外れギフト魔石抜き取りの奇跡！〜スライムからの黄金ルート！婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

第一章 冒険者編

第26話 プレゼント

　ロイは店を後にするとソニアに明日の昼食の食材を頼み、別行動として自らは化粧品店へ向かった。

　店員は男が女性向けの店に来たので不審そうにしたが、ロイは化粧水と櫛を求めた。

「あのう、知り合いの女性の髪をなんとかしたく・・・」

　店員に相談するとトリートメントのようなのと、シャンプーのようなの、梳かすための櫛を勧められた。

『これでソニアの髪をきれいにできるぞ！ソニアが堂々と前を向けるようになれば良いな』

　心の中で思いながら、金貨3枚、３００００リュピスを支払った。
　今のロイにとって決して安い買い物ではないが、躊躇わなかった。

　これまで余裕がなかったが、今は少し余裕ができたのもある。

『ソニアがもっと可愛く見えるように』　

　ソニアに感謝を込めて買い物をし、店員の生暖かい目に見送られ店を後にした。

　また、最初にホーンラビットを狩った後からあるプロジェクトがスタートしていた。解体場の隅で、ロイは密かなプロジェクトに没頭していた。彼の手元には自ら狩ったホーンラビットの皮から作られた革がある。

　これは解体場のスタッフから手ほどきを受けながら解体し、鞣して作った一枚物の革だ。
　全ての工程をロイ一人で愛情を込めてやり遂げた物である。
　仕上がりは職人の技術には遠く及ばないかもしれないが、その革一枚に込められた想いはソニアへの深い愛情だ。決して完璧ではないけれど、心のこもった特別な贈り物となるだろう。

　それはソニアが冒険者としての活動をしない休みの日に、この上着を羽織ってもらおうと作った。
　ロイはソニアの小柄な体型に合わせ、細心の注意を払いながら、一針一針、愛情を込めて縫い進めていった。
　時折針が指に刺さったりと、悪戦苦闘しながらも、やり遂げたのだ。

　完成した上着は、柔らかな触感の鞣した皮でできており、内側には保温性の高い素材が施されていた。色はソニアの好みを考慮し、落ち着いた淡い色合いで仕上げられていた。ロイは、この上着がソニアにとってただの衣類ではなく、彼からの大切な想いが込められたプレゼントになることを願っていた。

　ロイはソニアにとって特別なプレゼントを選んでいた。それは口には出さないが、彼女が以前から欲しがっていた化粧品セットだった。

　このプレゼントを手にしたソニアは、感激のあまり涙を流し、ロイに深く感謝した。

「こんなに素敵なプレゼントをありがとう、ロイ。私、本当に幸せよ」

　ソニアは涙を流しながら感謝していた。

　早速ソニアはその新しい化粧品を使いたいと言い、ロイは彼女の願いを叶えるためにギルドの沐浴場を訪れた。
　そこで、ロイはソニアの髪を洗い、新しい化粧水を使って梳かし始めた。
　この作業には1時間ほど費やし、ロイはそれまで見たことがないほどにソニアを美しく変身させた。

　そしてロイは、部屋に戻って着替え終わったソニアに緊張しながらも温かい笑顔で上着をそっとかけた。

「これ、君のために作ったんだ。冒険者をしていない日に、暖かく過ごしてほしいから」

　ロイは言葉に力を込めた。

　ソニアは驚きとともに、ロイからのプレゼントを受け取った。彼女は上着の素材や色、デザインのすべてが自分の好みに合わせて選ばれていることに気付き、その心遣いに感動した。
　ゆっくりと上着を羽織ると、ぴったりとフィットするその感触に、ソニアの目にはうれしい涙が浮かんだ。

「ロイ、ありがとう。こんなに素敵なプレゼントをもらったのは初めてだよ」

　そう彼女は言い、心からの感謝を伝えた。だが、ソニアから与えられるものはない。この体くらいだろうか？他に何かないかなと思わなくはないが、今はこの素敵なプレゼントを素直に喜ぼうと思った。

　何かをしているのは知っていた。
　まさかこのような物だとは思いもよらなかった。

　二人はしばらく庭に立ち、新しい上着を羽織ったソニアの姿を見て、ロイは安堵の笑顔を浮かべた。この日、彼らの友情はさらに深まり、共に冒険を続ける決意も新たになった。　ソニアの新しい上着は、彼女が冒険者として、また一人の女性として成長していく過程で、大切な思い出となることだろう。

　結果、ギルド中が認める美人受け付け嬢の１人であるリラと引けを取らないほどの美少女がそこにいた。
　因みにギルドの受け付け嬢は性格はともかく、皆美人だ。

　ロイ自身も、ソニアの変身ぶりには目を見張り、その場で固まってしまった。
　彼女の美しさは、周囲の誰もがつい振り向くほどのもので、後にあれは誰だ？とギルド中にその話題が広がったとかいないとか。　

　その日の夜、美少女と同じ部屋なのだと意識してしまい、ロイは寝られなかった・・・