異世界の約束：追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります！〜

第94話 市場調査

　俺が独断でドンドン進める手もあるが、それだと俺がいないと何もできなくなる恐れが強い！　

　そこで主要メンバーに大事な所を分担してもらったり、何かをするのに皆の意見を求めた。
　時に予想外の話が出たりする。

　売る商品についてはアルテイシアがかなりアイデアを出してくれた。

　洗濯板なんかは、偶々前日にアルテイシアがたらいで服や下着を洗っていたんだけど、洗濯板すら無いと怒っていたんだ。

　屋敷に置いていことではなく、売っていないことに大してだ。

　俺も生活者としては駄目な方なので、良く分かっていなかった。
　そこで今はネイリス、メイヤ、アルテイシアと買い物を兼ね、市場のリサーチへ来ている。

　生まれ育った町ではどこで何が売っているか分かるが、この町は知らない。
　ネイリスがいるのは、町の案内をしてもらうためだ。

　物価や相場の把握、いざとなった時の逃げ道の把握などがあり、両手に花状態を堪能できない。

　時折子供達から声を掛けられる。

「兄ちゃんこの前は凄かったな！」

「かっけー！」

「きゃーセルカッツ様よ！」

　４人共武器別の優勝者なのも有り、目立っていた。
　買い物もおまけをしてもらったりと悪い話ばかりではない。

　小さな子供から握手をねだられるのは、一種の有名税のようなものだ。

　その度に足を止め、一言二言言って頭を撫でてやる。
　母ちゃんを守れる優しい男になるんだぞ！とか、男の強さは弱き物を助けるためにあるんだ！とか、威張り散らすような恥ずかしい男には絶対なるな！等と小学生の男子相当の子供に言い聞かせるように告げていった。

「僕頑張るよ！お兄ちゃん！バイバイ！」

　そんな感じに目を輝かせながら 返事をくれ、母親も俺に頭を下げる。

　本来は親が言うようなことだとは思うが、この年の子供は中には既に反抗期を迎えている者もいるだろう。
　俺も柄にもなく偉そうなことを言っているが、武闘大会の優勝者というのは、子供達のヒーローでなくてはならない。

　領主様が武闘大会の終わりを告げる時にそんな演説をしていた記憶がある。
　こうやって子供達に声をかけられると、なるほどなと思う。
　きっと領主は毎年やきもきしているのだろう。
　こういった大会に出てくる者は腕っぷしに自信があったりするので、ならず者やその予備軍である粗暴な者の参加が多くなる傾向がある。

　ただ、特に新人大会は子供の頃から訓練されている貴族の子の方が仮に体力的に数段落ちていようとも勝ち上がる。
　やはり修練に励み習得した技術は裏切らない。
　俺の場合もそうだ。
　転生する前の持ち技と、ダイランド 家で教え込まれた剣技は、スキルではない本物の経験が役に立つ。
　俺も子供達に手を振り、再び歩みだす。

　そうして多少時間はかかったが、市井の者が出入りするような道具や生活用品を売っている店、日常雑貨店などを一通り見て回った。
　何処に何があり、何がないのか、なんとなく分かったような気がした。
　俺が生まれ育った町とは色んな意味で違った・・・