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第二章 美容薬販売編

第65話 美容薬販売開始

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 パワーレベリング開始から一週間が経過し、当初の計画通りにパワーレベリングを終えたジミナルは、新たな力を得てブロンズランクへと昇格した。パワーレベリングと平行して行われた素材集めも順調に進んでいた。
 ロイもリックガントから頼まれていた魔石の確保が出来たりと皆にとって充実した1週間となった。
 ジミナルの心には、ヤーナへのプロポーズという大きな決意が芽生えていた。
 ブロンズランクになれば格好も付き、彼女の夫として恥をかかせずに済むと安堵の息を吐いた。
 パワーレベリングを終えたジミナルのパラメーターだ

 **ジミナルのパラメーター**
 - **レベル**: 3
 - **体力**: 5
 - **魔力**: 3
 - **技術**: 5
 - **知識**: 3
 - **魅力**:3
 - **運**: 2
 - **加護**: 3
 ジミナルの加護は研磨。
 ギフトは砥石使いだが、これまでは精々包丁やナイフ、手持ち武器をメンテナンスするのに役に立つ程度の外れギフトだった。

 パワーレベリングを終えた後、金属を研磨すると、鏡面加工ができ、ガラスの研磨が可能となった。
 また、武器を砥ぐと、武器の切れ味と強度が増す不思議加工が可能となった。
 これはロイがある程度予測していて、リラによる鑑定にて確定した。ジミナルが砥いだロイの剣が+補正が入り、ナイフなどでも試した結果だ。

 リックガント魔法道具店では、サンプル配布から一転、明日からは正式な販売が始まる。リラはギルドを休み、ロイたちも店の手伝いに駆り出される。

 店の外ではロイとベリーズが開店前に並んだ客の列を整理し、時折起こる小さなトラブルに対処する。開店前だというのに、大勢の女性が開店を待ちわびていた。

 計画では店内ではミランダが警戒担当として、鋭い眼差しで店内に目を配る。エリナはその人当たりの良さで臨時スタッフとして、客たちを優しく迎え入れる。

 ソニアは収納持ちなのもあり、彼女の収納に入れている大量の商品を管理する。リックガントと共に倉庫係として順次商品を出して行く。
 リラと彼女の母親は会計を担当し、タニスは店内全体を仕切る。彼女は店舗運営の要として招請している。コナリスは一番詳しいスタッフとして、女性客の応対を担う。

 朝の光が店のシャッターを照らすと、既に外には長蛇の列ができており、店内からチラリと見えるその様子にミランダは驚愕していた。

「な、な、なんでこんなにいやがるんだよ!」

 彼女は自分たちの商品がこれほどまでに待ち望まれているとは思ってもいなかった。彼女の手はわずかに震え、緊張の色を隠せないでいた。

「大丈夫よ。お兄さんとロイ様が外で目を光らせているわ」

 エリナがそっとミランダに声をかける。

 タニスは当たり前のように女装をしており、少し奇抜なメイド服を着ていてオープニングの司会を務める。

 オープンの時間が来て、タニスと、緊張している店主のリックガントが店の前に出ていく。

 タニスの姿は華やかで、集まった群衆の目を引くのに十分だった。彼のハスキーボイスは明るく、店の前に集まった人々に向けて響き渡った。

「皆様、お待たせいたしました! 本日はリックガント魔法道具店の新たな美容薬『ヴィーナスラヴェール』の販売開始日です!十分な数を用意していますのでご安心を!それでは店主を紹介します」

 店主のリックガントは、少し緊張しながらも前に出てきた。彼の挨拶は不器用だったが、その誠実さは人々の心に響いた。

「えー、皆さん、本日はご来店いただき、誠にありがとうございます。私たちの店が提供するこの新しい美容薬には、自信を持っております。スタッフを見て頂けるとよく分かるかと思います。皆様の日々がより輝かしいものとなりますように。それでは本日の営業を開始いたします」

 ほどなくして店内は混雑してしまい、入店制限を余儀なくされた。
 ロイは外で列に並んでいる人々に向けて声をかけた。

「ご安心ください、皆様には十分な数の商品がございます。順番にご案内させていただきますので、今しばらくお待ちください」

 途中から店から出た人数だけを中に入れざるを得なくなった。

 店内ではコナリスが女性客の応対をしていた。彼女は一人ひとりに丁寧に商品の説明をし、「お一人様5本まで」という個数制限と服用の注意を促した。

「1日に一本のみお飲みください。2本飲むとお腹を下し、逆に肌荒れの原因になりますからご注意ください」

 リラたちも会計時に念押しで説明をしていた。

 試食コーナーでは、スライムの切り身が提供され、来店者はその効果を実際に体験できた。店は盛況でスタッフたちは忙しさに目が回るほどだった。

 しかし、その成功を妬んだ他の化粧品店の者が、突如として店内に怒鳴り込んできた。

「お前たちのせいで、うちの店に客が来なくなった!どうしてくれるんだ!責任者を出さぬか!」

 と彼は憤慨していたが、奥から騒ぎを聞き付けたリックガントが出てきた。
 彼は落ち着いて対応しようとしたが、その男は聞く耳を持たなかった。店内は一時的に緊張に包まれたが、スタッフたちは冷静に事態を収束させようと努めた。

 いきなり連れの粗雑な男がリックガントに殴りかかるも、背後からベリーズがその腕を掴む。そしてロイが現れた。

「開発者のロイです。他のお客様の迷惑になりますし、大勢の方の前で貴方も怒鳴り散らすのは評判を落としますよ。奥で話を聞きましょう」

 ロイの言葉を聞いた男は、怒りから顔を真っ赤にしたのだった。
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