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第54話 警戒と黒炎聖隷次元刀弥生

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 ラルファは報告を続けた。
 彼女は部屋はライの魔法の失敗か部屋の中で使うべきでは無いのを使ってしまい、結果壊してしまったのだろうとしか思わなかった。

「誰かが複数の者達に襲われたらしい。襲われた者と襲撃者の一部は逃げたとの事だ。しかも襲撃者の一部を逃すのに5人が残り、騒ぎを聞きつけた衛兵と闘ったのが騒ぎの正体だ。挙げ句捕まりそうになると最後の一人は自害したそうだ。それと襲撃されていたのは学園の制服を着ており、少なくとも三属性の魔法が行ける上級魔術士らしく、レベル4と思われる巨大なファイヤーボールの様なのを放って襲撃者の一人を一瞬で焼き殺したらしいのだ。それに飛翔は確かレベル5の筈だが、飛翔で逃げていったとの目撃情報があり、多くの人が見たと聞いたぞ。さあライ、領主代理がいるとはいえ、流石に領主のライが行かない訳には行かぬと思うがどうだろう?しかしこの町にも上級魔道士がいるのだな」

 ラルファと妹以外はジト目でライを見た。

 ライよね?
 ライだな!
 ライ?戦ったの?

 等々ライだと皆が告げた。

「ははは。多分ラルファの言っているのは俺の事だよ。詳しくは部屋を直してからにしようか。落ち着かないや」

「何馬鹿な事を言っているのよ。職人を大量に連れてきても数日は掛かるわよ!ライ、貴方死に掛けたというより、パトリシアがいなかったら蘇生出来ずに死んでいたのよ。何があったのよ?」

「数分で終わるから、その間にラルファに説明してあげて。ユリカ、一旦部屋の荷物を収納に入れてくれるかな?それと皆今から部屋を直すから廊下に出てくれる?まあ、見てなって」

 メアリーは大丈夫だからと文句を言いたげなミーニャを引っ張り出した。

 ユリカが収納に荷物を入れるとライは剣を取り出し、剣に語りかけた。

「この部屋を切り取りたい。君の力を貸してくれ。我が望みにより空間を切り裂きたまえ。黒炎聖隷次元刀」

 ライは口に出しておいて思った。中二病チックで長い名前だなと。刀に言われたのだ。正式名がこれだと。勇者キョウコの元愛刀であり、パトリシアがダンジョンに囚われた時、この刀も一緒に囚われ、5階層のボスの初回ドロップアイテムにされたと。ただ、この銘は銘柄だと。それとは別に名前が欲しいと。

 次元と言えば五右衛門と言うと、2度と力を貸さぬと怒り出し、分かったから、真面目に考えるからとし、何月が好きか?と聞くと桜の咲き始める3月だというので、弥生とした。桜も捨てがたかったが、刀身が赤黒いから桜じゃないなと弥生にした。すると刀は震えて喜んだ。まさかこの見た目の者に和名を名付けて貰えるとは思わなかったと。

 そうして弥生を振ると、部屋が切り出され、何処かに消えたのを見て皆唖然としていた。
 この刀は切り裂いた物を次元の狭間に送り込める。但し生き物には効かない。生き物には黒炎をぶつけて屠る。

 続いてい腕を前に出し、クリエイティブと言い、ライは切り取られ何もなくなった所に元の部屋を再現というか、再構築した。そう、クリエイティブで再現したのだ。

「何よこれ!規格外だわ。これがライが5階層で得たギフトの力なのね」

「うん。こんな感じに物を作る事以外にも、クリエイティブには皆に協力して貰わなきゃだけど、その、特殊な条件をクリアしてギフトの未開放部分を開放しなきゃだけど、スキルを作ったり魔法を作れるんだ。他に習得しているギフトで、スキルや魔法を付与できるんだ。但し、女にしかしないからね」

 ユリカとメアリーは知っているから頷いていたが、他の者は口をポカーンと開き唖然としていた。特にミーニャは嘘偽りもないと分かるのでわなわなと震えていた。

 ミーニャ達が放心状態から復帰するまでの間に、ユリカは収納から荷物を出して元の位置に置いていった。ミーニャ達はライのクリエイティブについては、武器や食料を作成するギフトだと思いこんでいたから衝撃は計り知れない感じだった。

 ラルファは色々な意味でわなわなと震えていた。

 ラルファ以外はライが復活した事の慶びと、ライが己にヒールを使った為、怪我が完治したのもありつライが死に掛けていた、いや、実際心臓が完全に止まっていたのと、そうなったのが襲撃を受けた為だというのをついつい忘れていたのであった。
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