上 下
48 / 197
第1章(高校生入学編)

第48話 祖父母

しおりを挟む
 もう暗くなってしまったので、友里愛については愛姉が自宅まで送り届けてくれる事になった。
 また、愛姉自身もそのまま自宅へ帰る事となり、今日はギルドで解散となった。

 僕は鍛えるのもあり、走って帰る事にした。
 流石に知り合ったその日に自宅へ行くと言うのは駄目だろう!と僕が遠慮したんだ。

 ちゃんと段取りを踏まないとね。
 風曲の森を出て直ぐに家へギルドに行ってから帰る等連絡を入れてある。

 まあ普通に風呂に入り、遅いご飯を食べたけど、帰宅してからは普段通りだったな。
 まあ、妹から入学式の事について問い詰められたりしたけどね。

 友里愛の事は話さなかった。
 まあ、明日になったらもう僕は彼氏ではなくモブに戻るのさ。
 儚い夢をありがとう!

 明日になればやはり合わないからお付き合いは止めましょう!と言われるのだろうけど、でも一応1日とは言え人生初の彼女があんな美少女だったというのは、僕の人生の中では輝かしい記録になるだろう。

 絶対に黒歴史と言わせない!

 でも、現状同級生でラビリンスへ入れるのが僕しかいないから、彼女彼氏の関係がなくなっても探索者パーティーは継続したいな!

 友里愛ちゃんは美人特有の警戒感から取っ付き難いかと思ったけど、ラビリンス内で遭遇した縁からか、結果的に魔物を押し付けた引け目から1日彼女になってくれた優しい子だ。

 モブの僕なんかには不釣り合いな美少女だよな。

 心の準備さえしておけば大丈夫!
 乗り切れるさ・・・
 僕は友里愛ちゃんを気に入っていた。
 元々は家族を半ば人質に取られていて、実現不可能としか思えない事を押し付けられ、できなかったら1年後にはお姉さんが、3年後には自身も変態ジジイに蹂躙されるって話していたから、恋人でなくなったとしても、例え利用したいと思っていたとしても利用されるのじゃなく、僕の意志で助けたい!
 いや、そいつらをやっつけてやる!つもり。

 少なくとも愛姉の友達を助けたい!
 僕の意志で!
 あっ!友里愛のお姉さんと愛姉は友達じゃなくて、パーティーを組んだ事のある知り合いレベルかな?
 知っていたから。
 ただ、あの時は、愛姉がいた事に気が付かなかったらしい。

 ベッドに横になりそんな事を考えていたけど、疲れからか寝落ちした。

 翌朝妹にベッドから落とされる形で起こされた。

 朝練に来ないから乱暴な起こされ方を・・・。
 疲れからか起きられなかったんだ。
 軽く体を動かし、少し離れた所にある父方の祖父母の家にある道場で妹と模擬戦をする。
 竹刀だと危ないレベルになるので、おもちゃの剣を使う。
 正確には柄は重く剣身がスポンジで出来た訓練用のだ。

 外では出来ないから、少なくとも1週間に1度はじいちゃんとばあちゃんの顔を見るのに来ている。

 最近衰えが激しく、1か月前に車で事故を起こしてからは塞ぎ込んでいる。

 よくあるアクセルとブレーキの踏み間違いで、幸い車止めの先にあるガードパイプで止まったから、車が廃車になった程度で済んで怪我人はいなかった。

 概ね自転車で15分程の所にあり、父親参観とかはじいちゃんが来てくれていた。

 同居はしていなかったけど、僕がぐれなかったのはじいちゃんとばあちゃんが、優しくもあり厳しく接してくれたからかな。

 まあ、これも日常のそれだ。
 朝食を一緒にしてから家に帰るんだ。
 最近は面倒を見る事が増えたな。
 重いものが持てなくなったり・・・
 それに長くはない。
 ばあちゃんが末期の癌だ。
 いや、ラビリンス症候群を発症した。

 ラビリンスから漏れ出る魔力に順応できない者が一定数おり、その者にとっては魔力が毒になってしまう。
 その毒に体が蝕まれ、体が徐々に動かなくなるのだ。
 しかも老化が加速され、発症したら1年後には亡くなると言われている。
 ばあちゃんは62歳なんだけど、肉体年齢は80歳を超えてしまう等急速に老化している。

 僕にも色々ある。
 ラビリンスに入りたいのは噂だとこの病気を治す薬がラビリンスにはあり、時折オークションに出されると1本数億円で取引されるらしい。

 母さんには稼ぎたいし、かっこよいと見られるから探索者をし、それにより彼女を作ると言っているけど、探索者適正がない母さんもいずれこうなる。

 おばあちゃんにその話をしたらもしも薬を手に入れたとしても、2本目で自分を治してと言っていて、最初の1本は娘である母さんに使うようにと。
 価値を知らないから結構無茶な事を言われているんだけどね。

 子を押しのけて治されても親の立場としては受け入れられないと言い、気持ちだけ受け取ると言ってくれた。
 そりゃあ子を看取りたくないよな。

 ただ、これは僕とばあちゃんだけの秘密だ。
 だから僕は強くならなきゃならないんだ。

 それともかく、今は家を出て学校に向かっている。
 徒歩1時間程なんだけど、探索者の僕なら走って行けば10分も掛からない。

 今日は泣く泣くバトルスーツは置いていった。
 自力で買ったのを学校に着ていった方が良さそうだとなったからね。
 今は正門を入り校舎に向かっている。
 さあ高校生活2日目のスタートだ!
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

『付与』して『リセット』!ハズレスキルを駆使し、理不尽な世界で成り上がる!

びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
ハズレスキルも組み合わせ次第!?付与とリセットで成り上がる! 孤児として教会に引き取られたサクシュ村の青年・ノアは10歳と15歳を迎える年に2つのスキルを授かった。 授かったスキルの名は『リセット』と『付与』。 どちらもハズレスキルな上、その日の内にステータスを奪われてしまう。 途方に暮れるノア……しかし、二つのハズレスキルには桁外れの可能性が眠っていた! ハズレスキルを授かった青年・ノアの成り上がりスローライフファンタジー! ここに開幕! ※本作はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~

つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。 このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。 しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。 地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。 今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

処理中です...