上 下
53 / 73
第1章  入試篇

第53話  夢だった

しおりを挟む
 
 風呂の後、食堂でお茶タイムにしていた。そんな中、ジェスロが要らぬ一言を言ってしまい、フォルクスが慌てる羽目になった。

「幼女使い殿、無事堪能出来ましたかな?」

 シーラがいち早く反応した

「堪能って何か良い事が有ったの?」


「フォフォフォ、幼女使い殿はあなた達の」

 フォルクスが慌てて止めた

「マ、マ、マ、マ、待つんだ!」

 慌てて止めたが、そんな反応を見逃さないシーラである。

「ちょっと何よ?ジェスロ様?何があったのか包み隠さずお話ししてくださいな。嫌な予感しかしないのですが、言って頂けますよね」

 にこやかに喋るが、眼光は鋭かった。震えながら問いただすシーラを見て、ジェスロは自分が失言をしたという事に気が付いたが、もう後の祭りである。

 しかしジェスロの切り替えは完璧で有った。

「フォフォフォ。先程お風呂にGが出たとかで、お風呂場に幼女使い殿が駆け付けて行かれたので、皆様のご入浴中のG退治とは言え、ジョセイノ入浴中に乱入されましたからなあ。おそらく皆様の裸を見られたのではないかと思いましてな。ほほほほほ。羨ましい事ですな」

 女性陣は皆真っ赤になっていた。恐る恐るユリアが聞いた

「ねえフォル君、やっぱり私のも見えたの?」

「うん。その、まるで女神様みたいでとても綺麗だったよ」

「だ、駄目よ。忘れて!忘れるのよ」

 真っ赤になったユリアがくねくねしていた。

「無理だよ!あんな綺麗な体を見て忘れるなんて無理だよ。綺麗だったな!」

 綺麗を連呼したのでユリアは真っ赤である。そしてフォルクスの態度に不自然さが有った。シーラはそれを見逃さなかったが、その前にフォルクスに確認をした。

「あ、あんたやっぱり私のも見たの?」

「うん、見えたよ。やっぱり胸が少し大きくなってきてるんじゃないかなって思えたよ」

 フォルクスの様子もおかしかったが、それ以上にラティスの態度がおかしい事にシーラが気が付いた。シーラがすかさず問い正したのだが、シーラはあっさり白状したラティスを見てため息をついていた。そうフォルクスが覗きをするのを彼女が見逃したというのを聞いたのだ。

 そしてラティスとフォルクスは正座をさせられ、仁王立ちする皆の前で説明をする事になった。そう、スキルポイントについてだ。

 フォルクスはふと目覚めた。スキルポイントについて説明を始めた途端に目覚めた。目覚めた時は何故か溺れていたのだ。そう、湯船に浸かっていたのだが、ついウトウトしてし居眠りをしてまったのだ。寝てしまった為、湯船に頭が浸かってしまい溺れ始めた。そして訳が分かぬ状態で慌てふためいて目が覚めたのだ。 

 そして少しして落ち着き、自分が今何をしていたのかを思い出したのだ。

 ジェスロが悪魔の囁きをし、風呂を覗いたりラティスのスカートを捲ってお尻を撫で回していたのは夢であった。

 そうだよな。流石にジェスロがあんな事をする訳無いよなと首を振っていた。まだ人となりがよく分かってはいないが、今の所の印象は一言で言うと紳士だ。悪く言うと考えの古い頑固者という評価だ。
 
 ただ、妙にリアルな夢だったなとは思った。ラティスのお尻を触った感触がまだ残っているのだ。えがったなと。

 バチーンと頬を叩き、煩悩退散と何度も言っていたのだが、ふと人の気配がした。

 脱衣場の方で何やらモゾモゾと動く人影があるような感じがした。誰かが着替えの入れ替えや掃除でもしに来たのかな位に思っていたが、ドアが開いた。すると体の前にタオルを持っているだけの全裸の女性が一人入って来た。

 結局、覗き等をせずとも、若い女性と一緒に暮らすのだからこういうラッキースケベイベントは起こるべくして起こるのだ。

 実際のところは、気絶をしたユリアの面倒をフォルクスが見る事になってしまっていた。ユリア以外の女性陣は皆我先にと風呂に行ってしまったのだ。そう、ユリアの面倒を押し付けたのだ。

 首輪があるし、もしフォルクスがユリアの寝込みを襲っても最後まで出来ないし、そう言う事ができない性質だと分かっていたからだ。つまり信用しているのだ。

 フォルクス以外が風呂に行っている間、フォルクスはユリアの頭を撫でたり、手を握っていただけだった。

 そして皆が風呂から戻ってきたので、フォルクスはユリアの事をお願いし、風呂に入っていたのだ。その後ユリアの目が覚め、フォルクスがお風呂に入っているという事を知らずに風呂に来てしまったのだ。皆がわざとか失念したかまでは分からないが、結果的にフォルクスがまだ風呂から上がっていない事を知らぬユリアが無防備に入って来たのだと半ば理解した。

 フォルクスは暫く寝ていたので、もう風呂から上がっていて、部屋で休んでいると思うのは無理もない時間が経っていたからだ。

 ユリアは湯船に浸かり、フォルクスの姿が目に入った、というか、目が合ったのだ。驚きから胸の前で持っていたタオルを落とし、その場にへたり込んでしまった。

「ど、どうしてフォル君がここにいるの?何で?」

 そう発するのが精一杯だった。そして急に己がフォルクスに裸体を晒しているという事に意識が向き、恥ずかしさから手で胸を隠し、フォルクスも慌てて背中を向けた。

 よく確かめもせずにユリアが入ってきたのがいけなかったのだが、フォルクスはユリアの体を見ないようにしていた。とは言え、もう見てしまったのだが。

 体を洗っているからその間に湯船に浸かってと話をしていたが、ユリアは意を決し、見ないでねと言い、フォルクスの背中を洗う事にした。

 次に、フォルクスは背中を向いているから、体を洗ってねと言い、ユリアに背を向けて湯船に浸かっていた。

 ユリアは前を洗った時に、フォルクスに背中を洗って欲しいと、恥ずかしいから見ないでねと言い、背中を洗って貰った。

 背中を洗って貰う時は、背中を向け、タオルで胸は隠していたがやはり恥ずかしかった。

 ユリアの肌は至極の滑らかさで、ついペタペタ触ってその柔肌にうっとりとしていた。

 その後、ユリアが一緒に湯船に入りたいというので、フォルクスはユリアにタオルを巻いてなら良いよと横に座っていた。フォルクスはドキドキしっぱなしだった。

 大人の色香漂うユリアにドギマギし、やっぱり大人で余裕の有る対応だなあと感心していたのだが、フォルクスから見れば落ち着いていると思うユリアの内情は実際には違うのだ。もう裸を見られてしまったからと開き直り、大胆な行動をし取ってしまったとオロオロと我に返り、恥ずかしさから真っ赤になり、更にもじもじしていた。

 単に突然の事で心の準備が出来ておらず、流れに任せた感じだった。いずれフォルクスに全てを捧げると心に決めているのも有ったが、もうフォルクスに抱かれても良いとトリップしていたのだ。

 お互い恥ずかしそうに肩を並べて湯船に浸かっていた。ユリアはチラチラと胸元をちら見するフォルクスに意地悪をして遊んでいた。
 わざと乳首ギリギリまでタオルを下げていた。勿論見せない。悔しそうにし、鼻息の荒いフォルクスを見て普通の男子の行動に少し安心していたが、触って来ないのでつい自分から胸元に抱き寄せ、これからも宜しくねと言っていた。

 そして暫く話し込んだ後、フォルクスが先にお風呂を出て行った。ユリアはそんなフォルクスの後ろ姿を見詰めていたのである。特にお尻を。

 フォルクスはフォルクスでユリアの胸を見てしまったのだが、真面目に考え込んでいた。

 ホクロの位置や胸の形、大きさが等が夢で見たユリアの裸体と同じだったからだ。胸を見たのは今のが初めての筈なのに何故だ?と唸っていたのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

兎人ちゃんと異世界スローライフを送りたいだけなんだが

アイリスラーメン
ファンタジー
黒髪黒瞳の青年は人間不信が原因で仕事を退職。ヒキニート生活が半年以上続いたある日のこと、自宅で寝ていたはずの青年が目を覚ますと、異世界の森に転移していた。 右も左もわからない青年を助けたのは、垂れたウサ耳が愛くるしい白銀色の髪をした兎人族の美少女。 青年と兎人族の美少女は、すぐに意気投合し共同生活を始めることとなる。その後、青年の突飛な発想から無人販売所を経営することに。 そんな二人に夢ができる。それは『三食昼寝付きのスローライフ』を送ることだ。 青年と兎人ちゃんたちは苦難を乗り越えて、夢の『三食昼寝付きのスローライフ』を実現するために日々奮闘するのである。 三百六十五日目に大戦争が待ち受けていることも知らずに。 【登場人物紹介】 マサキ:本作の主人公。人間不信な性格。 ネージュ:白銀の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。恥ずかしがり屋。 クレール:薄桃色の髪と左右非対称なウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。人見知り。 ダール:オレンジ色の髪と短いウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。お腹が空くと動けない。 デール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ドール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ルナ:イングリッシュロップイヤー。大きなウサ耳で空を飛ぶ。実は幻獣と呼ばれる存在。 ビエルネス:子ウサギサイズの妖精族の美少女。マサキのことが大好きな変態妖精。 ブランシュ:外伝主人公。白髪が特徴的な兎人族の女性。世界を守るために戦う。 【お知らせ】 ◆2021/12/09:第10回ネット小説大賞の読者ピックアップに掲載。 ◆2022/05/12:第10回ネット小説大賞の一次選考通過。 ◆2022/08/02:ガトラジで作品が紹介されました。 ◆2022/08/10:第2回一二三書房WEB小説大賞の一次選考通過。 ◆2023/04/15:ノベルアッププラス総合ランキング年間1位獲得。 ◆2023/11/23:アルファポリスHOTランキング5位獲得。 ◆自費出版しました。メルカリとヤフオクで販売してます。 ※アイリスラーメンの作品です。小説の内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

奴隷勇者の転生物語

KeyBow
ファンタジー
 主人公は異世界召喚直後に奴隷にされた後に命じられて魔王を討伐した。 その時に奴隷から逃れる為に転生術を発動するも、不完全で記憶を無くしての転生になった。  本来ありえない2つのギフトを得られており、同郷の者と冒険者をするも、リーダーがその可能性に気が付き、嫉妬により腐らせた挙げ句に暗殺に失敗する。  そして追放された。  絶望の最中一人の女性と出会い、その後多くの仲間を得る。しかし、初めて彼女ができるも、他の少女を救った事から慕われ、思い悩む事になる。  だが、転生前と違い、追放後はハッピーに生きようとするが、そうは問屋が・・・  次から次に襲ってくる女難?と悪意から乗り切れるか?

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

処理中です...