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第0章 プロローグ
第3話 死ねと同意の命令
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オレイユ達は兵士になって半年余りの間、何度も戦に駆り出されていた。
そして今は7度目となる戦場に向かわされている最中だ。
今回は今までの小競り合いとは違い、2個師団が投入されていた。既に小競り合い程度の戦闘を逸脱しており、国境付近に相手国がどんどん集結しているとの報を受けていた為に2個師団を投入する事になっていた。
集結しつつある敵がこちらに攻めてくる前に叩くという事になった野田。集結しつつあるのが1個師団だという情報を元に2個師団の投入である。
そんな中、オレイユ達は先鋒の部隊に組み込まれていた。
余談だが両国の国境警備隊として駐屯する兵士に関しては、昔からの暗黙の了解があった。
国境警備に当たる駐屯兵に対してどちらも手を出さない事になっている。そう、国境警備隊は戦に関わらない。例え目の前で味方が全滅しても戦に関わらない不文律がある。駐屯兵に対しての対応は、どちらの軍も、駐屯兵側から仕掛けてこない限りは手を出さないのだ。数百名が駐屯しているが、それはあくまでも国境を通過する一般の者に対しての役目であって、軍隊が通る場合は素通りさせる事になっているのだ。
理由だが、勿論歯が立たないのもあるが、戦に関わり、国境警備隊が全滅して不在になると犯罪者の往来が盛んになるからだった。
その為に国境で相手国軍を阻止する場合は、国境の内側か外側のどちらかで陣を張る。その為、常に国境の周りが戦場となっているのだ。大抵の場合は威力偵察絡みでの小競り合いで、形だけのぶつかり合いで殆どの場合は撤退し、お互いに深追いをしない。
オレイユ達のいる共和国側は小競り合いの後半個師団を撃破し敗走させていた。そして追撃をする為に半日位進んでいた。そして追撃の後、敗走していた半個師団を壊滅させた後に、どうやら馬鹿な総大将が先へ行けると判断し、領地を広げるべく更に先へ進軍して行く事になってしまったのだ。ランバートとオレイユが部隊長に明らかな罠だと進言しに行ったが殴られただけで取り合って貰えなかった。半個師団の構成があまりにも異様だったからだ。先陣に組み込まれていたオレイユ達はそれに気がついていたのだ。どうみても犯罪者や傭兵崩れの者達ばかりだったからだ。進言したのだが、有り難がれるどころか逆に生意気だと上層部から目を付けられる事になった。
一度野営し、細い道の峠を超えた時に異変があった。4個師団が待ち構えていたのだ。更なる進軍は功を求める者達が将軍を煽てたようで、先頭には意気揚々とした総大将がいたが、一気に形勢逆転で押され始め。
段々と撤退を始めざるを得なくなり、総大将が逃げてきた。誰かが殿をして敵を食い止めねば全滅となる状況になっていた。オレイユ達は追撃には加わっておらず、功を奏したい者がこぞって加わっていた。予備戦力としてオレイユ達のいる大隊は戦局を見守っていた。将軍付きの副官が丁度峠の頂上付近にいたオレイユ達の小隊ともう一つに声を掛け、
「新兵共に命ずる。味方を逃す為に敵を20分食い止めろ」
すかさずオレイユが反抗する
「我々に死ねと命ずるのは不可です。兵士紋にも死ねとの同意後の命令には拒否権が存在します」
「何をいうか!誰かがやらねば全滅なのだぞ。お前らが拒否してやらぬのと言うなら切り捨ててくれるわ!」
「分かりました。30分食い止めます。その代わりに30分したら僕達の兵役を終わらせて下さい。それならば命を賭けて頑張れます。そうしないと30分戦い、なんとか30分耐え抜いた後に戦場を離脱出来なくなります」
「閣下、すぐそこまで敵兵が迫って来ております。もう時間がありません」
「分かった。条件を飲もう。お前達新兵8名に30分間敵を食い止め、殿を勤める事を命ずる。30分経過すればお前達の兵役は終わるものとし、戦場からの逃亡、離脱も不問とする。これで良いな?」
オレイユが頷くと将軍は我先にと馬を走らせ始めた。一緒に命ぜられたもう一つの班の4人がおろおろしていたのでオレイユが話した
「理由は後で話す。死にたくなかったら、取り敢えず俺をリーダーとしてパーティーに入る事を了承しろ」
「てめえ、何勝手に仕切ってんだよ」
ランバードそいつを遮り
「死にたくなければオレイユに従うんだ。言っておくがこの中でオレイユが一番強いんだぞ。制約により理由は言えないがオレイユをリーダーとしておけば死ぬ確率がぐっと減るんだ。騙されたと思ってリーダーと認めろ時間がない。俺達死神隊が生き残ったのはオレイユをリーダーと認めたからだ」
ランバード達は班の仲間に対してきちんと名前で呼んでいるが、小隊の中では番号で呼ばれていた。オレイユ達も、隊長も同じ小隊の者達の顔は覚えたが、名前を覚えようとはしなかった。特にオレイユ達はいつも名前を覚えても覚えてもどんどん仲間が死んでしまい、自分達のみが生き残っているからだ。
大隊の中で噂になっているのだ、死神とも疫病神とも言われている。彼らのみ常に生き残っているからだ。
将軍はそれを知っていて縁起が悪いとし、こいつらを遂に始末する時が来たと喜んでいたりもする。今は峠一番の難所の頂上にいる。最後の味方が駆け抜けていった。ここからは殿での撤退戦の為、かなり辛くなる筈なのだ。
頂上から逃げる側は500 m位は平らな面が残っているが、急に平坦路になりここを過ぎると殆ど隠れる所がない。下り側は鬱蒼とした森の中央なので木々が沢山ある。
「オレイユを守るんだ。彼があ俺達の生命線だ。他の者が怪我をしても放置し、彼だけはなんとしても生かしておけ。彼が死ねば全員の死に繋がるんだ」
「何言ってんだよ」
文句を言っているが
「ほら来たぞ」
そうやって僅か8人での死ねとの同意語に等しい撤退戦が始まるのであった。
そして今は7度目となる戦場に向かわされている最中だ。
今回は今までの小競り合いとは違い、2個師団が投入されていた。既に小競り合い程度の戦闘を逸脱しており、国境付近に相手国がどんどん集結しているとの報を受けていた為に2個師団を投入する事になっていた。
集結しつつある敵がこちらに攻めてくる前に叩くという事になった野田。集結しつつあるのが1個師団だという情報を元に2個師団の投入である。
そんな中、オレイユ達は先鋒の部隊に組み込まれていた。
余談だが両国の国境警備隊として駐屯する兵士に関しては、昔からの暗黙の了解があった。
国境警備に当たる駐屯兵に対してどちらも手を出さない事になっている。そう、国境警備隊は戦に関わらない。例え目の前で味方が全滅しても戦に関わらない不文律がある。駐屯兵に対しての対応は、どちらの軍も、駐屯兵側から仕掛けてこない限りは手を出さないのだ。数百名が駐屯しているが、それはあくまでも国境を通過する一般の者に対しての役目であって、軍隊が通る場合は素通りさせる事になっているのだ。
理由だが、勿論歯が立たないのもあるが、戦に関わり、国境警備隊が全滅して不在になると犯罪者の往来が盛んになるからだった。
その為に国境で相手国軍を阻止する場合は、国境の内側か外側のどちらかで陣を張る。その為、常に国境の周りが戦場となっているのだ。大抵の場合は威力偵察絡みでの小競り合いで、形だけのぶつかり合いで殆どの場合は撤退し、お互いに深追いをしない。
オレイユ達のいる共和国側は小競り合いの後半個師団を撃破し敗走させていた。そして追撃をする為に半日位進んでいた。そして追撃の後、敗走していた半個師団を壊滅させた後に、どうやら馬鹿な総大将が先へ行けると判断し、領地を広げるべく更に先へ進軍して行く事になってしまったのだ。ランバートとオレイユが部隊長に明らかな罠だと進言しに行ったが殴られただけで取り合って貰えなかった。半個師団の構成があまりにも異様だったからだ。先陣に組み込まれていたオレイユ達はそれに気がついていたのだ。どうみても犯罪者や傭兵崩れの者達ばかりだったからだ。進言したのだが、有り難がれるどころか逆に生意気だと上層部から目を付けられる事になった。
一度野営し、細い道の峠を超えた時に異変があった。4個師団が待ち構えていたのだ。更なる進軍は功を求める者達が将軍を煽てたようで、先頭には意気揚々とした総大将がいたが、一気に形勢逆転で押され始め。
段々と撤退を始めざるを得なくなり、総大将が逃げてきた。誰かが殿をして敵を食い止めねば全滅となる状況になっていた。オレイユ達は追撃には加わっておらず、功を奏したい者がこぞって加わっていた。予備戦力としてオレイユ達のいる大隊は戦局を見守っていた。将軍付きの副官が丁度峠の頂上付近にいたオレイユ達の小隊ともう一つに声を掛け、
「新兵共に命ずる。味方を逃す為に敵を20分食い止めろ」
すかさずオレイユが反抗する
「我々に死ねと命ずるのは不可です。兵士紋にも死ねとの同意後の命令には拒否権が存在します」
「何をいうか!誰かがやらねば全滅なのだぞ。お前らが拒否してやらぬのと言うなら切り捨ててくれるわ!」
「分かりました。30分食い止めます。その代わりに30分したら僕達の兵役を終わらせて下さい。それならば命を賭けて頑張れます。そうしないと30分戦い、なんとか30分耐え抜いた後に戦場を離脱出来なくなります」
「閣下、すぐそこまで敵兵が迫って来ております。もう時間がありません」
「分かった。条件を飲もう。お前達新兵8名に30分間敵を食い止め、殿を勤める事を命ずる。30分経過すればお前達の兵役は終わるものとし、戦場からの逃亡、離脱も不問とする。これで良いな?」
オレイユが頷くと将軍は我先にと馬を走らせ始めた。一緒に命ぜられたもう一つの班の4人がおろおろしていたのでオレイユが話した
「理由は後で話す。死にたくなかったら、取り敢えず俺をリーダーとしてパーティーに入る事を了承しろ」
「てめえ、何勝手に仕切ってんだよ」
ランバードそいつを遮り
「死にたくなければオレイユに従うんだ。言っておくがこの中でオレイユが一番強いんだぞ。制約により理由は言えないがオレイユをリーダーとしておけば死ぬ確率がぐっと減るんだ。騙されたと思ってリーダーと認めろ時間がない。俺達死神隊が生き残ったのはオレイユをリーダーと認めたからだ」
ランバード達は班の仲間に対してきちんと名前で呼んでいるが、小隊の中では番号で呼ばれていた。オレイユ達も、隊長も同じ小隊の者達の顔は覚えたが、名前を覚えようとはしなかった。特にオレイユ達はいつも名前を覚えても覚えてもどんどん仲間が死んでしまい、自分達のみが生き残っているからだ。
大隊の中で噂になっているのだ、死神とも疫病神とも言われている。彼らのみ常に生き残っているからだ。
将軍はそれを知っていて縁起が悪いとし、こいつらを遂に始末する時が来たと喜んでいたりもする。今は峠一番の難所の頂上にいる。最後の味方が駆け抜けていった。ここからは殿での撤退戦の為、かなり辛くなる筈なのだ。
頂上から逃げる側は500 m位は平らな面が残っているが、急に平坦路になりここを過ぎると殆ど隠れる所がない。下り側は鬱蒼とした森の中央なので木々が沢山ある。
「オレイユを守るんだ。彼があ俺達の生命線だ。他の者が怪我をしても放置し、彼だけはなんとしても生かしておけ。彼が死ねば全員の死に繋がるんだ」
「何言ってんだよ」
文句を言っているが
「ほら来たぞ」
そうやって僅か8人での死ねとの同意語に等しい撤退戦が始まるのであった。
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