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第二章 美容薬販売編

第84話 魔物の襲撃

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 アステールの町への道は、ロイたちにとって単なる移動以上の意味を持っていた。ロイにとっては特に。

 ソニアたちもロイにとって何を意味する町なのかや、場合によってはロイの家族と会えるかもという淡い期待もあっただろう。

 また、この不可解な人員配備の謎についてもアステールの町で答えを得られる?と期待もある。

 もちろん過剰な護衛、いや、中隊規模とはいえ軍を率いているので、少なくとも護衛対象の危険は少ない。

 もちろん想定外や未知の危険も覚悟していた。

 後20分から30分ほどで街に到着する所まで来て、遠目に何となく町が見えた頃誰かがボソリと、何事もなく町に着きそうだ!そういった内容を口にしたのだ。
 人はそれをフラグと言う。

 ロイがそれは!と思った時違和感というか、背筋に寒気を覚えた。

 旅をしていれば思いもよらぬ事態に直面することもあるだろうが、誰かの呟く声の数秒後、突如現れた魔物の大群に追われることになったのだ。

 峠道の頂上からアステールの町を見下ろす場所で、平穏な旅は突如として終わりを告げた。下りきれば町の入り口が見えるその場所でだ。

「何かがおかしい・・・」

 ロイ以外で異変に気づいたのは、先頭を行く若き騎士だった。彼の声に続き、後方から不穏な音が聞こえ始める。

「敵だ!後ろから魔物の群れが!」 

 兵士たちの間に緊張が走り、彼らは戦いの準備を始める。

「後方から魔物の大群が現れたぞ!」

  兵士たちの間に半ば叫び声混じりに、警告が前方へと伝えられる。

 護衛隊の最後尾に位置する兵士たちは、迫り来る危険に直面し、防御の態勢を取る。

「弓を構え、射程に入り次第魔物を射て!」

 その命令の直後、魔物たちの咆哮が空を切り裂く。

「ぐおうおおおお!」 という野太い叫び声が響き渡り、変種のゴブリンが腕を前足として、まるで獣のようにして駆けていた。
 他にもクマ型、純粋な獣型、巨人など様々な魔物が追ってきている。

「ゴブリンだ!クマ型の魔物もいるぞ!」 

 最後尾の馬車から、悲鳴に似た叫び声が響き、兵士たちの間で情報が交換される。

「くそっ、数が多すぎる!」 

 最後尾の馬車にいた兵士が慌てて弓を放つ。

「た、倒れろ!」

 矢は獣のように駆ける変種のゴブリンに命中し、一時的にその動きを止めるが、そいつを踏み越え別の魔物が迫ってくる。

「最後尾の馬車は殿を務めよ!」

  隊長の声が再び響く。しかし、魔物の数は圧倒的で、兵士たちの間に恐怖が広がる。
 隊長の命令に従い弓を持った兵たちは、急いで矢を番えると間髪入れず、後方に向けて射撃を開始する。
 
 中央では騎馬の騎士たちに、隊長が激を飛ばしていた。

「盾を持て!飛行型の魔物もいるぞ!馬車を守れ!」

 馬に跨がっている騎士たちは盾を構え、魔物の攻撃から奥方様の乗る馬車を守ろうと必死だ。

「2台目がやられた!」

 そんな中、悲痛な叫び声が最後尾となった先頭から5台目の馬車から上がり、護衛隊の中央部も上空から魔物に襲われ、混乱が広がった。
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