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第1章(高校生入学編)
第36話 ツンデレさん
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僕はこの状況にドギマギしていたが、愛姉の抱きしめろのジェスチャーにゴクリとしつつ従う事にした。
愛のキューピットを買って出たからにはらあーあー!やっちゃったねぇ!という感じには持っていこうとしないだろう。
もしもNG行動だったら冬奈経由でしばく!
そっと左手で背中をさすり、右手で頭を撫でてみた。
一瞬びくんとなったけど僕の制服が涙で濡れて行く。
嗚咽がなくなり、鼻をすすり始めたからそろそろかなと思うと愛姉はティッシュを渡してきた。
僕はハンカチを出し、今日使っていないよな?と思いつつ屈んで友里愛の涙をそっと拭き、鼻にティッシュを当てた。
「ほらチ~ンして!」
遠慮気味に軽く鼻をかむ。
鼻をかんでいるのに絵になるなんて流石主人公向きの陽キャラ。
愛姉はさり気なくゴミ箱を差し出したのでティッシュを捨て、もう1度軽く鼻を拭く。
「ご、ごめん。その、何で手慣れているのよ?」
「母さんが女手1つで育ててくれたけど、妹に手が回らなくてさ。妹が小さい時は僕が世話をしていたから、よく鼻もかんでやったもんだよ」
「そっか。確か0号様が行方不明になったのって13、4年前?」
「うん。僕の物心がつく前で、妹がお腹の中にいる時かな。少し落ち着いた?立ったままなのもあれだし座ろうか?」
友里愛を座らせ、僕はその隣に座る。
すると愛姉向かい側に座り、パーティー登録について説明してくれた。
登録に必要な事と言っても登録用紙に記載するんだ。
こういったラビリンス関連の手続きはアナログに戻っており、用紙は複写だ。
言われるがままにサインをするが、探索者証を預けると愛姉は事務の人に登録をして貰いに部屋を出て行く。
・
・
・
「その、さっきは有難う」
「何かあったっけ?」
「ふふふ。優しいのね。有難う。ふううう」
彼女が目を閉じて伸びをする。
控えめな胸だが、伸びをしたものだからその膨らみが強調される。
顔付きが学校のそれに戻ったが、先程からそうしているように僕の手を再び握る。
不安なのだろう。
「勘違いしないでよね!付き合うって言ってもお試しだからね!キスも駄目なんだからね!手位なら繋いであげなくもないわよ!美少女とお付き合い出来るんだから有り難く思いなさい!」
別に良いんだけど、僕友里愛と付き合うって言っていないよ!?
勿論付き合うよ!
愛姉の策略に勝手にハマり、もりあがっているだけだよ?
「僕なんかで良いの?顔なんて、例えば僕と話していた2組の仲本の方が作りが良いし、僕なんてモブだよ?」
「はあ。斗枡ねぇ・・・そんな訳ないでしょ。まあ良いわ。試用期間が終わったら斗枡から正式に交際を申し込みなさいよ!それと他は全て断りなさい!」
断るって何の事だろう?
試用期間って新卒の会社員じゃあるまいし、問題なければ流れで付き合っていると思うんだけど、変な所でプライドを持っているんだな。
「分かったけど、僕はモテないから僕と付き合おうとする物好きは友里愛位だと思うんだけどなぁ」
「はあ。何も分かっていないのね。これが無自覚なエセモブなのね」
「何か言った?」
「明日は大変よって。私も大変な人と関わっちゃったな」
「大丈夫。大変な目にあっても僕の力の及ぶ限り守るから」
「そのね、・・・」
ガチャリ
「あらお邪魔だったかしら?2時間程何処かに行っていましょうか?」
友里愛は真っ赤になり俯く。
「時間が勿体ないよ。この後買い物や友里愛とラビリンスに行きカーヴァントを強化したいんだ」
愛姉と友里愛は何故か顔を見合わせため息をつく。
「2人共お昼はまだでしょ?じゃあお昼を食べてから風曲の森へ調査のためとして行く?勿論斗枡の奢りね!」
友里愛ははいっ!と気持ちの良い返事をする。
近くのファミレスでささっと食べてから僕はこの前のオカマバーじゃなくて、装備品の店に降ろされた。
「斗枡はここで待っていなさい。私は渚さんを家に送り、着替えてからここに戻るから」
「分ったよ」
僕は愛姉から渡されたメモを元にモーモンとゼッチィーニのビキニアーマーを買う。
これが1番安いんだ。
店には見本があり、ママにカードと愛姉の書いたメモを渡す。
目測のスリーサイズと身長が書いてあるらしく、それを見てバックヤードから着られそうなのを持ってくる。
それとその上に着る服だ。
ゼッチィーニもぷるるんで戦っているから胸が邪魔だと言っていたな。
モーモンには後日ちゃんとした鎧をかってやりたい。
それと友里愛にカチューシャだ。
装飾品ではなく、頭部を守る装備品だ。
ざっと30万円近く飛んだ。
勿論領収書を貰うのを忘れない。
装備品や薬の類は経費として認められるので、2月の確定申告に必要だと言われているし、こう行った探索者向けの店は言われなくても領収書を出してくる。
ママに男物の服を買える所が無いか聞いたら扱っている店と何階の店なのかを教えてもらい、強化したカーヴァントに着せる服を買う。
ラビリンスの帰りに寄る者も多く、装備品の上に着る服を駄目にしてしまった人が買えるようにと、ストックがあったので装備品を見つつ今日は服だけにした。
そうこうしていると地下駐車場に着いたと愛姉から連絡が来たので僕はビルを引き上げた。
愛のキューピットを買って出たからにはらあーあー!やっちゃったねぇ!という感じには持っていこうとしないだろう。
もしもNG行動だったら冬奈経由でしばく!
そっと左手で背中をさすり、右手で頭を撫でてみた。
一瞬びくんとなったけど僕の制服が涙で濡れて行く。
嗚咽がなくなり、鼻をすすり始めたからそろそろかなと思うと愛姉はティッシュを渡してきた。
僕はハンカチを出し、今日使っていないよな?と思いつつ屈んで友里愛の涙をそっと拭き、鼻にティッシュを当てた。
「ほらチ~ンして!」
遠慮気味に軽く鼻をかむ。
鼻をかんでいるのに絵になるなんて流石主人公向きの陽キャラ。
愛姉はさり気なくゴミ箱を差し出したのでティッシュを捨て、もう1度軽く鼻を拭く。
「ご、ごめん。その、何で手慣れているのよ?」
「母さんが女手1つで育ててくれたけど、妹に手が回らなくてさ。妹が小さい時は僕が世話をしていたから、よく鼻もかんでやったもんだよ」
「そっか。確か0号様が行方不明になったのって13、4年前?」
「うん。僕の物心がつく前で、妹がお腹の中にいる時かな。少し落ち着いた?立ったままなのもあれだし座ろうか?」
友里愛を座らせ、僕はその隣に座る。
すると愛姉向かい側に座り、パーティー登録について説明してくれた。
登録に必要な事と言っても登録用紙に記載するんだ。
こういったラビリンス関連の手続きはアナログに戻っており、用紙は複写だ。
言われるがままにサインをするが、探索者証を預けると愛姉は事務の人に登録をして貰いに部屋を出て行く。
・
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「その、さっきは有難う」
「何かあったっけ?」
「ふふふ。優しいのね。有難う。ふううう」
彼女が目を閉じて伸びをする。
控えめな胸だが、伸びをしたものだからその膨らみが強調される。
顔付きが学校のそれに戻ったが、先程からそうしているように僕の手を再び握る。
不安なのだろう。
「勘違いしないでよね!付き合うって言ってもお試しだからね!キスも駄目なんだからね!手位なら繋いであげなくもないわよ!美少女とお付き合い出来るんだから有り難く思いなさい!」
別に良いんだけど、僕友里愛と付き合うって言っていないよ!?
勿論付き合うよ!
愛姉の策略に勝手にハマり、もりあがっているだけだよ?
「僕なんかで良いの?顔なんて、例えば僕と話していた2組の仲本の方が作りが良いし、僕なんてモブだよ?」
「はあ。斗枡ねぇ・・・そんな訳ないでしょ。まあ良いわ。試用期間が終わったら斗枡から正式に交際を申し込みなさいよ!それと他は全て断りなさい!」
断るって何の事だろう?
試用期間って新卒の会社員じゃあるまいし、問題なければ流れで付き合っていると思うんだけど、変な所でプライドを持っているんだな。
「分かったけど、僕はモテないから僕と付き合おうとする物好きは友里愛位だと思うんだけどなぁ」
「はあ。何も分かっていないのね。これが無自覚なエセモブなのね」
「何か言った?」
「明日は大変よって。私も大変な人と関わっちゃったな」
「大丈夫。大変な目にあっても僕の力の及ぶ限り守るから」
「そのね、・・・」
ガチャリ
「あらお邪魔だったかしら?2時間程何処かに行っていましょうか?」
友里愛は真っ赤になり俯く。
「時間が勿体ないよ。この後買い物や友里愛とラビリンスに行きカーヴァントを強化したいんだ」
愛姉と友里愛は何故か顔を見合わせため息をつく。
「2人共お昼はまだでしょ?じゃあお昼を食べてから風曲の森へ調査のためとして行く?勿論斗枡の奢りね!」
友里愛ははいっ!と気持ちの良い返事をする。
近くのファミレスでささっと食べてから僕はこの前のオカマバーじゃなくて、装備品の店に降ろされた。
「斗枡はここで待っていなさい。私は渚さんを家に送り、着替えてからここに戻るから」
「分ったよ」
僕は愛姉から渡されたメモを元にモーモンとゼッチィーニのビキニアーマーを買う。
これが1番安いんだ。
店には見本があり、ママにカードと愛姉の書いたメモを渡す。
目測のスリーサイズと身長が書いてあるらしく、それを見てバックヤードから着られそうなのを持ってくる。
それとその上に着る服だ。
ゼッチィーニもぷるるんで戦っているから胸が邪魔だと言っていたな。
モーモンには後日ちゃんとした鎧をかってやりたい。
それと友里愛にカチューシャだ。
装飾品ではなく、頭部を守る装備品だ。
ざっと30万円近く飛んだ。
勿論領収書を貰うのを忘れない。
装備品や薬の類は経費として認められるので、2月の確定申告に必要だと言われているし、こう行った探索者向けの店は言われなくても領収書を出してくる。
ママに男物の服を買える所が無いか聞いたら扱っている店と何階の店なのかを教えてもらい、強化したカーヴァントに着せる服を買う。
ラビリンスの帰りに寄る者も多く、装備品の上に着る服を駄目にしてしまった人が買えるようにと、ストックがあったので装備品を見つつ今日は服だけにした。
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