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第3章

第169話 土下座?

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 捕らえた賊の事はともかく、俺はもう1度天井に飛んで誰も潜んでいない事を確認した。

 俺が確認を終えて降りると異変があった。

 国王を初め、王妃、王女、腹心達が土下座をし始めたのだ。
 勿論土下座ではなく、この国の目上の人に対する最上級の礼というか、挨拶だ。
 正座をして、両手を伸ばして床に付ける感じだ。

 それを見た謁見の間にいる警備で立哨をしている兵士と、俺の仲間以外が同じように膝まついて礼をする。

 これにはシャルルも驚いており、俺は取り敢えず国王の肩を掴むと立って貰った。

 そしてシャルルの登場だ。
 警備兵が何とかシャルルを壇上まで連れてきていたが、どうやら俺の立場は国王よりも上になるようだ。

 先程の事で俺が真の勇者様と認識された、いや、されてしまったようだ。

 シャルルが現れたので俺は安堵したというのが本音だ。

 シャルルが辿り着いたのは良いが、全てにおいて予測の斜め上だった。

 シャルルから勇者を厚遇する国とは聞いていたが、これでは厚遇どころではなく、崇拝ではないかと思う。
 シャルルの慌て振りから、これ程とは思っていなかったようだ。

 つまりこの国にいると思われる高校生達は保護されているはずだ。

 そう思うと取り敢えず俺は胸をなでおろす。
 シャルルの話しだと、元々この国はかつての勇者により繁栄をもたらされた国であり、勇者パーティーのうち、何人かがこの国に残ったと。

 この国の今があるのはその勇者達による活躍によるところが大きく、王族にもその者達の血が流れていると言う。
 確かに王族にはアジア系の特徴が見て取れる。
 黒目だった。

 正直なところ、非常に居心地が悪い。なぜかと言うと、まさかの目上扱いをされたからだ。
 どう仕切れば良いのか分からないので、俺はおろおろしている状態だ。
 だが、さすがそこは王族であるシャルルが落ち着いて間を取り持ってくれた。お礼に後でキスくらいしてやらねば!ってこの子は王女だ。キスの意味は大きい。
 大学生と高校生を比べると、そりゃあ大学生は大人さ。シャルルは大学生の年齢だ。
 あの魅惑的な唇を・・・コホン。

 取り急ぎ謁見の間にいる人達をどうにかしないとだ。
 シャルルに目配せをしたが、分かったようで、国王に皆を立たせるように告げてくれて、俺をちらっとシャルルと国王が見たので俺は頷く。

 すると国王は謁見の間にいる者達に立つように話をしてくれた。

「皆の者、見ての通りこの方こそ真の勇者様である。また、剣聖ニーナ殿がここに来られておる。真の勇者様の恋人であり、またパーティーの一員として活躍し、訳あってこの国に来られたのだが、わざわざ表敬訪問をしてくれた。今日は軽い挨拶だけを頼みたい。この方こそ真の勇者・・・」


 俺とシャルル、ニーナ、アイリーン、そしてみっちゃんは当たり障りのない挨拶だけをした。

「・・・今は長旅の直後の為お疲れだ。なのでお休み頂かねばならぬ。その為、本日の謁見はこれまでとする」

 国王が謁見をこれまでとするとして、最後を締めくくってくれた。

 また、ニーナの紹介は大いに盛り上がっていた。
 だが待てよ?今このおっさん聞き捨てならぬワードを発しやがった?

 ニーナは外見だけを見ると、アイリーンと比べても遜色ない、つまり物凄い美人ではある。
 だが、なぜこんなに人気があるのかよく分からない。
 男よりも寧ろ女に人気があるんだよな。
 でも、同性愛者ではないと言っていたからそちら方面でもないし、ビキニアーマーを着ているが、ポロリは俺以外にするつもりもした事も無いと言っていたな。
 取り敢えず後回しだな。

 また勇者様に命を救ってくれて感謝すると発し、王妃、王女、国王の3人が謁見の間にいる者達に手を振り、どこも怪我をしていないのと、真の勇者様のおかげで命拾いをしたと皆に告げて健在をアピールしていた。

 暗殺未遂事件が起きたのもあり、本日の謁見は中止となり解散となったが、俺達は隣室にある会議室に通された。
 やはり城の作りは他の国も大差ない。

 みっちゃんとアイリーンは聞きたい事があるはずだがずっと我慢して堪えていてくれた。
 俺は先程の女をよく見ていなかったが、目だけは黒かったなと。
 髪は分からない。ぴっちりした何かを被っており、髪は見えなかったからだ。

 その正体は次話かな?
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