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第1章 入学編

第23話  試験内容

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 その後色々な話をしたが、ラティスは近隣の村の村長の娘だと言う。村が突然の飢饉に喘いでいたというような事で、シーラ達と似たような状況だ。資金難からで一番見目麗しいだけの理由で売られたのだと。よく分からないが、やはり不憫だからと、魔法学校のお金は売られたお金の一部から渡され、これで魔法学校に行きなさいと言われたのだという。シーラ達もそうだが、元々魔法学校には入るつもりがなかったらしい。その為、どこかで何かの力が働いて、無理やり導かれているとしか思えなかった。

 しかもわざとらしく、取って付けたような村の飢饉。不自然だった。無理がある設定なのに誰も違和感を感じていなくて、異を唱える者がいなかったから、フォルクスは総判断したのだった。

 そうして話をしているとひとつ、またひとつと次々にチーム登録をしに来るチームが現れ始めた。だが、結局登録できたのは22チームであった。

 弁当が食べきれなかったのか、チーム編成ができなかったのか理由迄は分からないが、やはり宮廷魔導師の息子もしっかりとチーム登録をしていた。そして時間になった為に講師が二次試験の試験内容の説明を始めた。

 期限は5日以内。
 課題は魔石を持って来る。
 冒険者ギルド、通称ギルドより査定をする職員に来て貰い、持参した魔石をギ最終的にギルドに売る。
 各自学校にギルドに対して買取をして貰う為の魔石を見せる。また見せた魔石の全てがギルドにて買い取っていなければ失格となると言う。
 ギルドより正当な理由により除外された魔石は例外とする。例えばギルドの建物にて査定しないと金額が出ないものだ。
 但し、当日は換金する為の手形を発行して貰うのみ。
 その手形の金額で順位を決めると言うのだ。

 上位15チームが合格。
 ギルドにて手形を発行して貰えるのは査定申し込み券が必要。

 査定や買取はギルドのルールに則り行うものとする。
 査定の当日、全員に名前入りの査定申し込み券を渡す。
 他人の券は使えない。
 それだけしか言わなかった。倒した魔物を持って来いとは言わないのだ。
 要するにただギルドに魔石を売り、ギルドがその時に査定し、後日換金をする為に発行した手形、その金額で決めると言うだけの事であった。また魔石を売れるのは一人に付き、一度だけ。 


 皆騒然となった。例年の試験方法と大幅に違うからだ。そして期限を言われた。5日後だと。5日後に戻って来て、持ってきた魔石の査定及び換金をすると言う。

 講師は質問を基本的に受け付けなかった。唯一受け付けたのは五日後の何時から何時の間に戻ればいいのか、どの時間迄にここに来ないと失格なのかと。それに対しては説明不足を理由に答えてくれた。ただ、それ以外では、例えばどうやって確保すれば良いのだとか、魔物の種類に対して制約があるのか?、自力で倒したのじゃなきゃ駄目なのか?そういう事には答えを返さず、自分で考え調べなさいと言うだけだった。


 一部の者はニヤッとして騒がなかったが、当然の事ながらフォルクスも騒がず黙っていて、シーラ等がどうしようどうとオロオロしていたのでチームメイトには大丈夫、理解したからとだけ言っておいた。そう、試験の裏に隠された本当の意味での試験内容について、大体の事が理解出来たからだ。既に冒険者であるから偶々知っていたのだ。そして講師が一言告げる。

「それでは解散」

 殆どの者達はオロオロしていた。「親父に、親父に頼まなきゃ」というような者もいれば、「いくら出せば合格できるんだよ」等という者もいて、自らの手で魔物を倒し、魔石を確保しようというような者は殆どいなかったのだ。

 フォルクスはさてどうするかな!と作戦を考えねばならないなとは思ったが、その前に改めてラティスに確認する事が先だと感じたが、周りに他の受験生がいては話ができないので一旦外に出て、他の者から距離を置いた。一部の者も即動いたが、殆どの者達はその場で蠢いていただけだった。

 近くのカフェに入り、各自に飲み物を頼み、打ち合わせに入る事にした。一番奥で、盗み聞きを避ける配慮がされた席だった。衝立まで有り、都合が良かった。

「とりあえず明日ラティスの権利を僕が買うという事で良いよね?ただ、一言断らなきゃいけないんだよね。もし十八歳になった段階でお金が用意出来なければ、僕も死にたくないから、権利を使い君を抱かなきゃいけない。それ以外は権利を使うつもりはないよ。そういう事で良いよね?」

 彼女はただただ驚いた顔をしながら頷くだけだった。そう、実行出来得る中で一番条件が良いのだ。フォルクスは先を続ける。

「じゃあ、明日の予定だけれども、まず奴隷商に行って俺とべソンが君達4人の権利を買う。確か販売開始時間の少し前に行けば良いんだよね?」

 4人共頷いていた。

「その後は強い魔物が出る所に遠征し、可能な限り粘りたい。だけど流石にぎりぎりは怖いから、少し余裕を持って戻って来ようかと思うのだけれどもどうだろう?今からその為の準備をする必要が有るけれど、みんな何か意見がある?」

 誰もフォルクスを見るだけで意見を言わない。

「問題はどこで何が買えるのか等、街の作りや店の位置等を僕が殆ど知らない事なんだよね。皆の方が地理には詳しいと思うけれどもどう?それとラティスは冒険者登録をしているのかい?」

 ラティスは首を横に振った。

「そうか。じゃあ仕方ないな
 。まずはギルドに行き冒険者登録とパーティー登録をしないとだね。新規登録という事はパーティーとしてはD ランクまでの依頼しか受けられないって事だね。」

 皆が頷くのを見て話しを続ける

「ふむふむ、よし。まあなんとかなるだろう。奴らはどうせ親に金を払って貰い魔石を買ってくるんだろうけどさ、そうは簡単にはいかない筈だよ。皆が同じような行動を取るだろうから、何人かがめぼしい魔石を買い占めるから早々に枯渇して終わるだろう。出遅れた奴が慌てて冒険者から魔石を直接買取ったり、冒険者を雇い魔物を狩りに行く奴もいるかもね。次に宿についてだけれども、ラティスって宿はどうしているんだい?良かったら僕達が今泊まっている部屋に来ない?今の部屋は6人部屋でさ、ベッドがひとつ余っているんだ。お金は勿論俺が出すというよりも、一緒の部屋にいて貰わないと困る。だから同じ部屋に来て貰うよ。打ち合わせや準備もあるから俺達の部屋に来てくれ。これはリーダーとしてお願いというよりも、仲間として、チームとしての指示事項に当たるよ。いいね?」

 彼女はただただ頷く。フォルクスはラティスが安宿か野営をしていると身なりや荷物から推測していたから宿に来るように指示をしたが、勘違いも有るから念の為に確認をする。

「因みに今はどうしているの?」

「その、私はその、テントを張って野営をしております」

 フォルクスは頷く

「うん、何となく分かっていたよ。何はともあれ直ぐに行動開始し、動かないとどうにもならないからまずギルドに行こう」

 そうして学校を後にした彼らはギルドに向かう。幸いまだ混み出す前の時間であった。
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