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第32話 5階層
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ミーニャ達は5階層を進んでいたが、かなりの数の魔物と遭遇しており少し手間取っていた。しかもそこそこ強い。1階層のボスが複数匹連なって攻めてくる!そんな感じの場合もある。重傷こそなかったが、攻撃を喰らい吹き飛んだり、出血を伴う切り傷を負ったりしていた。
脳筋ペアの二人がウオォォと叫びながら己の獲物を振り回し、血路を切り開きながら半ば強引に突破していた。
その為、この二人がかなりの怪我を負っていた。そしてミーニャに至っては5階層のボス部屋まで魔法を使わず、魔力を温存していた。
5階層のボスに相対する時に備えていたのだ。部屋の入り口に着いた時には、さすがにミーニャが後方に壁を作り、ボス部屋前にちょっとした空間を作った。そこで小休止と治療を行っていたのだ。
このパーティーの回復要員は肉の壁になる筈だった2人が担っていた。
手持ちの回復ポーションを全て出し、4人に分配した。この2人が回復魔法を必死になってかけていたのだが、それはポーション類も全て温存であるからだ。
治療にそれなりに時間がかかってしまうが、それでもポーションを温存する事を選んだ。ボス部屋での戦闘中に回復魔法で回復している時間がないと判断したからだ。
ライの話だとライが5階層をクリアしたのは偶然であり、偶々だと。もしもミーニャ達が5階層の扉から入ってボスを倒したならば、本来あるべき姿での初クリアとなる。
回復と休憩が終わり、5階層のボス部屋の扉を開けると、6人は躊躇する事なく入っていった。そして6人はそこにいた魔物を、つまりボスを見て愕然とした。サイクロプスだったのだ。
「そ、そんな。流石に相性が…不味いですわね」
ミーニャは呟いた。
ミーニャ以外の者も驚きの声を上げていた。
ライからワイバーンが出たと聞いていたが、自分達の時は違ったのだ。つまり少なくとも2種類のボスがいるという事が分かる。
油断していた。誰が悪いと言うのではないのだが、ワイバーンなら勝ち目が有り、一種類のボスと誰もが決めつけており、対ワイバーン戦しか想定していなかったのだ。この年齢だから仕方がなかったのかもだが、考えが甘かったのだ。今まで全く情報が無かった所にクリア者からの情報が入って来て、つい決めつけてしまったのだ。
ミーニャの魔法と相性が悪い。ミーニャの得意属性とサイクロプスの属性が同じだからだ。そ、そんなどうしようと唸っていた。
折角これまで温存していたミーニャの魔法による一撃に託す、そんな形でみんな対ワイバーンを想定した魔法を詠唱しながらボス部屋に入ったが、詠唱を途中でやめざるを得なくなった。
それでもミーニャはリタイア予定の女の子に対し指示を出した。
「モーリー、貴女は今すぐに離脱し、地上に戻りなさい」
はいと言うとモーリーはリタイヤしますと叫んだ。するとモーリーの体がスーッと消えていき、その場からいなくなった事が分かった。
先ほどモーリーと呼ばれた女の子がいた所へ、サイクロプスが持っていた棍棒がブーンという大きな音と共に振り抜かれていた。
真っ先に一番弱いと判断した者を狙ってきたのだ。
肉の壁要員と言っても、この二人は実はメアリーやユリカよりも強い。但し、王都の勇者学園の中においては最弱の部類に入っていた。そうあくまでも王都での話だ。
この6人は当初より、つまり入学した頃よりパーティーを組んでおり、自ずとこの6人がダンジョンに挑む時もパーティーを組むという事は決まっていた。
そう、それほど昔から肉の壁要員として手を上げ、そのお金をもって生活をしていた。訓練をしそれなりに実力をつけてはいったが、王都の勇者学園は猛者が集まる事で有名であった。
元々ミーニャ自体魔法に対してただならぬ素質があり、入学当初からウマのあったラルファとパーティーを組んだ。それによりずっと学年主席の座をキープし続けていた。
現在の所ミーニャはレベル5の魔法の取得に励んでおり、4の魔法は既に習得していた。
過去400年において学園在学中にレベル4の魔法を取得できた者はいない。記録の残っていないそれより過去には何人かいたようだが、少なくともこの400年に関してはいなかったのだ。
しかももう少しでレベル5を取得できる!そういう所にまで来ていたのだ。その為勇者学園始まって以来の才女とまで言われていた。
検証の為にまずは一人を脱落させたのだが、その結果に皆満足していた。どう見てもその場から離脱しているからだ。ライが言っていた事は正しかったのだと理解した。
その為、肉の壁要員は男の子一人だ。他の三人はサイクロプスに接近戦を仕掛けていた。しかしそんな三人の攻撃をあっさりと躱している。
ラルファは実力者だ。学園始まって以来の剣の才能の持ち主とも言われ、姫騎士とも剣姫とも言われている。
そしてこのペアと戦えば二人掛かりであれば負けてしまうが、1VS1ならば負けない、このぺあの実力はそういうものだ。
ミーニャは3属性の魔法が行けるが、あくまで得意は土属性であり、他は闇属性と水である。サイクロプスに闇魔法で目くらましをしたりとはしているが、土魔法を使うわけにはいかなかった。水魔法は土に特化していた為、学園での授業でしか学んでいなかったのもあり低レベルしか使えなかった。戦闘で使用しても牽制程度であり、とてもではないがダメージは入らない。唯一使えるレベル2の水魔法は先程ラルファを止めたアイスショットだけだ。
サイクロプスが土属性であり、それに対する耐久力がある。場合によっては力付けてしまう為、ミーニャの切り札となる筈であった得意である土魔法が使えなかったのである。
脳筋ペアの二人がウオォォと叫びながら己の獲物を振り回し、血路を切り開きながら半ば強引に突破していた。
その為、この二人がかなりの怪我を負っていた。そしてミーニャに至っては5階層のボス部屋まで魔法を使わず、魔力を温存していた。
5階層のボスに相対する時に備えていたのだ。部屋の入り口に着いた時には、さすがにミーニャが後方に壁を作り、ボス部屋前にちょっとした空間を作った。そこで小休止と治療を行っていたのだ。
このパーティーの回復要員は肉の壁になる筈だった2人が担っていた。
手持ちの回復ポーションを全て出し、4人に分配した。この2人が回復魔法を必死になってかけていたのだが、それはポーション類も全て温存であるからだ。
治療にそれなりに時間がかかってしまうが、それでもポーションを温存する事を選んだ。ボス部屋での戦闘中に回復魔法で回復している時間がないと判断したからだ。
ライの話だとライが5階層をクリアしたのは偶然であり、偶々だと。もしもミーニャ達が5階層の扉から入ってボスを倒したならば、本来あるべき姿での初クリアとなる。
回復と休憩が終わり、5階層のボス部屋の扉を開けると、6人は躊躇する事なく入っていった。そして6人はそこにいた魔物を、つまりボスを見て愕然とした。サイクロプスだったのだ。
「そ、そんな。流石に相性が…不味いですわね」
ミーニャは呟いた。
ミーニャ以外の者も驚きの声を上げていた。
ライからワイバーンが出たと聞いていたが、自分達の時は違ったのだ。つまり少なくとも2種類のボスがいるという事が分かる。
油断していた。誰が悪いと言うのではないのだが、ワイバーンなら勝ち目が有り、一種類のボスと誰もが決めつけており、対ワイバーン戦しか想定していなかったのだ。この年齢だから仕方がなかったのかもだが、考えが甘かったのだ。今まで全く情報が無かった所にクリア者からの情報が入って来て、つい決めつけてしまったのだ。
ミーニャの魔法と相性が悪い。ミーニャの得意属性とサイクロプスの属性が同じだからだ。そ、そんなどうしようと唸っていた。
折角これまで温存していたミーニャの魔法による一撃に託す、そんな形でみんな対ワイバーンを想定した魔法を詠唱しながらボス部屋に入ったが、詠唱を途中でやめざるを得なくなった。
それでもミーニャはリタイア予定の女の子に対し指示を出した。
「モーリー、貴女は今すぐに離脱し、地上に戻りなさい」
はいと言うとモーリーはリタイヤしますと叫んだ。するとモーリーの体がスーッと消えていき、その場からいなくなった事が分かった。
先ほどモーリーと呼ばれた女の子がいた所へ、サイクロプスが持っていた棍棒がブーンという大きな音と共に振り抜かれていた。
真っ先に一番弱いと判断した者を狙ってきたのだ。
肉の壁要員と言っても、この二人は実はメアリーやユリカよりも強い。但し、王都の勇者学園の中においては最弱の部類に入っていた。そうあくまでも王都での話だ。
この6人は当初より、つまり入学した頃よりパーティーを組んでおり、自ずとこの6人がダンジョンに挑む時もパーティーを組むという事は決まっていた。
そう、それほど昔から肉の壁要員として手を上げ、そのお金をもって生活をしていた。訓練をしそれなりに実力をつけてはいったが、王都の勇者学園は猛者が集まる事で有名であった。
元々ミーニャ自体魔法に対してただならぬ素質があり、入学当初からウマのあったラルファとパーティーを組んだ。それによりずっと学年主席の座をキープし続けていた。
現在の所ミーニャはレベル5の魔法の取得に励んでおり、4の魔法は既に習得していた。
過去400年において学園在学中にレベル4の魔法を取得できた者はいない。記録の残っていないそれより過去には何人かいたようだが、少なくともこの400年に関してはいなかったのだ。
しかももう少しでレベル5を取得できる!そういう所にまで来ていたのだ。その為勇者学園始まって以来の才女とまで言われていた。
検証の為にまずは一人を脱落させたのだが、その結果に皆満足していた。どう見てもその場から離脱しているからだ。ライが言っていた事は正しかったのだと理解した。
その為、肉の壁要員は男の子一人だ。他の三人はサイクロプスに接近戦を仕掛けていた。しかしそんな三人の攻撃をあっさりと躱している。
ラルファは実力者だ。学園始まって以来の剣の才能の持ち主とも言われ、姫騎士とも剣姫とも言われている。
そしてこのペアと戦えば二人掛かりであれば負けてしまうが、1VS1ならば負けない、このぺあの実力はそういうものだ。
ミーニャは3属性の魔法が行けるが、あくまで得意は土属性であり、他は闇属性と水である。サイクロプスに闇魔法で目くらましをしたりとはしているが、土魔法を使うわけにはいかなかった。水魔法は土に特化していた為、学園での授業でしか学んでいなかったのもあり低レベルしか使えなかった。戦闘で使用しても牽制程度であり、とてもではないがダメージは入らない。唯一使えるレベル2の水魔法は先程ラルファを止めたアイスショットだけだ。
サイクロプスが土属性であり、それに対する耐久力がある。場合によっては力付けてしまう為、ミーニャの切り札となる筈であった得意である土魔法が使えなかったのである。
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