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第60話  一人多い

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 一人多いとライが告げたが、少なくともライはそう思っているのだと確信しているとミーニャには分かった。

「何を言っているの?ニースちゃんの事を言っているの?」

「いや、なあ、今ここに何人いて、何人いる筈だ?」

「ライを入れて9人じゃない。まさか婚約者の人数が分からないなんて言わないわよね?」

「さっき俺の部屋には俺を入れて8人いたんだぞ!でも今9人って変だぞ!」

「ねえライ、さっき死に掛けていたから混乱しているの?大丈夫?頭を打ったんじゃないの?さっきも9人いたわよ。ひょっとしてラルファが領主代理の所に行っていたから勘違いしてるの?変だよ?」

「あのねライ。それならばライがひとりひとりの名前を呼んで返事するのはどうかしら?」

「うん。じゃあ皆一旦立ってね。名前を呼んだら首まで浸かってね。じゃあ知り合った順番で行くよ。メアリー・・・」

 メアリー
 ニース
 ユリカ
 パトリシア
 ラルファ
 ミーニャ
 クラウディア
 7人の名を告げていったが、1人黒髪の少女?女性が1人立っていた。パトリシアを少し優しくした感じで、姉妹?と思うような美人だ。さっきからてっきりパトリシアと思っていたのだ。髪型や湯気ではっきりと見えなかったからだ。

 しかしよくよく見ると少し違う。パトリシアより多分ワンカップ大きいのだ。

「君誰?」

「ライ、大丈夫?弥生を忘れるなんて酷いよ?皆を驚かす為にやっているの?」  

「確かに先程ライが死に掛けていた時に弥生は固まってしまっていて動けなかったが、それへのお仕置きのつもりなのだろうか?それでもこの扱いはないと思うぞ!いくらなんでもこれは流石に酷いと思うぞ!弥生が可愛そうではないか」

 ライは弥生と言われている女の腕を掴み、壁際に寄せ壁ドンをした。その時にバスタオルが外れたが、彼女は恥ずかしそうにする事もなく、されるがままに身を任せていた。

「もう一度聞く。お前何者だ?」

 ライの手を取りその見事な白い左胸にライの手をあてた。

「なっ!?」

「私、弥生は主様のモノ。如何様にもしてください。あれ程熱烈に抱いていただいたのに弥生の事をお忘れなのですか?」

「弥生って知らないぞ!その名は俺の愛刀につけた名じゃないか!皆攻撃をされてるぞ!?何かの魔法の影響下でこいつの事を仲間だと思い込まされているんだ」

「ああ、我が主は因果律の影響を受けないのじゃな?主様、もう少し胸を掴む力を弱めて欲しいのじゃ。それとも欲望に任せて我れの体を弄ぶのかえ?」

 ライは弥生の体を舐めるように見てあちこちを触った。

「お前まさか?そんな馬鹿な?この体はどう見ても人のそれだぞ?何故だ?お前魔剣の弥生だな?」

「分かったのならそれで良いのじゃ。じゃがな、流石の我も恥ずかしいのでバスタオルを巻きたいのじゃ。それとも我れの躰を堪能したいのかえ?」

「あっ、悪いな。じゃあ堪能さじゃなくてバスタオルを巻いてくれ。皆、お陰で今スキル作成レベル4の特別開放がなされたよ。それと風呂を出てから弥生から事情を聞くのと説明をするよ」

 そう言ってからライは裸にバスタオルを巻いただけの弥生をお姫様抱っこで脱衣場から部屋に向かった。弥生がこらバカ者何をしておるのじゃ!と真っ赤になりながら抗議していたが、ライはお構いなしだった。

 部屋に着くと部屋の鍵を閉め皆が入れないようにしてからお互いに服を着た。。

 そう弥生と話をする為だ。ずっと違和感が有った。確か魔王を打ち破った勇者パーティーはその後国王になった勇者の夫と勇者キョウコしか生き残れなかった。パトリシアの事以外生き残れなかった者の記述が無い。しかも誰もおかしいと言わなかった。
 勇者キョウコの肖像画が今も国の所々にかざられている。確かに綺麗な女性だが、見た目はどう見ても日本人ではなかった。この国の女性、そう、ミーニャをもっと大人にした感じなのだ。フランス人に近い。前世の記憶を取り戻して以来違和感に苛まされていた。

「お前は一体何者だ?ソロソロ記憶が蘇ったんじゃないのか?」

「そなたのお陰で全てを取り戻したのじゃ。そなたでは駄目じゃな。ライ様と言った方が良さそうじゃな。そうじゃな、全て話そう」

 そうしてパトリシアと酷似しているこの清楚な少女が語り始めた。
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