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第一章 冒険者編
第58話 報告
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ロイは慎重にギルドマスターの部屋の扉をノックした。中から「入れ」という声が聞こえると、ゆっくりと扉を開けた。
ギルドマスターの机の前に用意されている椅子に座り、リラもとなりに座る。
今日はテリーはいなかった。
ギルドマスターが頷くので、ロイは静かに話を切り出した。
「リラのパワーレベリングをした結果と、鑑定ギフトについての報告があります」
ギルドマスターは重々しい椅子に腰掛けながら、深い関心を持ってロイを見つめ返した。
「で、結果はどうだった?」
ロイは一呼吸置いてから答えた。
「リラの鑑定能力は、私たちの予想を遥かに超えていました。これまで人物に対する鑑定は一日に3回が限界でした。しかし、今や一日に最大10回まで人物鑑定ができるようになり、更にパラメーターを読み取れるようになりました。しかし、元のパラメーターが分からないので、数値の意味するところがよく分かりません。パワーレベリングの過程でレベルアップしたとしか思えない位に、彼女の身体能力は大幅に向上しました」
ギルドマスターは眉をひそめ、思案に耽る。
「それは興味深い。だが、この情報がどういう意味を持つのか、まだはっきりとは分からんな」
「そうですね。しかし、これは加護のレベルや、レベルアップの具体的な効果についての新たな理解に繋がるかもしれません。これまでのところ、そのような情報はほとんど知られていませんでしたから」
ロイが答えると、ギルドマスターは頷く。
「うむ、確かにそうだ。リラの鑑定ギフトの特性についても、何か新しい発見はあったか?」
ギルドマスターは更に尋ねた。
「はい、リラのギフトは魔物を倒すことにより得られる経験値を積むことで能力が上がりました。今後より高度な機能を解放することができるようになると思います。また、彼女の鑑定能力は、使用することでより経験値を得てレベルが上がっていくでしょう。つまり拡張されていくということです。これは、ギフトや能力が成長するという概念を改めて示唆しています」
ロイは深く考え込みみ一瞬逡巡して眉間に皺を寄せた。
ギルドマスターはロイが何かを言うか、言うまいか悩んでいるとみて、じっとその目をみていた。
「それと、僕の魔石抜き取りのギフトも能力が上がり、直接触れていなくとも発動するようになりました。とは言え、おおむね手の届く範囲ですが」
それからリラのレベルが1ではないことを告げた。多分これまでは1だったと思うと。
「加護が上がった結果、自分のパラメーターが見えるようになったとも言います。しかし、リラのパラメーターは以下の通りですが、比較対照が少ないため、これらの数値が具体的に何を意味しているのかは不明です」
**リラのパラメーター**:
- **レベル**: 3
- **体力**: 6
- **魔力**: 7
- **技術**: 5
- **知識**: 3
- **魅力**: 8
- **運**: 5
- **加護レベル**: 2
ギルドマスターはしばらく沈黙していたが、やがて深いため息をついて言った。
「非常に興味深い。だが、これらの発見がどのような影響を及ぼすか、慎重に考える必要がある。リラの能力が他の冒険者や魔法使いにどのような影響を与えるか、また、我々の世界にどう影響するか、これからじっくりと検討しよう。リラの能力やレベルについては、儂が信頼する者にのみ話をする。当面パラメーターが見えることは伏せなければ混乱する。リラも良いな?さて、他に協力しようとするような受付はいるだろうか・・・」
ロイは頷くと答える。
「分かりました。私たちはこれからも、レベルの概念の研究と、それが我々の世界にどのように貢献できるかを見極めるために、最善を尽くします」
「分かりました。ギルドマスターのご指示に従います」
ようやくリラも一言言ったが、私って来る必要あったのかな?と思うリラだった。
二人の間には重い空気が流れたが、それは新たな発見と未知への期待の混在するものだった。ギルドマスターはロイに感謝の意を示し、ロイたちは部屋を後にした。
ロイが部屋を出ると、彼は深く息を吸い込んだ。彼らの前には未知の道が広がっている。リラの能力が開く可能性の扉は、恐らく彼らの想像を遥かに超えるものだろう。そして、その旅はまだ始まったばかりだった。
ギルドマスターの机の前に用意されている椅子に座り、リラもとなりに座る。
今日はテリーはいなかった。
ギルドマスターが頷くので、ロイは静かに話を切り出した。
「リラのパワーレベリングをした結果と、鑑定ギフトについての報告があります」
ギルドマスターは重々しい椅子に腰掛けながら、深い関心を持ってロイを見つめ返した。
「で、結果はどうだった?」
ロイは一呼吸置いてから答えた。
「リラの鑑定能力は、私たちの予想を遥かに超えていました。これまで人物に対する鑑定は一日に3回が限界でした。しかし、今や一日に最大10回まで人物鑑定ができるようになり、更にパラメーターを読み取れるようになりました。しかし、元のパラメーターが分からないので、数値の意味するところがよく分かりません。パワーレベリングの過程でレベルアップしたとしか思えない位に、彼女の身体能力は大幅に向上しました」
ギルドマスターは眉をひそめ、思案に耽る。
「それは興味深い。だが、この情報がどういう意味を持つのか、まだはっきりとは分からんな」
「そうですね。しかし、これは加護のレベルや、レベルアップの具体的な効果についての新たな理解に繋がるかもしれません。これまでのところ、そのような情報はほとんど知られていませんでしたから」
ロイが答えると、ギルドマスターは頷く。
「うむ、確かにそうだ。リラの鑑定ギフトの特性についても、何か新しい発見はあったか?」
ギルドマスターは更に尋ねた。
「はい、リラのギフトは魔物を倒すことにより得られる経験値を積むことで能力が上がりました。今後より高度な機能を解放することができるようになると思います。また、彼女の鑑定能力は、使用することでより経験値を得てレベルが上がっていくでしょう。つまり拡張されていくということです。これは、ギフトや能力が成長するという概念を改めて示唆しています」
ロイは深く考え込みみ一瞬逡巡して眉間に皺を寄せた。
ギルドマスターはロイが何かを言うか、言うまいか悩んでいるとみて、じっとその目をみていた。
「それと、僕の魔石抜き取りのギフトも能力が上がり、直接触れていなくとも発動するようになりました。とは言え、おおむね手の届く範囲ですが」
それからリラのレベルが1ではないことを告げた。多分これまでは1だったと思うと。
「加護が上がった結果、自分のパラメーターが見えるようになったとも言います。しかし、リラのパラメーターは以下の通りですが、比較対照が少ないため、これらの数値が具体的に何を意味しているのかは不明です」
**リラのパラメーター**:
- **レベル**: 3
- **体力**: 6
- **魔力**: 7
- **技術**: 5
- **知識**: 3
- **魅力**: 8
- **運**: 5
- **加護レベル**: 2
ギルドマスターはしばらく沈黙していたが、やがて深いため息をついて言った。
「非常に興味深い。だが、これらの発見がどのような影響を及ぼすか、慎重に考える必要がある。リラの能力が他の冒険者や魔法使いにどのような影響を与えるか、また、我々の世界にどう影響するか、これからじっくりと検討しよう。リラの能力やレベルについては、儂が信頼する者にのみ話をする。当面パラメーターが見えることは伏せなければ混乱する。リラも良いな?さて、他に協力しようとするような受付はいるだろうか・・・」
ロイは頷くと答える。
「分かりました。私たちはこれからも、レベルの概念の研究と、それが我々の世界にどのように貢献できるかを見極めるために、最善を尽くします」
「分かりました。ギルドマスターのご指示に従います」
ようやくリラも一言言ったが、私って来る必要あったのかな?と思うリラだった。
二人の間には重い空気が流れたが、それは新たな発見と未知への期待の混在するものだった。ギルドマスターはロイに感謝の意を示し、ロイたちは部屋を後にした。
ロイが部屋を出ると、彼は深く息を吸い込んだ。彼らの前には未知の道が広がっている。リラの能力が開く可能性の扉は、恐らく彼らの想像を遥かに超えるものだろう。そして、その旅はまだ始まったばかりだった。
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