vaccana。

 「ねえ知ってる? 最近でるらしいよ?」
 ――吸血鬼――。白皮症、血液嫌い、大妄想持ちの女子高校生、出里若菜は克服しきれない朝の眩惑的騒々しさの中で、親友から今更ながらの情報を小耳に入れる。
 吸血鬼が現れる。なんでも、ここ最近の夜間に発生する傷害事件は、おとぎ話でしか存在を聞いたことがない、そんな化け物が引き起こしているらしい、という情報である。
 噂に種はなかった。ただ、噂になるだけの事象ではあった。同時に面白いがために、そうやって持ち上げられた。出里若菜はそう思う。噂される化け物らは、絵本に厳重に封をされている。加えて串刺し公の異名を持つブラド・ツェペシュも結局人の域を出なかった。
 この化け物も結局噂の域を出ない伝説なのだ。出里若菜はそう決め込んでいた。

 あの光景をみるまでは。

 ※流血表現、生生しい描写、という要素が含まれております。
  ご注意ください。
 ※他サイト様にも掲載させていただいてます。
24h.ポイント 0pt
0
小説 193,580 位 / 193,580件 キャラ文芸 4,391 位 / 4,391件

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蛍降る駅

龍槍 椀 
キャラ文芸
大きな街に出て働き、そして、消耗してしまったOL 涼子。 何気なく見た中吊り広告から、故郷を思い出し、自分の今を不安に思う。 帰らなくちゃ…… その想いが心に生まれ、そして、逃れ難い郷愁に囚われる。 何がそうさせたかは、判らない。 が、強迫観念にも似たその想いは、涼子の足を故郷に向ける。  そこで 出逢う過去との再会。  彼女の中に何かが灯る 掌編集に御座います。 第一話: 蛍降る駅 第二話: 巡る縁は糸車の様に 第三話: Christmas Special  (クリスマス特別編)

悪魔が夜来る

犬束
キャラ文芸
 カフェの名前はビブリオ、店主の名前は夛利(ダリ)。  路面電車の走るごく普通の城下町、ごく普通の雑居ビルの三階、カフェはごく普通に営業しておりました。  でも、或る月も星も見えない真っ暗な夜、「やってる?」と入って来た黒いスーツ姿のお客はーー実は悪魔だったのです。

市役所妖怪返送担当『怪し課』

Win-CL
キャラ文芸
順調に新社会人として仕事をしていたのに、年明け早々に部署を変えられてしまう。配属された先は、妖怪を元の住処へ送り返すという謎めいた部署。 妖怪返送担当――通称『怪し課』。 方言濃い目の先輩と二人っきりで、妖怪を送り返す仕事に奮闘中!? 不思議な組み合わせの、”オリジナル妖怪もの” 一つの話が10000文字前後の短編集です!

仲町通りのアトリエ書房 -水彩絵師と白うさぎ付き-

橘花やよい
キャラ文芸
スランプ中の絵描き・絵莉が引っ越してきたのは、喋る白うさぎのいる長野の書店「兎ノ書房」。 心を癒し、夢と向き合い、人と繋がる、じんわりする物語。 pixivで連載していた小説を改稿して更新しています。 「第7回ほっこり・じんわり大賞」大賞をいただきました。

純白の天使

鶴機 亀輔
キャラ文芸
「素敵な大人になったきみの幸せをパパは願ってるよ」 男に父はなく、早くに母を失い、おじ夫妻のもとで育てられたが、結局親戚獣をたらい回しにされ、養護施設行きとなった。 施設でも、学校でもいじめられて行き場のなかった男を救ったのは年若い男女の夫婦だった。 親の愛情を知らず、周りの人間を敵とみなしていた男は、赤子の父親となった。 結婚前夜、男は赤子を育ててきた日々に思いを馳せ、大切な娘に真実を明かす。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡