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第17話  野営

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 ライは悩んでいた。2人が気絶している今の間に、一つスキルを作るかどうかをだ。

 作るスキルは候補が二つある。嘘を見破るアンフェイク。どうもこのクリエイティブのギフトの説明文が偽装されているのではないか?と疑わざるを得ないからだ。その為スキルを使って嘘を見抜けないか?と思ったからだ。矛盾した記述があるから強く感じていたのだ。

 もう一つは空間認識。建物をクリエイティブしてみたが、間取りがこんがらがってしまい、ドアがない部屋だとか位置関係がおかしい部屋ができてしまったからだ。メアリーの住んでいる屋敷の一部を再現したつもりだったのだが、頻繁に行っていたにも関わらず、いざ再現すると不完全だったのだ。

 空間認識がきちんとできていればそんな事もないのかな?と思ったからである。

 とりあえずスキルをクリエイティブをする為には、レベル解放がされていないといけないので、先ずは手を握る事にした。寝ているメアリーの手を握ったが、彼女の手は小さく柔らかかった。こんなに小さかったっけ?と呟いていた。

 12歳位の時だろうか、それを最後に彼女の手を握っていなかった。当時はまだメアリーの方が背が大きく、彼女の手の方が大きかった記憶がある。

 今では一回り程ライの手の方が大きいのだ。そして手を握るとレベル1のスキル作成が解放された旨のアナウンスがあった。

 次にユリカの手を握る。彼女の手は白く更に小さかった。重いものなんて持った事がないんだろうな?そう思うぐらい華奢で柔らかな手であった。そうするとまたアナウンスがあった。

「レベル1のスキル作成特別開放を確認しました。これにてレベル1のスキル作成を複数行う事が可能となりました。尚スキル作成時の副作用にご注意ください」

 そんなアナウンスが頭の中に響いていたが、それを聞いてライは思った。副作用ってなんだろう?と。そのアナウンスが無ければ試しにスキルを一つ作ってみようかと思ったが、踏みとどまった。

 副作用が酷ければ二人に面倒を見てもらわなければならないかも分からないし、何となく嫌な予感がしたのだ。

 そんなわけで、2人を見る事以外に特にやる事がなくなったが、やはり無防備な2人を見るとその魅力的な見た目もあり、ついつい手を伸ばしたくなる誘惑がある。その為、自分のステータスを見たりスキルやギフトの確認をして、2人から意識を離すようにしていた。ダンジョンの影響を受け、本来は理性が働く部分に妨害が入り、頭の中に小さく声が響き続けていた。また、一瞬だが、裸の女性がエロい格好で誘惑している風景も頭の中に送り込まれていた。映画等である、サブリミナル効果だ。しかも微量の媚薬も散布されており、ムラムラしてしまうのは当たり前なのだ。2人がかなり積極的なのもダンジョンの影響からで、ライを信用しているのもあるが、無防備過ぎるのは貞操観念がダンジョンにより侵食されていたからだ。
 本来の理性がまだ勝っていたから裸になり抱いてと言う所にはまだ至っていなかったが、ダンジョンを作成した主はそれを狙っていたのだ。5階層の下にいる主が3人の理性がなくなるように仕向けており、3人は無意識下に心が開放的になりつつあった。


 襲っちゃえ!手籠めにしちゃえ!男だろ!あれは誘っているんだよ!女に恥をかかせてはいけないわ。彼女達も貴方に抱かれる事を期待しているのよ」

 そんな囁き声が意識の外からずっと聞こえていた。

 無理やり意識をギフトやスキルについて向けていたのだが、効果については実際に使ってみないとなんとも言えない。そんな感じであった。
 
 特にギフトの利用については、考えなしにアイテムをポンポンポンポンと出し、しかも建物などの大きな物体をぽんぽんと作っていたのだ。改めて副作用のアナウンスを聞いた後は軽率な行為だったなと反省していた。


 それはクリエイティブのスキル生成について、副作用があるとの警告が出たからである。その為、これからは新たなギフトなどを解放したり使用する時は2人の立会い又は少なく共一人にはお願いするとした。そうこうしていると先にメアリーが目覚めた。

「おはようライ。あなたが私のお部屋に来るなんて珍しいわね。私呼んだかしら?それともようやく夜這いに来たのね?ふふふ。待ってたのよ」

「違うんだよ。ここはダンジョンの中だよ。ダンジョンの中に部屋を作ったんだ」

「何を言っているの?どう見てもここは私の部屋じゃないの?やっぱり私の寝込みを襲いに来たのね!いいわよ。その代わり、ちゃんと結婚してよね」

「いや、ここは本当にダンジョンで、僕のギフトでメアリーの部屋を再現して作ってみたんだ。子供の時の記憶だから少し違うかもだけどもどうだろう?それに寝込みを襲うなんてしないさ。ほらユリカもいるし」

「あっ!私ユリカも誘っていたんだ。気分が変なの。おかしな事言っている気がするの。その、変な気分なの。駄目だとは頭では分かっているの。でも体が熱いの。滅茶苦茶にされたい気分なの。ふしだらな私の事を嫌いになった?」

 いつの間にかユリカも同じようにしており、流石にライも異常に気が付いた。ライもエッチな事をしたいと、二人を犯したいとひたすら思い、理性が押し留めていた。自分でもおかしいと感じていた。

 異変を感じ、精神攻撃だと確信した。それを打ち破る為痛みを必要と考え、自らの脚にナイフを刺した。二人が悲鳴を上げていたが、急激に   がはっきりとし、これはダンジョンの罠だと理解した。

 直ぐにナイフを抜き、治療をした。粗治療になるかもと思い、二人を正気に戻す事を決意し、まずはメアリーの襟首を掴みごめん!と一言言ってから平手打ちをした。3発目で目がまともになり、真っ赤になっているメアリーを見た。ヒールを掛け、同じようにユリカも平手打ちにした。ユリカも戻ってきたようで、これまでの言質に真っ赤になり震えていた。

 ヒールを使い、かいつまんで事実と推測を伝えた。
 そして2人にはあの言質は、ダンジョンに精神を侵略されていたからだと、気にしない旨を伝えた。

 2人は自分達がおかしかった時に最後の一線を超える事も出来たのに、耐え抜いて手を出さずにおいてくれたライにひたすら感謝していたのであった。
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