上 下
49 / 54
第1章 入学編

第47話  初夜権を巻き上げる

しおりを挟む
 フォルクスは語気を荒めて告げた。 

「今から言う事に対して嘘は一切許さないぞ。売ってやってもいいが、新しい条件が有る。買取条件は2つだ。一つはお前達が持っている魔石の全てが必要になる。それだけではないぞ。お前達が持っている初夜権を全て俺に寄越せ!」

 キリッとフォルクスは睨みつけて

「もう一度言う。俺のところには売る事が可能な引き換え書が5枚ある。もう魔石と引換済みだからそれとの交換だ。試験官に伝えた魔石の全てというのは最低限の条件だ。それとここの生徒の初夜権を持っている者は、親等が持っていようが何だろうが全て持って来い。嘘をついてるのが分かった時点で買い取りは拒否だからな。ギルドが持ってきた魔道具に手をかざして貰うからすぐにバレるからな。それと俺達に魔石を買い取って貰いたい者は家族で初夜権を持っている者がいたらそいつも全て持って来い。彼女達の権利はお前達やその家族や連れが持っているのは分かっている。いいか、家族の持っているのもだぞ!それが条件だ!」

 そうすると身なりの良い格好をした者がフォルクスの前に現れた

「お、俺は男爵家の者だぞ。こんな事をしてただで済むと思っているのか?父さんに頼んだらお前なんてどうとでも出来るんだからな。分かったか?」

 フォルクスは正直貴族の階級が分からない。
 貴族の階級について興味がなかったからだ。

「たかだか男爵風情が息巻いてんじゃねー!」

「じゃあてめえは何だって言うんだよ?ああん?」

 そう言ってくるのでフォルクスは


「俺はブラウン国のストーンという町の領主の息子というのが公式の身分だ。兵士名はオレイユ。公式の名はイプシロンだ」 
 するとパーティーメンバーの一人が怒鳴った

「てめえ何言ってんだ。イプシロンは俺だ」

 フォルクスより10cm位低い以外は外観的特徴が似た男が唸りだした。少し目付きが悪いが兄弟だと言えば皆疑問に思わない感じだ。

「そうか、お前か。貴様達の所為で俺は!・・・今はよそう。そうだな、残念ながらこれを見ろ」

 普段怒る事の無いフォルクスが、語気を荒げて怒りを顕にしていたものだからシーラ達は驚いていた。べソンはニヤニヤしながら、リズは珍しいなと感心していた。

 そう言うと兵士である時の認識番号が刻まれたプレートを見せた。その裏には公式の身分が書かれており、兵役終了に伴い封印が解けていた。

「ほらこれを見ろ。ここに書いてあるだろう!領主の息子のイプシロンって。お前の父親がやらかしたんだよ。お前は公式にはイプシロンを名乗れないんだぞ!」

「何を馬鹿な事を!あいつは俺と同じ位の背丈だった筈だぞ。親父は身代わりの奴が生きている筈がないと言ってたのに」

「おいあんた、最低だな。こいつを身代わりにしたって認めているぞ。因みに俺もこいつと一緒に兵役に就いていたんだぞ。ブラウン国の役所に見せれば身分詐称は一発で分かるぞ」

「くそっ、じゃあどうすりゃ、どうすればいいんだよ!?」

「合格したいのか」

「当たり前だろ!」

「俺も鬼じゃない。条件を飲むのであれば引換証を渡してやる」

「条件ってなんだよ?」

「先に言ったが条件のひとつはお前達が持っている魔石を全て差し出す。これはそれをしないとそもそもお前達が不合格になるからな」

「も、勿論だ。最後に魔石を持っていると不合格と言っているからな。悔しいがこれはお前に渡さざるを得ないのは分かるが、他のは何だ?」

「お前達、どうせ初夜権を持っているのだろう?で、何人のを持っているんだ?また、性奴隷を何人連れて来ているんだ?。お前には性奴隷も追加してやる」

「俺のが3人とこいつのが1人だ。初夜権だけ持っていて性奴隷は合格したら買って貰うからまだ持っていないぞ」

「分かった。お前達の持っている初夜権を全て寄越せ。この子達以外のがあればそれもだ。それと今この場で兵役に就くのを避ける為に俺を身代わりにしたと叫び、詫びを入れろ。そしたら俺の公式身分がイプシロンである事を忘れてやるぞ。この条件を飲むなら売ってやる。嫌なら他の奴と交渉しろ。まあ無理だろうがな。それとこちらも先着順だからな。他と交渉してる間に全て埋まってしまうかもな。さあ、どうする?」

「くそー!卒業したら絶対にお前を殺してやる」

「成立っていう事でいいんだな。因みにお前達に渡している権利書は、オーク10匹分の魔石のだぞ。くくく」

 そうやってフォルクスを睨む奴から金貨1500枚程の魔石、3人の初夜権とを金貨10枚分の引換証と交換したのであった。

 一人目からまずは巻き上げ、魔石を受け取った直後に奴隷商に肩をポンポンと叩かれた。

「これはこれはフォルクス様。今日はフォルクス様も試験の日でしたか」

「貴方は確か奴隷商の主人でしたよね?何故ここに?」

「はははは。学校から呼ばれておりましてな。まあ、さすがに奴隷商としての役割はないと思っていましたが、万が一の時は奴隷商としての仕事をして欲しいとは言われておりましたが、本来は試験のお手伝いのみですよ。ちろん学校から費用を貰っておりますが、何にしても人手が足りませぬからな。しかし、意外にも私の出番がありましたな?」

「そうかあ。その割に意外そうな感じじゃないよね?そうですね忙しい所悪いのですけれども、あの子達の初夜権の設定変更ができますか?買い戻し金額は俺達の魔石が大体金貨10枚だから、金貨10枚で設定してあげて欲しい。それも4人でだから、まあ奴隷商に払う手数料を考慮して一人当たり金貨6枚って感じかな?」

「フォルクス様から私共に初夜権をお売りしては頂けないのですかな?彼女達のなら金貨300から500枚にはなりましょうに」

「悪いね。こんな事をしなくても女性には困らないから、単純に人助けですよ。シーラ達も今日の稼ぎで買い戻しができますから。それで、この子達の手続きはいくらでやって貰えるのですか?」

「本来であれば1人当たり金貨10枚でしょうか。フォルクス様からのお願いですからそうですな、1人当たり金貨3枚でどうでしょうか?この子達の初夜権の買い戻し金額にて丁度フォルクス様の利益がほぼない状態ではございますな。その方がフォルクス様には都合が宜しいのでしょうな?」

「話が早いね。それで頼むよ。お金はいつ払えば良いの?」

「そうですな。落ち着いた後に払いに来て頂ければ宜しいかと思います。というか値引き代わりに私共で扱っております奴隷でも見て頂ければと思います。店に来る理由が有った方が奴隷を見やすいでしょう?買わなかった時に今日は支払いに来ただけだと言えますからな。まあ、買う買わないはともかくとして、この世界を知る為の社会勉強にはなりますから」

「分かりました。ではそうして貰いますね。しかし良いのですか?支払いをせずにバックレるかもですよ?」

「ほほほ。この学校に入学されると聞いておりますから、まあそのような心配はいらないでしょう。それにフォルクス様は悪意から踏み倒したりする性質の人ではないでしょう」

「やれやれ色々分かっているんだな。参ったな」

「このような商売ですからな。ひと目で人の本質を見抜けないとやっていけませんのですよ。まあ、私もそれなりに人を見る目を持っておりますからな。今日もフォルクス様が試験を受けると知らなければ部下を行かせましたから。では手続きですが、権利の行使日は18歳までとしておけば宜しかったでしょうか?」

「やはり分かってるんですね。そうですね、そうしてくれるとありがたいです。まぁ金貨6枚程度だからすぐに返せれるとは思うけれども。って俺が試験受けるの知っていたんじゃないですか!まったくもう」

 奴隷商は不敵な笑みを浮かべて手伝いに戻っていった。フォルクスは奴隷商とはあこぎな商売な筈なのに、何故かこの奴隷商の主が気に入っていた。また、この世界と言った事が妙に引っ掛っていた。

 また、本物のイプシロン達や、下級貴族の者達がそれこそ血の涙を流しながら初夜権をフォルクスに売らざるを得なくなっており、皆その様子を興味深げに見ていた。

 ラティスからお金が無いが才能のある者は、初夜権を売って学校に入る者が多いそうだ。自らの可能性の為に身を売る者がいると言われるフォルクスはショックを受けるのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない

AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。 かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。 俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。 *書籍化に際してタイトルを変更いたしました!

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族(ハーレム)を増やす〜

北条氏成
ファンタジー
一度目の世界を救って、二度目の異世界にやってきた主人公は全能力を引き継いで吸血鬼へと転生した。 この物語は魔王によって人間との混血のハーフと呼ばれる者達が能力を失った世界で、最強種の吸血鬼が眷族を増やす少しエッチな小説です。 ※物語上、日常で消費する魔力の補給が必要になる為、『魔力の補給(少しエッチな)』話を挟みます。嫌な方は飛ばしても問題はないかと思いますので更新をお待ち下さい。※    カクヨムで3日で修正という無理難題を突き付けられたので、今後は切り替えてこちらで投稿していきます!カクヨムで読んで頂いてくれていた読者の方々には大変申し訳ありません!! *毎日投稿実施中!投稿時間は夜11時~12時頃です。* ※本作は眷族の儀式と魔力の補給というストーリー上で不可欠な要素が発生します。性描写が苦手な方は注意(魔力の補給が含まれます)を読まないで下さい。また、ギリギリを攻めている為、BAN対策で必然的に同じ描写が多くなります。描写が単調だよ? 足りないよ?という場合は想像力で補って下さい。できる限り毎日更新する為、話数を切って千文字程度で更新します。※ 表紙はAIで作成しました。ヒロインのリアラのイメージです。ちょっと過激な感じなので、運営から言われたら消します!

ザ・タワー 〜俺にしかできない魔石を鑑定する能力!魔石を使っての魔法&スキル付与!この力で最強を目指す〜

KeyBow
ファンタジー
 世界初のフルダイブ型のVRMMOゲームにダイブしたはずが、リアルの異世界に飛ばされた。  いきなり戦闘になるハードモードを選んでおり、襲われている商隊を助ける事に。  その世界はタワーがあり、そこは迷宮となっている。  富や名誉等を得る為に多くの冒険者がタワーに挑み散っていく。  そんなタワーに挑む主人公は、記憶を対価にチート能力をチョイスしていた。  その中の強化と鑑定がヤバかった。  鑑定で一部の魔石にはスキルや魔法を付与出来ると気が付くも、この世界の人は誰も知らないし、出来る者がいないが、俺にはそれが出来る!  強化でパラメータを上げ、多くのスキルを得る事によりこの世界での生きる道筋と、俺TUEEEを目指す。  タワーで裏切りに遭い、奴隷しか信じられなくなるのだが・・・

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

妹と歩く、異世界探訪記

東郷 珠
ファンタジー
ひょんなことから異世界を訪れた兄妹。 そんな兄妹を、数々の難題が襲う。 旅の中で増えていく仲間達。 戦い続ける兄妹は、世界を、仲間を守る事が出来るのか。 天才だけど何処か抜けてる、兄が大好きな妹ペスカ。 「お兄ちゃんを傷つけるやつは、私が絶対許さない!」 妹が大好きで、超過保護な兄冬也。 「兄ちゃんに任せろ。お前は絶対に俺が守るからな!」 どんなトラブルも、兄妹の力で乗り越えていく! 兄妹の愛溢れる冒険記がはじまる。

処理中です...