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第1章 入試篇
第58話 神殿
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翌日の朝食はフォルクスの収納に入れて有った出来合いの物で済ませていた。まだバタバタしており、まともに調理が出来るような状況ではないからだ。
サリーの方も今いる場所がどこかの屋敷だというのは薄々感じているようで、落ち着いて席に座りミリーに食べさせてもらっていた。
サリーは余程歩く事が出来るようになったのが嬉しかったのか、朝から家の中を歩き回っていた。
そして神殿まで歩いて行く事になったのだが、何故かサリーはフォルクスと手を繋いで歩いていた。
どうやって分かったのか不明だが、ミニーの手を引っ張り、フォルクスの所にズカズカと自ら向かって行った。そして迷わずフォルクスの手を繋いでいたので皆唖然としていた。この子は目が見えない筈だよな?と皆不思議に思っていた。
神殿に着くと本日の治療はこちらというような案内表示があり、続々と治療希望の者やその家族が集まってきていた。
ずらりと並んでおり、受付をするだけでうんざりする感じだった。尤も大半は金額を聞いて諦めるのだが。
並んでいると、ふと誰かに肩を叩かれた。人の気配に敏感なフォルクスなのだが、後ろから肩を叩かれるまで気配を感じなかった。
肩をポンポンと叩たれた感じからハイランドだと分かった。
「ミスターハイランド、どうしたんですか?見事に気配を消されてますね?」
「おはようございます。ささ、こちらに。部下に並ばせておりますから」
「やけに親切ですね?」
「いえ、せめてこのくらいはしないとフォルクス殿に申し訳がありませんから」
「俺何かしたっけ?」
「今手を引いている姉の方でございます。まさかフォルクス殿といえ、一晩でここまで回復させるとは驚きましたが、我が方の不始末でいたずらに人を死なせる所を防いで頂いた事に対するせめてものお礼でございます」
「それだけじゃないだろ?何か俺にやらせたいんだろ?」
「流石に聡いお方でございますな。実は我が商会と神殿は、神殿側から毛嫌いされておりまして、我が娘の治療を断られております。そこでフォルクス殿が治療を出来るようになりましたらお願いしたいのでございます。勿論お礼はさせて頂きます」
フォルクスは二人だけでこっそり話し始めた。
「若い娘か?」
「フォフォフォ。フォルクス殿の周りの女性達と遜色のない私の自慢の娘でございます。先日隣町から戻る時に魔物に襲われましてな。怪我をして失明しております」
「あー分かった。この後の行くよ。ちなみに歳はいくつだ?」
「15でございます。妻も喜びますから、一度我が家に来て頂けると嬉しいと常々申しておりますから」
「治療しに行くが、必ず治るとは限らないぞ」
「はい。理解しておりますが、私はフォルクス様なら可能と思っております」
「分かったよ。他ならぬあんたの頼みだ。お金は良いから早く娘さんを治療し、苦痛から救ってあげなきゃね」
そうして三番目に呼ばれた。ハイランドは私がいると不都合もあるからと早々に引き上げたのであった。
サリーの方も今いる場所がどこかの屋敷だというのは薄々感じているようで、落ち着いて席に座りミリーに食べさせてもらっていた。
サリーは余程歩く事が出来るようになったのが嬉しかったのか、朝から家の中を歩き回っていた。
そして神殿まで歩いて行く事になったのだが、何故かサリーはフォルクスと手を繋いで歩いていた。
どうやって分かったのか不明だが、ミニーの手を引っ張り、フォルクスの所にズカズカと自ら向かって行った。そして迷わずフォルクスの手を繋いでいたので皆唖然としていた。この子は目が見えない筈だよな?と皆不思議に思っていた。
神殿に着くと本日の治療はこちらというような案内表示があり、続々と治療希望の者やその家族が集まってきていた。
ずらりと並んでおり、受付をするだけでうんざりする感じだった。尤も大半は金額を聞いて諦めるのだが。
並んでいると、ふと誰かに肩を叩かれた。人の気配に敏感なフォルクスなのだが、後ろから肩を叩かれるまで気配を感じなかった。
肩をポンポンと叩たれた感じからハイランドだと分かった。
「ミスターハイランド、どうしたんですか?見事に気配を消されてますね?」
「おはようございます。ささ、こちらに。部下に並ばせておりますから」
「やけに親切ですね?」
「いえ、せめてこのくらいはしないとフォルクス殿に申し訳がありませんから」
「俺何かしたっけ?」
「今手を引いている姉の方でございます。まさかフォルクス殿といえ、一晩でここまで回復させるとは驚きましたが、我が方の不始末でいたずらに人を死なせる所を防いで頂いた事に対するせめてものお礼でございます」
「それだけじゃないだろ?何か俺にやらせたいんだろ?」
「流石に聡いお方でございますな。実は我が商会と神殿は、神殿側から毛嫌いされておりまして、我が娘の治療を断られております。そこでフォルクス殿が治療を出来るようになりましたらお願いしたいのでございます。勿論お礼はさせて頂きます」
フォルクスは二人だけでこっそり話し始めた。
「若い娘か?」
「フォフォフォ。フォルクス殿の周りの女性達と遜色のない私の自慢の娘でございます。先日隣町から戻る時に魔物に襲われましてな。怪我をして失明しております」
「あー分かった。この後の行くよ。ちなみに歳はいくつだ?」
「15でございます。妻も喜びますから、一度我が家に来て頂けると嬉しいと常々申しておりますから」
「治療しに行くが、必ず治るとは限らないぞ」
「はい。理解しておりますが、私はフォルクス様なら可能と思っております」
「分かったよ。他ならぬあんたの頼みだ。お金は良いから早く娘さんを治療し、苦痛から救ってあげなきゃね」
そうして三番目に呼ばれた。ハイランドは私がいると不都合もあるからと早々に引き上げたのであった。
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