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第141話 自害を図る!

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 ドナルドをかばおうと覆いかぶさるようにした公爵令嬢のミリアムだが、突然吐き気に襲われた。
 彼女はドナルドの目の前で膝を付き、口を手で押さえていたがどう見ても悪阻だ。
 王妃が慌てて開放に動いた。

 苦しそうに息をしていたが、王妃の介護もありやがてそれも収まった。 
 彼女は周りに妊娠していることを隠していたが、この場で悪阻が起こってしまったのだ。
 隠すことはもう無理だろう。

 周りの人々はミリアムの様子に驚いた。 
 彼女は公爵令嬢であり、美しくて優秀で多くの求婚者がいた。
 しかし、彼女は誰とも結婚しないと言っていた。
 国王もこの可愛らしい姪っ子は子供の頃から親しくしており、お兄様と呼ばれていた。
 なので、当人から頼まれない限り結婚相手は自分で選んだ相手を!としていたが、それは彼女を政の道具にするつもりはなかったからだ。

  そう、彼女はドナルドに惹かれていたのだ。

 ミリアムはドナルドに抱きついて、涙を流した。
 彼女はドナルドとの関係を告白した。

「ドナルド様、私はあなたのお子を身ごもっています。私はあなたを愛しています。どうか私を見捨てないでください!」

 ミリアムの言葉に周りの人々はさらに驚いた。 
 彼女はドナルドの子を妊娠していると言ったのだ。

 国王は怒り心頭で、もし帯剣していれば即事に斬り伏せたであろうかというような怒髪天の表情をしていた。

 ドナルドは魔王の使い魔に憑依されていたと言われていた。
 彼は国王やセルカッツやアイリーンに危害を加えようとしたと言われていた。 
 また、彼がこの国を滅ぼそうとしたとも。

 それなのに、彼女はドナルドを愛していると言ったのだ。 
 彼女はドナルドの子を妊娠し、生むと言った。

 ドナルドはミリアムの言葉に動揺した。
 彼はなんとなく自分が何をしたか覚えていたが、彼女を愛してはいなかった。 
 とはいえ身分が違いすぎるから恋愛対象にしていなかったのだ。
  学校でも浮いた話の一つもなく、精錬潔癖で、平民にもやさしく女子からも人気のある淑女だった。

 そんな彼女を汚したと、青ざめながら責任を取ろうとした。

 ドナルドは咄嗟に近くにいた兵士の腰からナイフを奪い、自害を図ろうとした。
 彼は自分の喉にナイフを突きつけ、喉を突いて自害することで彼は自分の罪を償おうとした。

 しかし、その瞬間、セルカッツがナイフの刃を掴んだ。
 セルカッツの驚くべき行動に皆驚いたが、咄嗟にドナルドの自殺を阻止し、手から血が滴る中ドナルドを説得した。

「ドナルド、お前は死んではならない。お前は魔王の使い魔に操られていたんだ。お前は自分の意志で行動していなかった。だからお前は罪を犯していない。お前は生きるべきだ。お前はミリアム嬢のためにも、お前の子のためにも生きるべきだ。死んで詫びるのは逃げるだけだ。死を持って楽になるな!彼女は身分差の関係をなく好意を持ってくれているんだ!彼女を守ってやれ!」

 セルカッツはドナルドに激しく言い聞かせた。 
 彼はドナルドに生きる意味を見出させようとし、希望を与えようとした。
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