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第2章

第115話 宿

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 トニーは生殺しにあっていた。
 キャサリンに部屋の手配をお願いした、もとい、彼女が手配を買って出たのだが、2番目に大きな部屋にしていた。
 シングルベッドが6つの部屋だ。寝る直前になり、何気にベッドが6つだと分かった。

 そうだよな。この部屋は女性陣の部屋だよな。寝る前は打ち合わせやら、雑談などお話タイムだよな。さて、そろそろキャサリンに俺の部屋を聞かなきゃだよな。

 トニーはあくびを噛み殺しながらキャサリンに尋ねた。

「なあキャサリン、ソロソロ寝ようと思うから、部屋の鍵をくれ」

 キャサリンが不思議そうにしながら鍵を渡す。

 ふと見るとこの部屋の鍵だ。

 キャサリンはお茶目さんだな。ウケ狙いか?それとも純粋に間違えたのか?

「これはこの部屋のだぞ」

「トニーは変な事を聞きますね。勿論この部屋の鍵ですよ!」

 話が噛み合わない。

「そうじゃなくて、もう1つ部屋を取っているだろ?」

「トニー?私が借りたのはこの部屋だけですよ。どうかしたのですか?」

 おいおい、俺はどこで寝るんだ?あっ!護衛の冒険者達と同部屋か。そうだよな。それならそれと早く言えよ!まったくもう。

「えっと、俺はどの部屋に行けば良いんだ?」

「打ち合わせにでも行くのですか?」

「いやいやいやいや、俺がどの部屋で寝るのかだよ」 
 
「この部屋ですよ」

「トニー、この部屋に決まっているでしょ!馬鹿な事を言わないの!」

「あのなぁ、俺達は7人、ベッドは6台だぞ!」

「で、それが?」 

「数合わないやろ!」

「そんなのくっつければ問題ないわよ!少しは頭を使いなさいよ!」

 レイラの言っている意味が分からないが、皆がいきなりベッドを動かし始めた。

「ほら、準備が出来たから早く寝ましょう!もし今日誰かとするなら、5人は背中を向けているから気にしないで。見ないから」

 俺はため息をつくしかなかった。皆が生暖かい目で見てくる。仕方がない。そう来るなら、こちらにも考えがある。

「レイラおいで」

 キョトンとするレイラをベッドサイドに呼び、隣に座ると即時に押し倒した。あっ!と短く呻くがお構いなしにシャツを剥ぎ取る素振りをした。

「レイラ、さあ、始めようか」

「うそ!?皆の前で?は、恥ずかしいよ・・・」

 皆ガン見だ。

「あれっ!?おっ始めたらお行儀よくそっぽを向くんじゃありませんでしたかあぁ!?何見ているのかなあああ!」

「だからお止しなさいと言ったのに。レイラ、貴女の負けですよ。トニーもからかわない。部屋はね、護衛の方の部屋を奪わないとないの。トニーには悪いのですけれども、今日は添い寝をお願いね。でも、転生しても貴方は変わらないわね」

「済まない。前世の事を何も覚えていないんだ」

「大丈夫よ。必要があれば、自ずと想い出すと思うの。うふふ」

 スラナシスカもそうだが、ジュータスクもよく分からない。だが、結局レイラとアイハに挟まれて寝る事になり、仕返しとばかりにレイラを後ろから抱きしめて眠りに落ちたのであった。




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