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第1章(高校生入学編)

第34話 友里愛の本音

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 僕は入学式が終わっても心ここにあらずだった。
 やってしまった・・・
 しかも盛大に・・・
 特に最後のあれは渚さんのジト目からダメ出しを食らいそうだ。
 折角お近付きになれるかも?と思ったけど、流石に引いたよな。

 教室に行くと誰かに引っ張られてその席に座る。
 隣にはニコニコ顔の渚さんだ。
 怖いです。
 ニコニコ顔に騙されてはいけない。

「トーマス君、かっこよかったわ!」

 渚さん以外に言われたのですが、どう言う事だろうか?

「斗枡君、彼女とかいるの?」

「今度私とデートして下さい!」

「と、ま、す、く、ん??モテモテね。さっきのあれは何?凄かったわと言いたいけど、何であんな事が出来るのかなー!?かなー!?」

 詰め寄られた。

「な、渚さん、本当に躓いたんだ。何とか転けないようにと踏ん張ったらああなっていまして・・・」

「確かに最初は私もやっちゃった!って思ったけど、流石にあそこまですると引くわよ。でも女の子にウケて良かったわね」

 刺々しいが・・・何故?

 「斗枡、ほら答えてあげたら?彼女いるのかって」

「お恥ずかしながら彼女がいた事は無いです」

「キャー!聞いた!彼女いないんですって!ワンちゃんあるかな!?」 

 何のワンちゃんだろうか。

 ガラガラガラ

「ほら座れー!先生だぞお!」 

 残念そうに女の子達が離れていく。

「淺沼、ご苦労様でしたと言いたいが、ちーとやり過ぎだぞ!お前何処かの雑技団にでもいたのか?」

 アハハハと皆が笑う。

「まあ良い。淺沼のは(バトルスーツ)民生のじゃないよな?あの動きからすると自衛隊のか?ってそう言う事か。ってどんなふうに座ってんだ?バラバラだな。顔と名前が覚えられんから出席番号順に・・・」 

「先生!」

「何だ?お前は?」

「渚です。せめて1週間このままにしませんか?誰が何処に座ったか座席表を作って演台に置いておきますから」

「そうか。反対の奴いるか?・・・よしいないな。じゃあ明日のオリエンテーション迄に作ってくれ。それでは改めて・・・」

 ホームルームが終わり、下校となった。

「さあ行くわよ!」

 渚さんに腕を組まれ、強制連行されています。
 もう少し他の人とも話したかったな。
 女子のあっ!という感じに残念そうにしている姿があったけど、やっぱり渚さんは人気者だな。

 色恋なしでとはいえ渚さんを専有しているから、女子に総スカン食らわないようにしなきゃね。

「斗枡、君が羨ましい・・・」

 田仲君は僕にそう言い今日は別れた。

 AカップかBカップだろうか、慎ましい胸が腕に当たる。
 それでも柔らかい。

 離すと何処かに行ってしまいそうと思われたかな?がっしりホールドされております。

「斗枡君って彼女いないんだ。私もいないんだ。って君、私の胸小さいって思ったでしょ?」

「いや、その、当たっていて・・です」 

「ですって何?当たっているんじゃなく当てているのよ。全く女の子にここまでさせて。私3月生まれで今が色々な成長期なの。斗枡君は胸の大きい子が好きそうだけど、今に私に付き合ってくれって言わせる位大きくなるんだからね」

 何が言いたいのか?
 胸の大きさにコンプレックスを抱いているのかな。

 渚さんは時折知り合いにバイバイと手を振っている。
 やはり女子からの人気は高い。
 勿論男子からは絶大な人気があるので、男子からの怨嗟の視線が痛い・・・

 学校からギルドまでは近いので歩いて向かう。
 先程はポニーテールだったけど、今は解いて腰までのストレートが眩しい。
 しかし・・・何故僕はこの人と腕を組んで歩いているのか?不思議だ。

 勿論渚 友里愛は目的があり斗枡に近付いている。

 彼女からすると斗枡の顔は平凡。
 どこにでもいるモブとしか思えない。
 しかしその見た目とは違い、ラビリンスでは自分達が尻尾を巻いて命からがら逃げてきた魔物をサクッと倒している。

 何とか入り口に戻るとどう見ても、彼と2人の女が自分達より先にラビリンスから出る所だった。

 つまりボスを倒してホールを使った事を意味する。
 間違いなく自分や姉より強い。 
 姉に買って貰ったバトルスーツは学校に着ていけない。
 怖くてバトルスーツが無いとラビリンスに入れそうにない。
 学校の授業や課題で入らざるを得なく、その場合自力で購入した以外のバトルスーツを着られない。

 となるとバトルスーツを自力で買わないといけない。
 偶々知り合った同じクラスの斗枡に助けて貰おうとしたのだ。

 また、魔物に追われていて、彼が倒してくれなかったら追い付かれて殺されていた可能性が高い。
 姉のパーティーリーダーは認めなかったらしいが、自分も姉も彼が命の恩人だとなった。

 姉の話だと見た事のない探索者だし、顔付きから自分と同じで今年入学する者の可能性が高いとなり、再会を心待ちにしていた。

 やはりいた。
 贔屓目に見ても髪型が超ダサい。
 身なりにあまり気を使わないのだろうか?
 ちらっと見掛けた連れの女性は美少女と美人だった。
 顔については負けるつもりはないが、胸が・・・

 多分巨乳好きなんだろうと思う。
 そんな中、ちょっと強気に行ったらこの前の事に引け目を感じていたようで、まさかまさかであっさりとパーティーを組んでくれるようだ。

 見た感じ流される性質に見えるから、陰ながら操るつもりで行かないと、色仕掛けをする他の女に取られ兼ねない!
 だから急いでパーティー登録をしなきゃなのよ!

 それに並々ならぬオーラと直感でこの人は違う!と感じた。
 私の事を見た目じゃなく中身で見ようとしている。

 でも胸を見て残念そうにしていたのは駄目ね!しばいてやる!

 凄いカーヴァントを持っているのかしら?

 にしてもバトルスーツが凄いのもあるけど、あの身のこなし凄すぎたわ。
 ちょっと格好良いかもって思ったわ。

 駄目よ。
 彼から告白させるの。
 そしたら仕方がないわねって言ってオッケーするの。
 私のプライドにかけて私からは告白しないわ。
 これでもマドンナと言われていたのよ!

 そんな事を思いながら歩いていると、ギルドが入っている市役所に着いた。

「友里愛さん、少し待っていてね」

 プルルル、プルルル・・・

「はーい!麗しの姉璃音とは私の事よ!」

「テンション高いね!」

「どうしたの?」

「今市役所に着いたんだ。クラスメイトとそっちに行くからその連絡だよ」

「じゃあ待っているわ」

「よし、愛姉に連絡したから、さっと手続きをしてくれるよ!」

 そうして2人はギルドのあるフロアへと進んでいった。
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