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第149話 謁見の間
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セルカッツが着替えの途中だったが、王妃様が国王と執務室を出ていった。
「セルカッツ様、私はこの人と先に行っていますから、メイドの指示に従ってください。ユナリ、セルカッツ様をお願いしますね」
「かしこまりました」
セルカッツが何かを言いかけたが、王妃様は国王とドアのところにいたが、言うだけ言って出て行き、セルカッツは身なりを整えているユナリと2人取り残された。
「ユナリさんだっけ、何をしようとしているか知らないですか?」
「あら?メイドごときにご丁寧なのですね。なるほど。そうですね。私が知っているのは、若いハンサムさんを準備が出来次第謁見の間にお連れするように言われていますけれども、それ以上のことは聞かされておりませんわ」
「まじか・・・謁見の間か。今日こんな時間だけど普段こんな時間に謁見なんてするの?」
「いえ。普通は国家存亡に関わるような軍事行動など、有事の際に会議が騎士団と行う事以外、翌日まで待ってもらいますわ。ですので今回はかなりイレギュラーなことだと思います」
「どうみてもそんな緊急じゃないよな。まさかサプライパーティーとか?そんな服だったよね?」
「確かに陛下と王妃様はそのような格好ですけど、セルカッツ様は最近結婚したか、予定はあるの?」
話し方が急に砕けたことにセルカッツは気が付かなかった。
「うん。婚約者と昼に国王様の立ち会いのもと、いや、国王陛下が俺と婚約者の婚姻宣言をしたんだ」
「であればお披露目会ではありませんか?この国の御貴族様は舞踏会がお好きですから」
セルカッツはユナリに連れられて謁見の間に向かった。
謁見の間のドアの前で立ち止まり、ユナリはセルカッツに微笑んだ。
「セルカッツ様、準備はいいですか?」
「え?何の準備だよ?」
「あら、そうでしたか。では、私はここで失礼します。セルカッツ様、がんばってくださいね」
ユナリはドアを開けて、唖然とするセルカッツを中に押し込んだ。
ドアはバタンと閉まり、セルカッツは謁見の間に入った。
謁見の間は広くて豪華な部屋だった。天井には金色のシャンデリアがぶら下がり、壁には美しい絵画や彫刻が飾られていた。床には赤い絨毯が敷かれており、その先には玉座があった。玉座には国王と王妃が座っていたが、セルカッツの目には入らなかった。なぜなら、玉座の前には、セルカッツの愛する女性陣が、どう見ても婚姻用のドレスを着て並んでいたからだ。
セルカッツは目を疑った。彼の前には愛する女性たちがいた。
先に婚姻宣言をされたアイリーンがいたが、彼女だけではなかった。
アイリーンの影武者をしていたヤーマを始め、メイヤ、タニス、ヨルミクル、アルテイシア、イザベルもいた。
彼女達はみんな、白いドレスを着て、花冠をかぶり笑顔でセルカッツを見ていた。
彼女達はみんなセルカッツに愛を告げ、セルカッツと結婚したいと言っていた。
年齢の関係からまだだと言われていたが、彼女達の想いは違った。
セルカッツは混乱した。彼はどうすればいいのだろうか?今の気持ちをどう表せばいいのだろうかと逡巡する。
そんなとき、玉座にいる国王の声が響いた。
「セルカッツ殿、これは私たちからの贈り物だ。君は君を愛する彼女達と結婚することになる。どの女性も君を愛しているし、君と幸せになりたいと思っている」
セルカッツは国王を見た。国王は真剣な表情でセルカッツを見ていた。王妃も同じだった。彼らは冗談ではなく、本気でセルカッツに話したのだ。
セルカッツは再び女性たちを見た。この場にいる全員がセルカッツの返事を待っており、彼女達はセルカッツのことを想っていた。
セルカッツは息を吸った。
そして、口を開いた。
「私は・・・」
「セルカッツ様、私はこの人と先に行っていますから、メイドの指示に従ってください。ユナリ、セルカッツ様をお願いしますね」
「かしこまりました」
セルカッツが何かを言いかけたが、王妃様は国王とドアのところにいたが、言うだけ言って出て行き、セルカッツは身なりを整えているユナリと2人取り残された。
「ユナリさんだっけ、何をしようとしているか知らないですか?」
「あら?メイドごときにご丁寧なのですね。なるほど。そうですね。私が知っているのは、若いハンサムさんを準備が出来次第謁見の間にお連れするように言われていますけれども、それ以上のことは聞かされておりませんわ」
「まじか・・・謁見の間か。今日こんな時間だけど普段こんな時間に謁見なんてするの?」
「いえ。普通は国家存亡に関わるような軍事行動など、有事の際に会議が騎士団と行う事以外、翌日まで待ってもらいますわ。ですので今回はかなりイレギュラーなことだと思います」
「どうみてもそんな緊急じゃないよな。まさかサプライパーティーとか?そんな服だったよね?」
「確かに陛下と王妃様はそのような格好ですけど、セルカッツ様は最近結婚したか、予定はあるの?」
話し方が急に砕けたことにセルカッツは気が付かなかった。
「うん。婚約者と昼に国王様の立ち会いのもと、いや、国王陛下が俺と婚約者の婚姻宣言をしたんだ」
「であればお披露目会ではありませんか?この国の御貴族様は舞踏会がお好きですから」
セルカッツはユナリに連れられて謁見の間に向かった。
謁見の間のドアの前で立ち止まり、ユナリはセルカッツに微笑んだ。
「セルカッツ様、準備はいいですか?」
「え?何の準備だよ?」
「あら、そうでしたか。では、私はここで失礼します。セルカッツ様、がんばってくださいね」
ユナリはドアを開けて、唖然とするセルカッツを中に押し込んだ。
ドアはバタンと閉まり、セルカッツは謁見の間に入った。
謁見の間は広くて豪華な部屋だった。天井には金色のシャンデリアがぶら下がり、壁には美しい絵画や彫刻が飾られていた。床には赤い絨毯が敷かれており、その先には玉座があった。玉座には国王と王妃が座っていたが、セルカッツの目には入らなかった。なぜなら、玉座の前には、セルカッツの愛する女性陣が、どう見ても婚姻用のドレスを着て並んでいたからだ。
セルカッツは目を疑った。彼の前には愛する女性たちがいた。
先に婚姻宣言をされたアイリーンがいたが、彼女だけではなかった。
アイリーンの影武者をしていたヤーマを始め、メイヤ、タニス、ヨルミクル、アルテイシア、イザベルもいた。
彼女達はみんな、白いドレスを着て、花冠をかぶり笑顔でセルカッツを見ていた。
彼女達はみんなセルカッツに愛を告げ、セルカッツと結婚したいと言っていた。
年齢の関係からまだだと言われていたが、彼女達の想いは違った。
セルカッツは混乱した。彼はどうすればいいのだろうか?今の気持ちをどう表せばいいのだろうかと逡巡する。
そんなとき、玉座にいる国王の声が響いた。
「セルカッツ殿、これは私たちからの贈り物だ。君は君を愛する彼女達と結婚することになる。どの女性も君を愛しているし、君と幸せになりたいと思っている」
セルカッツは国王を見た。国王は真剣な表情でセルカッツを見ていた。王妃も同じだった。彼らは冗談ではなく、本気でセルカッツに話したのだ。
セルカッツは再び女性たちを見た。この場にいる全員がセルカッツの返事を待っており、彼女達はセルカッツのことを想っていた。
セルカッツは息を吸った。
そして、口を開いた。
「私は・・・」
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