異世界の約束：追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります！〜

第170話 王妃の行く末

　オルリシリア王妃はダイランド侯爵に頼み、この屋敷に匿ってもらう事とその庇護下に入ろうとしていた。

　彼女は現国王の王妃をさせられていたが、アイリーンが婚姻して未婚の姫ではなくなり、つまり人質の価値がなくなった為に王に従う必要がなくなった。

　彼女は現国王の王妃をさせられていたが、国王は彼は魔王の尖兵であり色々暗躍している。
　その為色々な判断が怪しくなっている。

　オルリシリア王妃はダイランド侯爵に言った。

「私はあなたにお願いがあります。その、匿ってもらいたいのです。それとこの国から逃げるのを手伝ってもらいたいのです。それとは別にもう一つお願いがあります。私を妻にしてもらいたいのです」

「この屋敷はセルカッツのものです。ですから息子に頼んでほしい。私は息子は応じてくれると信じている。ただ、国外脱出は私には無理だ。魔王が死なぬ限りこの屋敷の敷地から出られない呪いが有るが、魔王が死にさえすれば身命をとしてでも果たそう」

　ダイランド侯爵はオルリシリア王妃の言葉に応え、オルリシリア王妃に匿うことはできると、建前としてセルカッツの許可がいると言ったのだ。

　そして一拍おいてからその目を見た。

「結婚は事実的なのしか無理だが、それでよいのか？正式には王妃だから、表立ってダイランド侯爵夫人にはなれないぞ」

　ダイランド侯爵はオルリシリア王妃に言ったが、彼女はダイランド侯爵の言葉に悲しみを感じた。ダイランド侯爵の正式な妻にしてもらうことはできないと言われたが、彼ら自分の事を妻にしたいと思っていることを知った。

「確かに仰る通りですね。でも私は正確には今独身なんですわよ。私の政略結婚の相手だった前王が死んでから、アイリーンを人質に取られ現国王の妾になっていたの。王妃であるかのように扱われているだけであり、正式に王妃になってはいないの。登録では前王の正室で、未亡人なのよ。では義理の息子に早速甘えようかしら。セルカッツさん、アイリーンを守るついでで良いから私のことも守って下さらないかしら？」

「母を守るのは子の役目。とはいえ大胆な行動に驚きました。確かに少し不器用なメイドだなとは思いましたが」

「ダイランド様？これで問題ありませんわね！」

　ダイランド侯爵はオルリシリアの言葉に心を動かされた。
　彼は、オルリシリアに自分の妻になってもらうことはできないと言ったが、実は彼もオルリシリアに自分の妻になってもらいたいと思っていたのだ。

　ダイランド侯爵はオルリシリア王妃に言った。

「私はあなたを妻にしたいと思います。セルカッツの妻達に封印されし記憶を蘇らせてもらい、貴女が誰か思い出した。ただ、正式な発表は魔王討伐後になろうかと思うが、それでよいか？」

　オルリシリア王妃はダイランド侯爵の言葉に喜びを感じた。

　ただ、屋敷の使用人には、ダイランド侯爵の昔の恋人が再婚相手として訪ねてきた事になり、襲撃事件を片付けさえすれば、一時的にとはいえ、穏やかで幸せな日が待っていた。