92 / 117
第2章
第92話 模擬戦
しおりを挟む
トニーはくどい位にキャサリンの体調を気にしていた。最短距離を進んでおり、各階層を10分程で抜けていく。
道順はやり直し前に覚えたそれであり、15階層のボス部屋の状況もトニーの思うそれだったのでトニーは一安心していた。
15階層を終えると小休止を挟んでから先に進む事にした。やり直し前に姫騎士達から聞いた話からすると、少なくともシスティーナが殺される前に辿り着く筈のペースで進んでいるから多少の休憩を取る余裕があった。休憩を取らないと、いざ本番のダンジョンクリア後の対処に響くので、焦りがあるも休憩を挟む事を選んだ。
15階層はキャサリンにやらせたが、相手にならなかった。剣を使うまでもなかったのだ。その戦いぶりから問題ないと判断し、最終テストをしようと思った。
俺があまりにもキャサリンの事を聞かないので、15階層を終えた後の小休止時に痺れを切らせたキャサリンが聞いてきた。
「トニー殿?何故私を信用されるのですか?呪いを掛けられたとはいえ、かなり失礼な事をしています」
「うん。神器を使ってやり直しをしたと聞いたよね?その時に俺以外皆死んだんだ。その時にレイラ、アイハ、そして君と肩を並べて戦ったんだ。その前のダンジョンで呪いを掛けられている事に気が付くのが遅くてさ。もう少し早く気が付いていたら魔物に遅れを取る事なんか無かったと思うんだ。もうあんな酷い死に様を見たくない。それに解呪する前に知らずに口論になったりかなり喧嘩をしたんだ」
「トニー殿が私の何を見たか分かりませんが、騎士として共に戦うのはやぶさかではないですよ。お蔭様で頭の痛みがなくなったから全力を出せる筈ですが、そのよな悲しそうな顔をシスティーナ様には見せないで!」
俺はキャサリンに対し複雑な顔を向けていた。残念さんなポンコツだと思っていたが、あれは呪いを掛けられた影響だと今は知っている。
本来は真面目で融通の利かない女騎士だ。命が尽きる直前の戦いぶりには心が踊った。レイラとも戦い方が違うのだが、レイラは騎士を目指していなかった。キャサリンは真っ当な騎士の戦い方だった。残念さんだと思ったのは呪いの所為だった。
ただ、姫騎士団の中で一番過激にシスティーナを慕う。勿論主としてだが、システィーナに敵対したと判断すると即時に殺そうとする面もある。
その後、先を進んで行きサクッと10階層をクリアしたが、トニーは皆が意外と思うような事を言った。
「キャサリン、俺と魔法抜きで打ち合え。この模擬剣で」
「構いませんがどうしました?」
「俺に対し負けるような事が有ればこの先は連れていけない。これからする戦いはそういうものだからだ」
「そうですか。純粋な剣の戦いでは結果が見えていると思いますが?」
「だからだ。俺に対して負けるようならば、まだちゃんと回復していないからね」
キャサリンが頷いたので模擬戦を始めたが、逆にトニーの腕前を評価される形になり、トニーでは歯が立たなかったのであった。
道順はやり直し前に覚えたそれであり、15階層のボス部屋の状況もトニーの思うそれだったのでトニーは一安心していた。
15階層を終えると小休止を挟んでから先に進む事にした。やり直し前に姫騎士達から聞いた話からすると、少なくともシスティーナが殺される前に辿り着く筈のペースで進んでいるから多少の休憩を取る余裕があった。休憩を取らないと、いざ本番のダンジョンクリア後の対処に響くので、焦りがあるも休憩を挟む事を選んだ。
15階層はキャサリンにやらせたが、相手にならなかった。剣を使うまでもなかったのだ。その戦いぶりから問題ないと判断し、最終テストをしようと思った。
俺があまりにもキャサリンの事を聞かないので、15階層を終えた後の小休止時に痺れを切らせたキャサリンが聞いてきた。
「トニー殿?何故私を信用されるのですか?呪いを掛けられたとはいえ、かなり失礼な事をしています」
「うん。神器を使ってやり直しをしたと聞いたよね?その時に俺以外皆死んだんだ。その時にレイラ、アイハ、そして君と肩を並べて戦ったんだ。その前のダンジョンで呪いを掛けられている事に気が付くのが遅くてさ。もう少し早く気が付いていたら魔物に遅れを取る事なんか無かったと思うんだ。もうあんな酷い死に様を見たくない。それに解呪する前に知らずに口論になったりかなり喧嘩をしたんだ」
「トニー殿が私の何を見たか分かりませんが、騎士として共に戦うのはやぶさかではないですよ。お蔭様で頭の痛みがなくなったから全力を出せる筈ですが、そのよな悲しそうな顔をシスティーナ様には見せないで!」
俺はキャサリンに対し複雑な顔を向けていた。残念さんなポンコツだと思っていたが、あれは呪いを掛けられた影響だと今は知っている。
本来は真面目で融通の利かない女騎士だ。命が尽きる直前の戦いぶりには心が踊った。レイラとも戦い方が違うのだが、レイラは騎士を目指していなかった。キャサリンは真っ当な騎士の戦い方だった。残念さんだと思ったのは呪いの所為だった。
ただ、姫騎士団の中で一番過激にシスティーナを慕う。勿論主としてだが、システィーナに敵対したと判断すると即時に殺そうとする面もある。
その後、先を進んで行きサクッと10階層をクリアしたが、トニーは皆が意外と思うような事を言った。
「キャサリン、俺と魔法抜きで打ち合え。この模擬剣で」
「構いませんがどうしました?」
「俺に対し負けるような事が有ればこの先は連れていけない。これからする戦いはそういうものだからだ」
「そうですか。純粋な剣の戦いでは結果が見えていると思いますが?」
「だからだ。俺に対して負けるようならば、まだちゃんと回復していないからね」
キャサリンが頷いたので模擬戦を始めたが、逆にトニーの腕前を評価される形になり、トニーでは歯が立たなかったのであった。
12
お気に入りに追加
400
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
悠久の機甲歩兵
竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。
※現在毎日更新中
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
時き継幻想フララジカ
日奈 うさぎ
ファンタジー
少年はひたすら逃げた。突如変わり果てた街で、死を振り撒く異形から。そして逃げた先に待っていたのは絶望では無く、一振りの希望――魔剣――だった。 逃げた先で出会った大男からその希望を託された時、特別ではなかった少年の運命は世界の命運を懸ける程に大きくなっていく。
なれば〝ヒト〟よ知れ、少年の掴む世界の運命を。
銘無き少年は今より、現想神話を紡ぐ英雄とならん。
時き継幻想(ときつげんそう)フララジカ―――世界は緩やかに混ざり合う。
【概要】
主人公・藤咲勇が少女・田中茶奈と出会い、更に多くの人々とも心を交わして成長し、世界を救うまでに至る現代ファンタジー群像劇です。
現代を舞台にしながらも出てくる新しい現象や文化を彼等の目を通してご覧ください。
モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜
KeyBow
ファンタジー
1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。
各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。
ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。
その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。
彼らは通称カーヴァント。
カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。
カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。
しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。
また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。
探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。
つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。
数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。
月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。
彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。
そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。
勿論二世だ。
斗枡が持っている最大の能力はカード合成。
それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。
彼はその程度の認識だった。
実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。
単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。
つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。
また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。
斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?
女子が自然と彼の取り巻きに!
彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる