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第二章 美容薬販売編
第69話 夜闇の錬金術師誕生
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美容薬販売開始2日目の朝を迎えたが、ベリーズはやりきった顔をしていた。
主に工房と店を繋ぐ廊下を壊して、無理やり広くした形だ。
壁紙がないので、二階のカーテンを釘で打ち付けてそれっぽくし、店内の飾りの一部を移設した。
「これはすごいな。リピーターの方が見たらさぞ驚くだろうな」
リックガントの素直な感想だ。
リラと母親は朝食の準備をしており、ソニアが取り2号店へ行っていた。
前本来日の状況から、リラの妹たちも店に駆り出したい所なのだが、2号店開店の準備を急ピッチで行うため連れてこなかった。
本店で使っていた棚をソニアが置いていったので、それらを磨いたり、棚板に布を敷いたりと、準備することは多い。
本店の棚などは無理やり作ったので、これまでの店がとりあえずある。
そんな中、本店では既に人が並んでおり、ロイは整理に追われていた。
工房には切り身にする為のスライムや、試飲用のスライムが数体置いてある。
もちろん関係者用のスペースとして区切ってある。
そんな中、販売スタッフとなる女性陣は、スライムの切り身を食べており朝から艶々だ。
開店までの時間を利用し、並んでいる人にスライムの切り身を配っていた。
これが原料で、嵩張るのと、切り身にすると半日ほどしか持たない保存性を解決するのに、粉末状にしたのだ。
スライム本体は1週間ほど置いてもなんの変化もない。
正確には魔石を突っ込んておくと、劣化が止まる。
ただ、だんだん魔石が小さくなることから、魔力を糧に劣化を止めるのだと推測していた。
スライムの個体を維持するのに使う魔石は、スライム、ゴブリン、スライムでも普通に殺したのと、ロイが抜き取った物、合成した魔石でも効果は変わらない。
単純にエネルギー源として内包している魔力が吸い取られるだけだった。
ただ、切り身の方に魔石を突っ込んでも劣化は止まらず、もしも切り身を毎日食べるなら、スライム本体を丸ごと持っていくしかなく、これらは非売品とした。
切り身は店頭でその場で食べるものとして、今後メニューとする告知でもある。
最初はリラやその母親が食べてみせ、その様子から最初の客がおっかなびっくりで食べる。
中々の美味に驚くので、他の人も続く感じだ。
受け付けカウンターには、涙ぐましく回復ポーションありますや、体力回復薬ありますとサンプルを並べ、張り紙をしている。
体力回復薬の【エナジーローズ】は製造は天日干しをすることから手間がかかり、銀貨5枚とそれなりの値段だ。
そんな中、開店時間になり中で外にいるロイとベリーズ、ドアを開けるミランダとソニア以外が並んで出迎えの準備をし、ロイが2日目の開店を宣言した。
入場制限をするとの看板を作り、告知したからか大きな混乱はなかった。
しかし、異変が起きた。
エナジーローズが急に売れ始めたのだ。
興味本位できのう買っていった中年女性が、10本もまとめ買いをしたのだ。
冒険者をしている夫に、お疲れ様と、栄養ドリンク的に買ったのだ。
それを見たマダムたちが何かあるわねとなり、その客と話をし、試しにと顔を赤らめながら買っていったのだ。
これが後の世に【夜闇の錬金術師リックガント】と言われる伝説の始まりになろうとは、誰も思いもしなかった。
主に工房と店を繋ぐ廊下を壊して、無理やり広くした形だ。
壁紙がないので、二階のカーテンを釘で打ち付けてそれっぽくし、店内の飾りの一部を移設した。
「これはすごいな。リピーターの方が見たらさぞ驚くだろうな」
リックガントの素直な感想だ。
リラと母親は朝食の準備をしており、ソニアが取り2号店へ行っていた。
前本来日の状況から、リラの妹たちも店に駆り出したい所なのだが、2号店開店の準備を急ピッチで行うため連れてこなかった。
本店で使っていた棚をソニアが置いていったので、それらを磨いたり、棚板に布を敷いたりと、準備することは多い。
本店の棚などは無理やり作ったので、これまでの店がとりあえずある。
そんな中、本店では既に人が並んでおり、ロイは整理に追われていた。
工房には切り身にする為のスライムや、試飲用のスライムが数体置いてある。
もちろん関係者用のスペースとして区切ってある。
そんな中、販売スタッフとなる女性陣は、スライムの切り身を食べており朝から艶々だ。
開店までの時間を利用し、並んでいる人にスライムの切り身を配っていた。
これが原料で、嵩張るのと、切り身にすると半日ほどしか持たない保存性を解決するのに、粉末状にしたのだ。
スライム本体は1週間ほど置いてもなんの変化もない。
正確には魔石を突っ込んておくと、劣化が止まる。
ただ、だんだん魔石が小さくなることから、魔力を糧に劣化を止めるのだと推測していた。
スライムの個体を維持するのに使う魔石は、スライム、ゴブリン、スライムでも普通に殺したのと、ロイが抜き取った物、合成した魔石でも効果は変わらない。
単純にエネルギー源として内包している魔力が吸い取られるだけだった。
ただ、切り身の方に魔石を突っ込んでも劣化は止まらず、もしも切り身を毎日食べるなら、スライム本体を丸ごと持っていくしかなく、これらは非売品とした。
切り身は店頭でその場で食べるものとして、今後メニューとする告知でもある。
最初はリラやその母親が食べてみせ、その様子から最初の客がおっかなびっくりで食べる。
中々の美味に驚くので、他の人も続く感じだ。
受け付けカウンターには、涙ぐましく回復ポーションありますや、体力回復薬ありますとサンプルを並べ、張り紙をしている。
体力回復薬の【エナジーローズ】は製造は天日干しをすることから手間がかかり、銀貨5枚とそれなりの値段だ。
そんな中、開店時間になり中で外にいるロイとベリーズ、ドアを開けるミランダとソニア以外が並んで出迎えの準備をし、ロイが2日目の開店を宣言した。
入場制限をするとの看板を作り、告知したからか大きな混乱はなかった。
しかし、異変が起きた。
エナジーローズが急に売れ始めたのだ。
興味本位できのう買っていった中年女性が、10本もまとめ買いをしたのだ。
冒険者をしている夫に、お疲れ様と、栄養ドリンク的に買ったのだ。
それを見たマダムたちが何かあるわねとなり、その客と話をし、試しにと顔を赤らめながら買っていったのだ。
これが後の世に【夜闇の錬金術師リックガント】と言われる伝説の始まりになろうとは、誰も思いもしなかった。
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