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第27話 ハイリスクかローリスクか?

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 ライが告げた内容についての衝撃から立ち直ると、ミーニャが急ぎ学園長達を呼び出すべく使いを向かわせていた。今は夜中で間もなく日付が変わる時間であり、普通の者は寝ている時間だった。

 ダンジョンアタックの順番は、ライ達がいつまでたっても戻らないので変更になっていた。ライ達がダンジョンに入った時に休みを入れていたミーニャ達が、寝ていない本来の者達と順番を入れ替わっていたのだ。

 騒ぎの中、ライはダンジョンの設定について考えていた。申し訳ないと思いつつ、メアリーとユリカに皆への対応を押し付けた形になる。

 ライが悩んでいたのは今後のダンジョン設定についてだ。今はハイリスクハイリターン、そういう突飛なダンジョンになっている。正直な所、5階層のボスを倒すとかなりレアなギフトを得られる。しかし、本来であればライ達の歳の者達ではとてもではないが倒す事のできない強さのボスが設定されていた。

 これまでに4階層をクリアした者はいなくはないのだが、5階層はいなかった。数十年に一度4階層を突破した者が生きて戻ってきたが、4階層を突破して先に進んだ者達はそれなりにいると思われる。だが5階層に挑んだ者は誰一人戻らなかった。実力者が5階層のクリア宣言をしてからダンジョンに入った事が幾度もあるのだ。 

 そう、絶対に進んだ者がいる筈と考えていたのだ。

 そこでライがパトリシアに確認すると、やはり過去に5階層に挑み死んでいった者は予想よりも多く、5階層で死んだ者は、死者全体の2割程になるという。皆自分達なら行けると、初クリア者になり名を上げてやると息巻き、そして死んでいったのだ。

 その為、ライは5階層は実質的にクリアできないものと評価した。ライがクリアできたのは偶然であり、実力で倒したわけではない。あくまで偶然の賜物なのだと思っていた。

 そこでどちらかと言うと可能な限りローリスクにした場合を考えた。ローリスクの場合、現在の4階層をクリアした者が得られるであろう力を少し上回る力を得られるのが最大のリターンになると。  

 低確率になってしまうが、ライが得られたような超レアなギフトを得られる可能性が残る!という選択肢しかないと考えた。要はそれであれば死なない設定にできるのだ。

 勿論確率は半減するが、メアリーやユリカの得られた矢避けの加護や絶対防壁のようなレアギフトを得られる可能性は残る。

 ライの場合、この確率等とは別でレアギフトを得られており、転生者である為本来このダンジョンで得られないようなギフトを得られたのだ。

 ダンジョンについては元々設置時の設置目的や設定があり、いじれない箇所がある。

 それでも凶悪な魔物をボスとして設置する場合、ボスを倒した場合の見返りを大きくしなければならない。

 設置する者の立場から見れば、悪意を持って強いボスを設定すればダンジョンに挑んだ者を殺す事がかなりの確率で可能になるからそれは良いが、万が一倒された時のリスクが高い。挑む側も設置する側も強いボスを設定するというのはハイリスクなのだ。ただ、このダンジョンを作った魔王はもういない。

 変更できる設定の中にこういうのがあった。ダンジョンに挑むグループがその都度ハイリスクかローリスクかを選択できるような設定変更だ。

 ただ時間の関係でこれらは後回しにしなければならない。ただ、今はハイリスク型を選び、死んでいく者がこの先も発生する可能性を考えると、その設定をするのは躊躇する。

 これはミーニャや学園長に話し、設定をどうするか決めて貰う事にした。

 それまでは死なない為の設定を押し付けようと考えていた。少なくともローリスクの死なない設定にした場合でも、5階層ををクリアできれば万々歳だ。だが5階層で死んだ場合、3階層をクリアした報酬と同等となる。但しデスペナルティを支払う羽目になるのだ。

 また4階層をクリアした後、5階層へ進まない選択をした場合は問題ない。ライが挑んだ時の4階層の報酬よりはレアが出る確率は半減するが、それでも3階層で得られるのよりは強力なギフトを得られると判断していた。

 ライが何やら真剣に考えを巡らせており、話しかけようとする者をミーニャが手で制していた。

 ただ、ミーニャは困っていた。この貴重な鏡を返すタイミングが無いからだ。ミーニャとの話が終わった後思案にふけっており、ミーニャは邪魔をしてはいけないと思いつつ、表情が変わっていくライを眺めていて、変な人とクスクスと笑っており、そんなミーニャの姿に皆唖然としていたのだ。
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