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第1章 入学編

第50話 家

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 奴隷商に着いてからは、まずは昨夜の手数料を支払っていた。

 次にソニアに初夜権の首輪をして貰う。貞操帯の代わりにする内容でお願いした。

 何故わざわざソニアにかというのは、フォルクスが確認していたメールにとんでもないのがあったからだ。

 十八歳未満の者との性行為を禁止する。もしもこれを破った場合は能力の全てを剥奪の上、記憶も消し元の世界に強制送還するとあった。

 フォルクスはシーラ、カーラ、ラティス、ソニア、ユリア達に個別でその事を伝えた。

「ごめん。もしも僕が君達が18歳になるまでに男女の関係になってしまった場合は記憶を消されて元の世界に返されるというんだ。だから君達の気持ちには今は応えられない。本当にごめん。結婚するのも十八歳までは待って欲しい」

 唯一目が輝いたのはユリアだった。そうフォルクスの周りの女性陣の中で一番年齢が高いのが彼女だからだなのだ。


 それもあり、折を見てユリアも奴隷商の所に連れて行く事にしていた。そう万が一フォルクスが彼女達を襲わないようにする為の貞操帯を着ける為だ?

 ユリアは今日は仕事の為に一緒に行けないが、明日フォルクスと一緒に奴隷商に行く事になっていた。

 奴隷商はフォルクスと一緒に来た者達を見て、どうしようかと一瞬考えた後に

「これはこれはフォルクス様。早速お越し頂くとは有難うございます。今日は奴隷の方を見られますか?それともまた後日に致しますか?それとも別のお勧めのお話が有るのですが、そちらを見られますか?」

 フォルクスがピクッとなった。

「奴隷を見るのは後日でもいいですね。今この人数で見るのはどうかと思ったので。明日またこちらに来るので奴隷はその時に見させてもらおうかな」

「家を買われませんか?訳ありですが、お値打ちな物件が有るのですよ」

「家ですか?」

「はい。今は宿屋暮らしと聞いていますが、魔法学校に入ったとしても休みの日に自宅で過ごすのは良いものですよ。拠点が有れば生活も良くなりますよ」

「家ですか。確かに拠点があると何かと便利ですが、俺の歳では早過ぎやしませんか?」

「何を仰る。既に家を買うだけの資金をお持ちですし、今後の活動には必須でございますよ」

「分かりました。でも見るだけですよ」


 そうして奴隷商の主の後をついて歩いて行った。

「近いですから、散歩も兼ねて歩きましょうか」

 そう言われたので頷き、奴隷商と一緒に歩いていたのだ。元々奴隷商の館があるのは下級貴族や豪商の屋敷が立ち並ぶ一帯の一角にあったのだ。


 奴隷商のある屋敷は、ただの屋敷としか思えないような何の変哲もない屋敷であった。歩く事約10分位が過ぎた頃だろうか、奴隷商が何やらひとつの屋敷の所に向かって行った。まずは鍵を取りに行くか、オーナーの方に会いに行くのかなぐらいにフォルクスは思っていたが、向かった先は立派な屋敷であった。

 そう家ではなく屋敷に案内されていたのだが、まだ今向かっている屋敷に案内されるとは誰も思っていなかった。

 そうかこの屋敷にいる人が、この後行く家の持ち主なのだろうなと。

「着きましたので中にお入り下さい」

 そうして奴隷商が鍵を開けて玄関に入っていったのだ。あれ?とは思ったが、フォルクスは情けない質問をした。

「えーと、ここって今から見せて貰う家の方の持ち主じゃないんですか?」

「何をおっしゃいますかフォルクス様。ここが今回購入を打診したお屋敷でございます」

「えっ?大き過ぎやしないか?それに流石にお金がないやろ」

「そうですな。本来であれば金貨9000枚位の所の価値がある屋敷でございますが、いわくつき物件だとお伝えさせて頂いたかと思いますが、いわくつき物件の為に金貨3000枚になっております」

「ホエー」

 フォルクスは情けない唸り声をしていた

 シーラ達が凄い凄いとはしゃいでいて、シーラが奴隷商に尋ねた

「ねえねえおじさま、中を見てもいいんですか?」

「どうぞどうぞ。だだ、このホールだけは私が一緒に入らないといけませんので、一番最後に皆で入りましょう。それ以外はどうぞお好きに見て回ってください」

 そう言うと部屋を決めましょうとか何とか言いつつ、シーラ達が上の階の方に向かって行った。べソンは

「俺はあの離れの方でいいや。フォルクス、離れだけ売ってくれ」

 と離れの方にリズと奴隷商を伴ってフォルクスを置いて行ってしまった。


 そしてフォルクスは一人取り残されたのだった。


 フォルクスは先程奴隷商が言っていた事をちゃんと聞いていなかった。1階には大きなホールがあり、舞踏会が開催できるような空間があると言う。

 実は奴隷商は最後にここを見ると言っていたのだが、フォルクスは聞きそびれていた。皆が好き勝手に屋敷の中を見に行ってしまい一人になってしまった。

 その為にまあいいかと、とりあえず一番近くのホールを見ようと、ホールのドアを開け、足を踏み入れるのであった。

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