上 下
8 / 197
序章(探索者スタート編)

第8話 2階層

しおりを挟む
 僕は思案に耽っていたが、ワーウルフがク~ンと甘えるように僕にここだよと知らせてきた。
 そこには魔石が4個落ちていた。

「何だ?お前達は4匹も相手にしていたのか?そりゃあきついよな。よく頑張ったな。休んでね」

 縦に首を振る。

 何もいないようなのでレイラに名前を教えて貰い、ワーウルフをカードに戻した。


 もしもここに璃音がいたのならばこう言っただろう。

「斗升君ごめんなさいね。どうやらここは近いうちにランク2に上がるようね」

 しかし璃音はここにおらず、斗枡は今の状態が異常事態なのだという事を教えてくれる人がおらず、こんなもんなんだなあと思っていた。

 どうやらここは1階層の最奥だったようで、魔石が落ちていたその先に階段と思われる場所が見えた。

 僕が先に行こうとしたのをレイラに止められ、レイラが先を進むと言い、ウォーリアーに殿を任せる提案をしてきた。

 反対する理由も無いのでレイラの提案を採用した。

 そして2階層へと降りたが、いきなり襲われた。

「ゴブゴブ!」

 レイラが棍棒を振るとスパーンと首が飛んでいき、1秒ほどで霧散するとその場にカードが残った。
 
 ウッシ!

 カードにはゴブリンウォーリアーと有った。

 なるほど。
 このラビリンスは1階層がランク1で2階層がランク2なのね。
 試験は最奥にあるメッセージを見る事になっているけど、ここには勿論ない。
 流石に2階層の最奥が終わりだろうか。

 ウォーリアーが2体襲ってきたが、1体へは即時に反応したレイラが対峙した。

「僕もやってみるよ!危なくなったら助けてね!」

 璃音さんからきのう渡されたコンバットナイフと、僕自身のコンバットナイフ(父の使っていた物で家にあった)計2本をサブウエポンとして持っている。
 僕がスタートボックスの中敷きの下にあったコンバットナイフを持っていかなかったから、去り際に璃音さんが追い掛けて渡してくれたんだ。
 良い人だよね!

 僕も剣以外にサブウエポンがないと不安なのでコンバットナイフを2本身に着ける事にしたんだ。

 僕は父さんの剣を握り、中学の時に体験教室で習った剣道を思い出して上段から斬り込むと・・・スパーン!
 気持ち良い位縦に二分された。
 今も朝素振りだけはしているが、この剣は凄い!

 さっと魔石を拾いリュックに入れる。

 スパーン!スパーン!スパーン!

 奥に進むにつれウォーリアーがドンドン来るが、僕とレイラは交互に倒していく。
 僕は首を切り落とし、レイラは野球のボール宜しく頭を打ち飛ばしていく。
 レイラは多分ゴブリン10体分の力があるから強いんだろうけど、僕の方は実力なんだ!と勘違いしてはいけないと自分に言い聞かせる。

 面白いようにさくさくと倒していたから忘れていたけど、僕の力じゃなくてあくまでも父の残したこの業物の剣の力だ!
(注・当時の自衛隊が探索者となった隊員へ与えた数打ち品です!レア度としたら最低レアのR)

 折角の初心者用ラビリンスだから経験を積みたいと交互に戦っている。
 うーん・・・弱くて話にならない。
 ウォーリアーはランク2の魔物のはずだけれども、こんな簡単に倒せられるって事は初心者用ラビリンスの場合、魔物が弱体化しているんだろうな!
 

 本来のランク2はどんなだろうか!?

 って剣がドロップしたな!うん。
 確かゴブリンウォーリアーは偶に剣をドロップするってラビリンス攻略サイトに出てたな。

「レイラ、この剣を使うかい?」

「良いのでしょうか?」

「それと僕の予備武器であるこのナイフをウォーリアーに渡すよ」

「なるほど。分かりました。有り難く使わせて頂きます!」

 ウォーリアーも嬉しそうにしている。

 奥に進むがレイラがさくさくと倒していくから楽なんだよね。
 おお!2本目の剣が奥の部屋で出たな。

 剣はウォーリアー行きだ。

 そこから少し進むとウォーリアーが3体とゴブリンが10体出て、乱戦になっちゃった。
 僕のウォーリアーは少し傷を負ったけど、それでもゴブリン2体を仕留めていたな。

 階段が見えたので迷わず3階層へ降りる。
 僕は話しをちゃんと聞いていなかったか、勘違いから2階が最奥になると思い込んでいた。
 まあ、2階の感じから問題ない強さだよね。
 うん。

 さっさと試験を終わらせて帰ろう!
 レイラは魔物を倒す度にプルルンしているから目に毒だ。
 トレーナーだけなので、突起が見えちゃう。 
 なにのって?
 そりゃあ果実の先っぽだよ。

 さて、3階層が終点だと嬉しいな。

 その頃・・・僕の後ろから入った人がいて、2階層から3階層へと続く階段の所にあるお題を見付けた。
 お題の答えが書かれたボードは魔物により倒されており、そのボードは裏側を向いていた。
 斗枡は気が付かなかったが、その探索者は気が付いた。
 また、誰かが下に降りる様子がちらっと見えたが、異常事態だと理解し急いで入り口に引き返した。

 報告を受けた自衛隊員は不味いと判断し、ラビリンスの入り口にアクシデント発生により一時閉鎖の看板を立て、3階層へ降りた探索者を救援するべく急ぎ師団に連絡するとラビリンスの中を走って行ったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

祈りの力でレベルカンストした件!〜無能判定されたアーチャーは無双する〜

KeyBow
ファンタジー
主人公は高校の3年生。深蛇 武瑠(ふかだ たける)。以降タケル 男子21人、女子19人の進学校ではない普通科。大半は短大か地方の私立大学に進む。部活はアーチェリー部でキャプテン。平凡などこにでもいて、十把一絡げにされるような外観的に目立たない存在。それでも部活ではキャプテンをしていて、この土日に開催された県総体では見事に個人優勝した。また、2年生の後輩の坂倉 悠里菜も優勝している。 タケルに彼女はいない。想い人はいるが、彼氏がいると思い、その想いを伝えられない。(兄とのショッピングで仲良くしているのを彼氏と勘違い) そんな中でも、変化があった。教育実習生の女性がスタイル抜群で美人。愛嬌も良く、男子が浮き足立つのとは裏腹に女子からの人気も高かった。タケルも歳上じゃなかったら恋をしたかもと思う。6限目が終わり、ホームルームが少しなが引いた。終わると担任のおっさん(40歳らしい)が顧問をしている部の生徒から質問を受け、教育実習生のミヤちゃん(竹下実弥子)は女子と雑談。タケルは荷物をまとめ、部活にと思っていた、後輩の二年生の坂倉 悠里菜(ゆっちゃん、リナ)が言伝で来た。担任が会議で遅れるからストレッチと走り込みをと言っていたと。この子はタケルに気があるが、タケルは気が付いていない。ゆっちゃんのクラスの担任がアーチェリー部の担任だ。ゆっちゃんと弓を持って(普段は学校においているが大会明けで家に持って帰っていた)。弓を背中に回して教室を出ようとしたら…扉がスライドしない。反対側は開いていたのでそっちに行くが見えない何かに阻まれて進めない。反発から尻餅をつく。ゆっちゃんは波紋のようなのが見え唖然とし、タケルの手を取る。その音からみっちゃんも扉を見て驚く。すると急に光に包まれ、気絶した。目を覚ますと多くの人がいる広間にいた。皆すぐに目覚めたが、丁度三人帰ったので40人がそこにいた。誰かが何だここと叫び、ゆっちゃんは震えながらタケルにしがみつく。王女と国王が出てきてありきたりな異世界召喚をしたむね話し出す。強大な魔物に立ち向かうべく勇者の(いせかいから40人しか呼べない)力をと。口々に避難が飛ぶが帰ることは出来ないと。能力測定をする。タケルは平凡な数値。もちろんチート級のもおり、一喜一憂。ゆっちゃんは弓の上級スキル持ちで、ステータスも上位。タケルは屑スキル持ちとされクラスのものからバカにされる。ウイッシュ!一日一回限定で運が良ければ願いを聞き入られる。意味不明だった。ステータス測定後、能力別に(伝えられず)面談をするからと扉の先に案内されたが、タケルが好きな女子(天川)シズクと他男子二人だけ別の扉を入ると、閉められ扉が消え失せた。四人がいないので担任が質問すると、能力が低いので召喚を取り消したと。しかし、帰る事が出来ないと言っただろ?となるが、ため息混じりに40人しか召喚出

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!

KeyBow
ファンタジー
 日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】  変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。  【アホが見ーる馬のけーつ♪  スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】  はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。  出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!  行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。  悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!  一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!

異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜

KeyBow
ファンタジー
 主人公の井野口 孝志は交通事故により死亡し、異世界へ転生した。  そこは剣と魔法の王道的なファンタジー世界。  転生した先は侯爵家の子息。  妾の子として家督相続とは無縁のはずだったが、兄の全てが事故により死亡し嫡男に。  女神により魔王討伐を受ける者は記憶を持ったまま転生させる事が出来ると言われ、主人公はゲームで遊んだ世界に転生した。  ゲームと言ってもその世界を模したゲームで、手を打たなければこうなる【if】の世界だった。  理不尽な死を迎えるモブ以下のヒロインを救いたく、転生した先で14歳の時にギフトを得られる信託の儀の後に追放されるが、その時に備えストーリーを変えてしまう。  メイヤと言うゲームでは犯され、絶望から自殺した少女をそのルートから外す事を幼少期より決めていた。  しかしそう簡単な話ではない。  女神の意図とは違う生き様と、ゲームで救えなかった少女を救う。  2人で逃げて何処かで畑でも耕しながら生きようとしていたが、計画が狂い何故か闘技場でハッスルする未来が待ち受けているとは物語がスタートした時はまだ知らない・・・  多くの者と出会い、誤解されたり頼られたり、理不尽な目に遭ったりと、平穏な生活を求める主人公の思いとは裏腹に波乱万丈な未来が待ち受けている。  しかし、主人公補正からかメインストリートから逃げられない予感。  信託の儀の後に侯爵家から追放されるところから物語はスタートする。  いつしか追放した侯爵家にザマアをし、経済的にも見返し謝罪させる事を当面の目標とする事へと、物語の早々に変化していく。  孤児達と出会い自活と脱却を手伝ったりお人好しだ。  また、貴族ではあるが、多くの貴族が好んでするが自分は奴隷を性的に抱かないとのポリシーが行動に規制を掛ける。  果たして幸せを掴む事が出来るのか?魔王討伐から逃げられるのか?・・・

エロゲーの悪役に転生した俺、なぜか正ヒロインに溺愛されてしまった件。そのヒロインがヤンデレストーカー化したんだが⁉

菊池 快晴
ファンタジー
入学式当日、学園の表札を見た瞬間、前世の記憶を取り戻した藤堂充《とうどうみつる》。 自分が好きだったゲームの中に転生していたことに気づくが、それも自身は超がつくほどの悪役だった。 さらに主人公とヒロインが初めて出会うイベントも無自覚に壊してしまう。 その後、破滅を回避しようと奮闘するが、その結果、ヒロインから溺愛されてしまうことに。 更にはモブ、先生、妹、校長先生!? ヤンデレ正ヒロインストーカー、不良ヤンキーギャル、限界女子オタク、個性あるキャラクターが登場。 これは悪役としてゲーム世界に転生した俺が、前世の知識と経験を生かして破滅の運命を回避し、幸せな青春を送る為に奮闘する物語である。

おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク
ファンタジー
※2019年7月下旬に第二巻発売しました。 ※12/11書籍化のため『Sランクパーティーから追放されたおっさん商人、真の仲間を気ままに最強SSランクハーレムパーティーへ育てる。』から『おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる』に改題を実施しました。 ※第十一回アルファポリスファンタジー大賞において優秀賞を頂きました。 俺の名はグレイズ。 鳶色の眼と茶色い髪、ちょっとした無精ひげがワイルドさを醸し出す、四十路の(自称ワイルド系イケオジ)おっさん。 ジョブは商人だ。 そう、戦闘スキルを全く習得しない商人なんだ。おかげで戦えない俺はパーティーの雑用係。 だが、ステータスはMAX。これは呪いのせいだが、仲間には黙っていた。 そんな俺がメンバーと探索から戻ると、リーダーのムエルから『パーティー追放』を言い渡された。 理由は『巷で流行している』かららしい。 そんなこと言いつつ、次のメンバー候補が可愛い魔術士の子だって知ってるんだぜ。 まぁ、言い争っても仕方ないので、装備品全部返して、パーティーを脱退し、次の仲間を探して暇していた。 まぁ、ステータスMAXの力を以ってすれば、Sランク冒険者は余裕だが、あくまで俺は『商人』なんだ。前衛に立って戦うなんて野蛮なことはしたくない。 表向き戦力にならない『商人』の俺を受け入れてくれるメンバーを探していたが、火力重視の冒険者たちからは相手にされない。 そんな、ある日、冒険者ギルドでは流行している、『パーティー追放』の餌食になった問題児二人とひょんなことからパーティーを組むことになった。 一人は『武闘家』ファーマ。もう一人は『精霊術士』カーラ。ともになぜか上級職から始まっていて、成長できず仲間から追放された女冒険者だ。 俺はそんな追放された二人とともに冒険者パーティー『追放者《アウトキャスト》』を結成する。 その後、前のパーティーとのひと悶着があって、『魔術師』アウリースも参加することとなった。 本当は彼女らが成長し、他のパーティーに入れるまでの暫定パーティーのつもりだったが、俺の指導でメキメキと実力を伸ばしていき、いつの間にか『追放者《アウトキャスト》』が最強のハーレムパーティーと言われるSSランクを得るまでの話。

処理中です...