異世界はスマッシュと共に

KeyBow

文字の大きさ
上 下
1 / 33

第1話 プロローグ

しおりを挟む
 地球ではないとある世界の草原に、テニスウェアに身を包んだ日本の高校生が立っていた。それは渡辺健斗だ。(わたなべ けんと)
 彼は高校2年生で、テニス部に所属する普通の少年だった。いや、少し中二病を患ったテニスバカだ。

「なんだよここは?まるで異世界かゲームの世界じゃないか!」

 健斗は戸惑いながらも、周囲を見渡していた。先程までテニス部の部室で着替えようとしていたが、今は人工物が全く見えない草原にいる。

 テニスの練習が終わり、着替えるために部室にあるロッカーを開け、カバンを掴んだ瞬間、突然空間がゆがんだ。そして瞬く間に謎の光に包まれ、その直後、健斗は何もない草原に放り出されたのだ。

 光が収まると視界が戻ったが、目の前に広がるのは見知らぬ広大な草原・・・ 青い空、遠くに見える森、風に揺れる草がサワサワと音を立てている。

「ここは・・・どこだ?きれいなところで、空気もうまいな・・・」

 健斗は混乱しながらも、その美しい風景にしばし見とれていた。しかし、ハッとなり思いついたことを行う。

「やはりこれってさ、ついに俺も異世界に召喚されてたりしてさ、ステータスとかも確認できるやつか?そうだよな?あれやりますか!いつやるの?って今でしょ!」

 そう言って健斗はお決まりの言葉を口に出してみた。異常事態に不安に思うより、心の中に潜む中二病心が覚醒した感じで、異世界に来て無双できるんじゃないか?とワクワクが勝った。

「ステータス!」

 すると、目の前に半透明のウィンドウが現れた。そこには自分の名前や能力値が表示されていた。

・・・

ステータス

名前: 渡辺 健斗
年齢: 17
職業: 無職
称号: 異世界転生者
レベル: 1
体力:  50
魔力:  20
攻撃力: 60
防御力: 45
敏捷性: 52
知力:  10
スキル:テニスの達人
特技:ゲーム知識

スキル&特技詳細
【テニスの達人】: テニスに関する技術と攻撃力、体力が大幅に向上する。攻撃に役立つ特殊能力が備わるが、通常武器にはマイナス補正がかかる

【ゲーム知識】: ゲームに関する知識が実際の戦闘や戦術に応用できる。危機的状況下では思考が加速される

・・・

「何だ、やっぱり見えるよ!しかもこれはシャイニングオンラインのステータス画面じゃねぇか!つまり俺はいつの間にかゲームの中に来たってこと?」

 健斗は興奮しつつも、ノートにステータスを控え、ノートをしまったのとほぼ時を同じくして、地響きが足元を揺らした。

「何の音だ?」

 振り返ると、100mほど先に真っ黒な巨大な角の生えた馬のような生き物が見え、敵意むき出しでこちらに向かって駆けてくるのが見えた。

「う、うそだろ!?」

 健斗は思わず後ずさりした。しかし、その生き物はどんどん近づいてくる。

「やばい、逃げなきゃ!」

 健斗は反射的にカバンを【リュックタイプ】投げ捨てるように下ろし、持っていたテニスラケットを構えた。しかし、その巨大な生き物の迫力に圧倒され、恐怖で体が動かない。

『こんなの、どうすればいいんだ!?』

 健斗の心臓はドキドキと激しく早鐘のごとく打ち、汗が頬を伝って流れた。逃げ道を探そうと周囲を見回すが、周りに広がるのは草原であり、見晴らしが良い。草の丈も短く、つまり隠れる場所もないことを示していた。

 健斗は絶望的な状況に立たされながらも、何とか生き延びる方法を必死に考えた。思考が加速される中、頭の中に浮かんだのは、朝から感じていた嫌な予感だった。

『これが・・・その正体なのか?』

 どうするのが正解か分からないが、どう見ても逃げも隠れも出来そうにないし、戦う以外の選択肢はないよな?やるしかないんだよな?それに逃げるのは性に合わない!自問自答しながらラケットを握りしめ戦う覚悟を決めるのだった。

 魔物は50mほどにまで迫っており、何もしなければ数秒後に踏み潰される運命が待っている。果たして巨大な馬のような魔物に、テニスラケットを構えた勝ち目の少ない状況に健斗はどう立ち向かうのか?

 ・
 ・
 ・

 続く

 ・
 ・
 ・

 **とある城にて**

 数名の男だけが集まり、魔法陣を取り囲んでいた。悲壮感漂う彼らは祈るように召喚の儀式を行っていた。魔法陣が光り、いよいよ召喚者が魔法陣より出る瞬間、その場にいないはずの女のくしゃみがした瞬間、魔法陣に狂いが生じた。一瞬見えた奇抜な服を着た者は何処かに消え去り、その場にいた者は、召喚自体は成功したことは分かり慌てて魔法陣を探ったが、召喚者が飛ばされたその先が魔の草原だと分かり、絶望に崩れ落ちた・・・






後書き失礼します。お読みいただきありがとうございます!

【お気に入り】登録にて応援して頂ければ幸いです!読者数の目安がこれしかないものですから、是非是非宜しくお願いします!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

処理中です...