上 下
198 / 241
第3章

第198話 モデルさん気分

しおりを挟む
 地面がボコボコだったが、人が住んでいる所でも街道沿いでもないのでまあいいっか!と城に向かう事にした。

「ようし、皆心配しているだろうから一旦城に戻り、それからみっちゃん達を追い掛けようか!」

「はーい!あのう、今回はお姫様抱っこでお願いします!」

「うん」

 飛び始めて直ぐにアイリーンが複雑な顔をしていた。

「栃郎さん、なんかお尻に当たっているんですけど、何か着けていたりします?」

「ごめん。戦闘の興奮で、俺の如意棒が大きくなっているんだ。いま如意棒がコントロールできなくて」

「そんなアイテムってドロップしていましたっけ?」

「えっ?」

「どうかしました?」

 オブラートに言ったのに分からなかったらしい。 

 アイリーンは眼下に湖があったので一旦降りて欲しいと言ったけど、おしっこかな?

 俺は地上に降りると穴を掘りその上にトイレ小屋を出した。

 今では穴の上にトイレの排水口が来るように出せるようになった。

 しかしアイリーンは何故か入らない。

「栃郎さん、トイレを出したのに入らないんですか?」

「あれ?アイリーンがおしっこしたかったんじゃないの?」

「ち、違います!私おしっこなんてしません!それよりもさっきからソレを押し当てていたんですか?サイテーですよ!でも私をようやく女として見てくれたんですね!恥ずかしいけど嬉しい!その、私とニャンニャンしてもって聞いていますか?」

 俺は周りの気配から全く聞いていなかった。

 魔剣を出して身構えていると、豚面の魔物が2頭現れたが、サクッと斬り伏せた。

「えっとなんだっけ?」

「もう知りません!女の子に恥をかかさないでください。それにトイレは邪魔なんでしまってください」

 俺はため息を付きつつ、ここはなかなかのロケーションだなと思う。

 カメラを出し湖を見ているアイリーンをパシャリ。

「アイリーン!こっちに体を斜めに向けて、顔はカメラを見て!」

 素直に指示に従うアイリーン。
 アイリーンもまんざらじゃないようで少しの間モデル気分を味わったようだ。

 別に女の子をパシャリとしたかったわけじゃないけど、アイリーンは写真を撮られるのが好きなのを知っているから、気を紛らす為のツールだ。
 それにさっき失禁までさせちゃったから、そのお詫びかな。

 機嫌を取らないとだし。

「あっ!栃郎さん!三脚を出して欲しいの!」

 俺はアイリーンから言われるままに三脚にカメラをセットした。

「どこが良いですか?」

 俺はこの場のベストポジションと構図を考えカメラの位置を調整した。
 アイリーンにも位置を細かく指示したりする。

 三脚を出す理由は俺でも分かる。
 セルフタイマーでツーショットの写真を取って欲しいからだ。
 普通に腕を組んだり、ただ横に並んだりした。

 そうすると顔をぐいっと向け、アイリーンがキスをしてきた。
 そう、アイリーンの目的は俺とキスをしている写真を撮りたかったのだ。

 不意打ちだったので、ちゃんと絵になる感じでもう一度撮る。
 ドサクサに紛れて本日2度目の女子高生とのキスをした。
 罪悪感と背徳感が半端ない。

 すっかり機嫌の良くなったアイリーンを抱っこして城に戻る。
 俺とアイリーンの服が変わっているので心配されたが、戦闘で汚れたから着替えただけだと伝えると皆ホッとしていた。

 顛末を伝えるべくみっちゃん達にトランシーバーで連絡しようとしたが、既に圏外だった。
 俺はまだ興奮していたが、アイリーンをベルトで固定してから目的地を指定してタウンドリフトを発動し、狭い空間に2人が転がり込む。
 そうして2人だけの濃密な5時間が始まるのであった。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

処理中です...