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第一章 冒険者編

第28話 スライムの体液は半端なかった

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 ロイとソニアはスライム狩りを終えると、コナリスに会いに向かった。正確にはコナリスの師匠リックガンド氏が経営する魔法道具店に勤めているので、魔法道具店に向かう。

 水筒を差し出す代わりに、体液が液体状のスライムを身体を丸々出してみせた。
 リックガンドの驚きが大きかったが、彼はすぐに冷静さを取り戻した。

「材料となる体液を早速持ってきました。これはどんな感じの体液でしょうか?臭いもしないので劣化もないし、飲めば切り傷は塞がりました。若干甘かったです。あと、これと同じはずですね」

 ロイは今出したのとは違い、水筒の方を差し出した。

「これがそうか。少し確認するよ。コナリスも飲んでみなさい」

 早速コップに注ぎ、二人は臭いをかいだりした後飲み始めた。

「ま、まさか、これは?」

「どうしました?」

「君は薬師系の加護持ちの仲間を連れて行ったのかい?」

「いえ。僕は魔石抜き取りのギフト、ソニアは異空間収納で、二人だけで狩ってきましたよ」

「試してもよいかね?」

「沢山あるのでどうぞ」

「恐らくこれは前処理が済んたものだ。私も成功率が6割なのだが、まさか全て済んでいるのかね?いや、そうなのだろう。早速ポーションを作るが、まず間違いなく中級回復ポーションが出来る」

 早速前処理である1次工程が終わっているものとして、2次工程を行う。

 鍋に入れて1時間ほど煮詰めながら、他の触媒を入れて手をかざしている。ギフトを使い、魔力を糧に調合をしているのだ。
 鍋が淡く光ると水色の液体が出来た。

「こりゃあ凄い。中級回復ポーションが10本分は出来たぞ!コナリス、君もやってみなさい」

「わ、私がですか?」

「多分君でも成功する。これはそういう物だ。それを試したい。ロイ殿、悪いが少し付き合ってくれないか?」

「はい。かなり大事なことだと思うので大丈夫ですよ」

「ソニアさん、悪いがコナリスが作っている間にこれを瓶に詰めるのを手伝ってくれまいか」

「はい。どうすればよいですか?」

 ・
 ・
 ・

 1時間後、目を見開き固まっているコナリスがいた。

「ど、ど、ど、どうしましょう?中級回復ポーションがこんなにも作れちゃいました」

「やはりコナリスにもできましたね。ロイ殿これは上級回復ポーションを作れる物だよ。上級回復ポーションを作るのに不純物を抜き取る2次工程があるのだが、まず間違いなくその工程も終わっている。私の成功率は3割なのだがね。うちにはないが、触媒を加えて先程と同じ工程を踏めば上級回復ポーションが作れるはずだ。さて、問題はうちにこれだけの材料を買うお金がないことだな。さてどうしたものか?」

「確認ですが、これってギルドには納品できないですよね?」

「そうだな、騒ぎになるぞ」

「騒ぎになるのは嫌だなあ。えっと、リックガンドさんは、店で売る以外ポーションを何処かに卸していますか?」

「ああ。バーモント商会につてがあるが、それがとうかしたかね?」

「材料をリックガンドさんが僕らから買うんじゃなくて、四人でチームを作りませんか?」

「チームとは?」

「はい。僕らは材料を確保し、コナリスさんとリックガンドさんでポーションを作り、それを商会に売る。触媒などの材料代などを差し引いた利益を四人で分配するのはどうですか?これだと手持ち資金は関係ないですよ」

「うむ。確かにコナリスに作らせ、私が販売するのが説得力があるな。資金に余裕ができ、材料が安定して入手することが可能となったと、弟子であるコナリスに色々任せられるようになったからと、できるな」

 因みに中級回復ポーション用に一次工程が済んでいるものは水筒ひとつにつき3万リュピスの価値があるとのことだった。これから大体回復ポーションが10本ほど作れる。

 コナリスが体液を調べてみると、やはりギフトにて処理した後のより品質は上々だった。 

 上級回復ポーションを作れる材料としても十分な品質らしい。
 本来ならば10万リュピスは払わないといけないと言われたが、ロイたちに払うお金が足りなかった。

「これまで上級回復ポーションは資金的に無理だったが、今なら試せるな」

 リックガンドが告げた。
 上級回復ポーションは、四肢を切断されても、切断面を合わせてぶっかけるか飲むと接合し、欠損以外の傷が治るらしい。価格は1本につき50万リュピスとかなり高い。
 主にシルバーランク以上が購入するのだとか。

「そのような条件でよいのかね?私としても願ったりかなったりというか、こちらに都合が良すぎると思うのだが」

「やってみないと分かりませんが、コナリスさんも、僕らも所詮は若造です。年配のリックガンドさんの協力がなければ無理な計画ですから。それにまだこれだけではないんです。まずこの切り身の安全性の検証ですね。ソニアも僕も食べたんですが、まだ食べてもらった人が少ないんです。」

「そういうことならよろしく頼むよ。コナリス、本格的に実験を始めよう。私も年甲斐なく興奮してきたよ。私も君も特に害はなかったな。取り敢えずこれを食べる人体実験とは言わないが、人を増やして検証しないとな。取り敢えず妻に食べてもらおう」  

 ふとロイの目に風魔法の魔法書が映った。

「魔法書を扱っているんですか?」

「興味あるかね?」

「ソニアが魔法にかなりの適正があります」

「うむ。持って行き給え。スライムを狩るにしろ、ソニアさんが魔法を使えるならば心強かろう。ポーションが売れるまでお金を渡せないから、せめてこれくらいはね。それとポーションはちゃんと持ち歩き給え」

 そうして中級回復ポーションを二本ずつ持ち、リックガンドさんはこれから上級回復ポーションの触媒を買いに行くと言っていた。

 明日は朝から店にて実験とし、この日は引き上げた。
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