整えろと助言した。
改めて、結婚おめでとう。
本当は見送りに行きたかったのだが、どうしてもダニエル殿下の聖地巡礼について行かねばならなくなったんだ。会いに行けなくてごめん。
その代わり、団長に掛け合って騎士団の中でも一番強くて信頼できる奴らを送った。きっと、何があっても必ず、安全に君をアッシュフォードまで送り届けてくれるはずだ。
長旅になるだろう。くれぐれも体に気をつけて。
さて、私はひとつだけ、君に言わなければならないことがある。本当は私の口から伝えるべきではないのかもしれないが、君が誤解したまま彼に会うのは本意ではないので、やはりここに記しておこうと思う。
単刀直入に言うならば、君が昔よく話してくれたあの輪廻の滝で出会ったと『お兄さん』というのは、イアン・ダドリーのことだ。
実は昔、イアンとは戦後処理のために一緒に仕事をしたことがあってね。その時、彼は君と同じように、輪廻の滝で出会ったとある少女の話をしてくれた。
話を聞いていたら、君が言っていた話と重なる部分が多くてね。すぐにわかったよ。
イアンは耳にタコができるくらいに、何度も何度も君の話をしてくれた。
彼女はヴィルヘルムを救ってくれた女神様のような人だとか、生きる希望を与えてくれた天使のような人だとか。正直、凄くうんざりするくらいに何度も聞いたよ。
でも、その時の彼の横顔は見ていて面白かったなぁ。だってあれ以降一度も会えていないのに、その輪廻の滝の少女に恋をしているみたいな顔をするんだ。
……いや、恋とは違うな。むしろ崇拝に近いかもしれない。『もう一度会えたら、彼女の前に跪き、忠誠を誓いたい』とまで言っていたからな。
そんかわけだから、まさかないとは思うが、もしも着いて早々に跪かれて忠誠を誓われてもどうか笑顔で受け流してやってくれ。
まあとにかく、そのくらいイアンは君がいなければ、ここまで生き残ることも、ここまで強くなることもできなかったと思っているらしい。
果ては、『俺が戦争の英雄ならば、彼女は間接的に帝国を救ったことになるはずです』とか言って、本気で君を聖女として祀りあげるべきだと思っている。
馬鹿な男だろう?でもそれくらい、彼にとっては大切な出会いだったんだよ。
その話を聞いた時の彼はまだ平民だったし、変に希望を持たせたくなくてその少女がアイシャかもしれないことは言い出せなかったんだけど、今はもう彼も立派な貴族だ。
だから、ベアトリーチェの縁談の話を聞いて、私は父上にアイシャを嫁がせてはどうかと進言した。
勝手なことをしてごめん。父上はベアトリーチェを送り出したくないようだったし、ちょうど良いと思ったんだ。
もしあのままブランチェット家にいても、父上が君にまともな縁談を持ってくるとはどうしても思えなかったから。
でも、もっとこうして丁寧に説明すべきだったな。懸案事項があって、そっちに気を取られすぎていた。
きちんとした説明を怠って君を傷つけた愚かな兄をどうか許して欲しい。
……いや、嘘だ。
許さなくても良い。責めてくれていい。
私は所詮、表立って君を守ろうとはしなかったのだから。
長い間、後継者という立場だから親には逆らえないなどと言い訳をして、片方の妹が寂しい思いをしているのにそれを父上にも母上にも指摘しなかった。
そのくせ君に嫌われたくなくて、陰で君に優しくした。卑怯な兄だ。本当にごめん。
こちらのことは何も心配しなくていい。この結婚は必ず私が守るから。
君はただ、イアンに愛されて幸せに、平穏に暮らしていてくれ。
彼は誠実で真面目で、そして優しい男だ。戦場の悪魔だの何だと言われているが、そんなのは所詮ただの噂話。多少粗暴なところはあるかもしれないが、彼は確実に君を幸せにしてくれる。
誰よりも君を愛してくれて、誰よりも求めてくれるはずだ。
だからどうか、幸せになってくれ。
私たちの手の届かないところで、どうか幸せに。
それが何もできなかった愚かな兄のただ一つの願いだ。
愛を込めて、兄より
***
ずっと開けようともしなかった手紙を読み、居た堪れなくなったアイシャは気がつくと部屋を飛び出していた。そしてなぜか、裏庭の畑へと来ていた。
畑の隅で、顔を隠すようにして膝を抱える彼女にニックはどうすれば良いのかわからない。
「あのー、奥様?どうなさいました?」
「驚きと嬉しさと切なさと恥ずかしさが複雑に絡み合って私の心を締め付けているのよ。胸が苦しいわ」
「それは大変だ。肺ですか?心臓ですか?薬を煎じて差し上げましょう」
この裏庭には野菜だけでなく、あらゆる種類の薬草も植えられていると、ニックは心配そうな顔をして教えてくれた。
だが苦しいのは肺でも心臓でもなく、心なので薬草は効かない。アイシャは大丈夫だと返した。
(お兄様のばか……。懸案事項って何よ)
始めからちゃんと説明してくれていたら、無駄に悩まなくて済んだのに。イアンに輪廻の滝のことを話さずに済んだのに。
「はぁ……。どうしよう。男爵様に合わせる顔がないわ」
「顔がない?はて?見た限りではちゃんとありますけど、目と鼻と口が」
「そういう意味ではないわ。慣用句よ。貴方、わかってて言っているでしょう」
「励まそうと思っただけです。ふざけ過ぎましたかね?」
「いいえ、少し元気が出たわ。ありがとう」
アイシャが顔を上げてフッと笑みをこぼすと、ニックは満足げに笑った。
「旦那様と喧嘩でもしましたか?」
「違うわよ。ただ、意図せず色々と知ってしまって混乱しているの」
「ああ!もしや、輪廻の滝の彼女のことですか?」
「……え?貴方も知っているの?」
「旦那様の昔からの知り合いならば、ほぼ全員知っているかと」
ニック曰く、イアンはことある事に輪廻の滝の少女の話をしていたらしい。戦時中、大事な決戦前や大怪我をした時など、普通なら神に祈りを捧げる場面で彼はその少女に祈りを捧げていたのだとニックは呆れたように笑った。
あの時のお兄さんがイアンであるというだけでも驚きなのに、彼の中で神格化していることを知り、アイシャはもうどうして良いのかわからない。
「どうしよう。私はそんな大層な人間ではないのに……」
むしろ、背中を押してもらったのに、結局両親から愛情を向けてもらうことができなかった情けない女だ。それなのに愛されているという彼の言葉に縋って、みっともなく、長い間両親からの愛を求め続けた惨めな女。
「何て哀れなのかしら」
アイシャは自嘲するようにつぶやいた。
イアンはあの約束を希望にして立派に生きてきたみたいだが、彼女はそうではない。
「もう恥ずかしくて男爵様と顔を合わせられないわ」
「知らぬ間に神格化されているせいですか?」
「……それはある。確かに少し恥ずかしい。いや、嘘。かなり恥ずかしい。でもそれだけじゃないわ」
「はて?では何故でしょう」
「だって、私はあれから何も変わってない。相変わらず、ずっと両親からの愛情を求めて彷徨って、伯爵家を出る前は身代わりにされたと妹に八つ当たりまでした。妹は何も悪くなかったのに。あの時と同じよ。まるで成長していないわ。それなのに男爵様は、戦争の英雄とまで言われるくらいに大活躍して、爵位と領地まで賜ってるのよ?」
過ぎた時間は同じなのに、過ごした時間の濃さはまるで違う。
「がっかりさせてしまうわ」
アイシャはまた、顔を両膝の間に埋めた。
きっと先ほどの執務室での会話で、イアンはアイシャがあの時の少女であることに気づいたはずだ。だとするならば、あの涙の意味は何だろうか。自分に対する憐れみだと思っていたが、それが失望から来るものだったならどうしよう。
アイシャは良くない方へと思考を巡らせた。
「ああ、消えてなくなりたい」
消え入りそうな声でそんな事を呟く彼女に、ニックはどうしたものかと顔を顰めた。
だって、彼の主人は少しもがっかりなんてしていない。むしろ舞い上がり過ぎて気持ち悪いくらいだ。ニックは小さくため息をこぼした。
「そんなに思いつめなくても大丈夫ですよ。だって旦那様は……って、あ……」
「……ニック?」
「やばい。奥様、逃げて」
「……え?」
話を途中で止めたニックは青ざめた顔でアイシャの後ろを見ていた。顔を上げたアイシャは彼が見つめる視線の先に顔を向ける。
するとそこには、顔を真っ赤にして全速力でこちらに向かってくる熊…….のような大男がいた。
「き、きゃあああ!?」
あまりに衝撃的な光景に、アイシャはすぐさま立ち上がり、駆け出した。彼女の生存本能が逃げろと告げているのだ。
「え!?待って!?嘘だろ!何で逃げるの!?」
ニックがいたところまで来たイアンはそう叫んだ。
「顔が怖いからじゃないっすか?」
ニックは吹き出しそうになるのを必死に堪え、一度息を整えろと助言した。
29
お気に入りに追加
2,832
あなたにおすすめの小説
もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
なんでも思い通りにしないと気が済まない妹から逃げ出したい
木崎優
恋愛
「君には大変申し訳なく思っている」
私の婚約者はそう言って、心苦しそうに顔を歪めた。「私が悪いの」と言いながら瞳を潤ませている、私の妹アニエスの肩を抱きながら。
アニエスはいつだって私の前に立ちはだかった。
これまで何ひとつとして、私の思い通りになったことはない。すべてアニエスが決めて、両親はアニエスが言うことならと頷いた。
だからきっと、この婚約者の入れ替えも両親は快諾するのだろう。アニエスが決めたのなら間違いないからと。
もういい加減、妹から離れたい。
そう思った私は、魔術師の弟子ノエルに結婚を前提としたお付き合いを申し込んだ。互いに利のある契約として。
だけど弟子だと思ってたその人は実は魔術師で、しかも私を好きだったらしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる