上 下
157 / 197
第2章

第157話 チェンジで!

しおりを挟む
 斗枡が消えて皆途方に暮れたが、ハッとなった友里愛がナスタリスに詰め寄った。

「斗枡を、斗枡を助けに行かなきゃ!あの爆弾を向こうで出せるのが斗枡だけだから言ったのよ!馬鹿!馬鹿よ!貴女エルフでしょ!ゲートを繋げなさい!」

「直ぐには無理です!それが出来る者を全て連れて行ってしまわれました!発動させるキーも無いです!どんなに急いでも1日は掛かります!」

「じゃあ、このまま斗枡を死なせるの!」

 友里愛はナスタリスの襟首を掴み、必死に訴えるも、どうにもならない。

「ゆりっち、気持ちは分かるけど、ナスタリスを詰めても仕方がないわ。何か別の手がないか考えましょ?」

 斗枡が消えてから約4分が経過したが、解決の糸口がまったくない。
 皆が呆然となり転移陣を見ると1体のカーヴァントが魔法陣の上にいた。

「皆さん、お別れです。トマス様に抱かれたかった・・・友里愛様達が羨ましい。斗枡様に私のことを記憶の片隅にとお伝え頂ければ幸いです。斗枡様を宜しくお願いします」

「ちょっとあんた、何言っているのよ?」

「美智子様もお達者で」

「あんたわざと間違えたでしょ!?美世子よ!ちゃんと美世子って言いなさいよ!」

 モーモンはニコリと微笑む。

「チェンジ!」

 ひと言告げると、モーモンが光に包まれ、次の瞬間体育座りをした斗枡が入れ替わるようにして現れた。

 皆が駆け寄る。

「えっ?あれっ!?何で?」

「モーモンさんがスキルを使われました。ゲート自体が繋がっているから出来たのでしょう!」

 そう、モーモンはトマスと入れ替わったのだ。

「何やってんだよ!馬鹿!俺を生かすのに自分が死んでどうするんだよ」

「斗枡、モーモンをカードに戻しなさい!彼女が生き延びるにはそれしか無いわ!」

 愛姉が叫ぶ!

「戻れモーモン!」

 次の瞬間、斗枡の手にはモーモンのカードがあった。

「早くゲートを消さないと!」

 珍しくアレクシアが叫んだ。

 斗枡はティタン2体を召喚すると、ゲートの破壊を命じた。
 時間がないので皆全力でゲートから遠ざかる。

 2体のティタンがいればゲートを消す事が可能で、更にそれをするとそのラビリンスが消える。

 2体の雄叫びと共に凄まじい雷撃がゲートに放たれ、やがて全員の視界が歪む。

 次の瞬間、斗枡は水の中にいた。
 友里愛達もそうだ。
 パニックになり藻掻いたが・・・皆直ぐに、あれ?となった。
 浅かったのだ。
 よく見るとそこは学校のプールの中だ。
 斗枡がジャンプして校庭を見ると、治療中のレジスタンスの皆さんが呆然となっていた。

 斗枡達はゲートが消えるとどうなるか知っていたから、ラビリンスの入口近くにいるのだと分かるも、レジスタンスのメンバーは知らない。

 完全にパニックになり、臨戦態勢を取る。しかし、カーヴァント達がここは地上だから大丈夫だと説明してくれていた。

 そう、カーヴァントを含め、地上に出たのだ。
 また、魔石やカードが大量に落ちているのと、変な機械類も校庭に鎮座していたのだった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow
ファンタジー
カクヨムで異世界もの週間ランク70位! VRMMORゲームの大会のネタ副賞の異世界転生は本物だった!しかもモブスタート!? 副賞は異世界転移権。ネタ特典だと思ったが、何故かリアル異世界に転移した。これは無双の予感?いえ一般人のモブとしてスタートでした!! ある女神の妨害工作により本来出会える仲間は冒頭で死亡・・・ ゲームとリアルの違いに戸惑いつつも、メインヒロインとの出会いがあるのか?あるよね?と主人公は思うのだが・・・ しかし主人公はそんな妨害をゲーム知識で切り抜け、無双していく!

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...