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第2章
第78話 過呼吸と種まき
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タミースはスラナシスカを始め、先日賭けをしていた女神達を集め叱責をしていた。
正座をさせられた女神達はひたすら怒られている。
なぜバレた?スラナシスカ以外は不思議だった。誰に見られ、密告されたのか謎だった。
スラナシスカ以外は管理官の評定表に1年間口頭注意をされた旨の賞罰が記載される。
賭けた女神達は全員が地上に対して小さな干渉をしていた。
これは罠であり、教育であり、潜入捜査の一環だ。
スラナシスカも加わる事はタミースからの指示で、最近部下が小さな規則違反をしていて困っていると。だからスラナシスカに皆と同じように規則違反をして、全員の名前を伝えるようにと指示をしていた。少し茶目っ気は出たが、スラナシスカは潜入捜査の為に行っていた。
注意された者はまさか一緒に怒られている者の中に監察官がいるとは思わない。誘っても乗るようでは駄目なのだ。本来そういう誘いを受けた場合、上司であるタミースに報告をしなければならなかった。しかしターゲットにされた者は誰も報告をしなかったのだ。
目的は規律を守らせる為だ。
些細な事もバレると理解させる為に行っている。大きな違反や犯罪を侵さない為の抑止力だ。
ジュータスクの逮捕は時間の問題だ。基本的にトニー達がダンジョンに入った時点でだ。
タミースよりスラナシスカの本来の部署に、内偵調査依頼が入り、スラナシスカが派遣されてきた。
若い捜査官をと希望し、かなり苦労して若手の中で頭角を現している者を手配してもらった。捜査官のプロフィールからスラナシスカを指名していたのだ。
「スラナシスカさん、大事にならないうちに首謀者を発見するとは流石ね」
「後1週間後かと思います」
「ジュータスクも愚かな事をしたものですね」
「はい。タミース様が着任する前に既に仕込んでいたようですね」
「誰とは分かりませんでしたが、着任当初から不審な動きがありましたからね」
「では頼みましたよ。出来れば彼女による新たな被害者が出ない事を祈りましょう」
そうしてスラナシスカはタミースの元を離れた。
「さて、種まきは終わりね。全てを刈り取れるかしら?」
・・・・
トニーが戻ってこない・・・
10分位経過していた。皆で手分けしてトイレや風呂場等、顔を洗えそうな所に向かう。
見つけたのはレイラだった。
ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハゥ、ぐうぅ!
呻き声と洗い息遣い。
慌てて男性用のトイレに行くと、床に倒れて震え、喉を押さえているトニーがいた。
苦しそうにしていた。
「トニー!」
レイラは叫び、トニーを起こした。
何かを訴えていたが分からない。がぁああああと唸るだけだ。つまり過呼吸だ。
震えが止まらない。
レイラは抱きしめた、背中をさすった。
涎を垂らし、異常なまでの呼吸の粗さ。見た事がある。その時は確か抱きしめて、背中をポンポンと叩けば次第に落ち着いた。父に苦行を求められていた兄が時折そうなっていたのだ。
レイラの頬に、肩に、髪にトニーの涎が垂れていくが、優しく抱きしめた。
そうしていると、レイラの叫びを聞きつけた皆が集まり、レイラが抱きしめているその様子を固唾を呑んで見守るしかなく、システィーナだけは宮廷にいる医者を呼びに行く。
そうしていると、トニーの様態が落ち着いて来るのであった。
正座をさせられた女神達はひたすら怒られている。
なぜバレた?スラナシスカ以外は不思議だった。誰に見られ、密告されたのか謎だった。
スラナシスカ以外は管理官の評定表に1年間口頭注意をされた旨の賞罰が記載される。
賭けた女神達は全員が地上に対して小さな干渉をしていた。
これは罠であり、教育であり、潜入捜査の一環だ。
スラナシスカも加わる事はタミースからの指示で、最近部下が小さな規則違反をしていて困っていると。だからスラナシスカに皆と同じように規則違反をして、全員の名前を伝えるようにと指示をしていた。少し茶目っ気は出たが、スラナシスカは潜入捜査の為に行っていた。
注意された者はまさか一緒に怒られている者の中に監察官がいるとは思わない。誘っても乗るようでは駄目なのだ。本来そういう誘いを受けた場合、上司であるタミースに報告をしなければならなかった。しかしターゲットにされた者は誰も報告をしなかったのだ。
目的は規律を守らせる為だ。
些細な事もバレると理解させる為に行っている。大きな違反や犯罪を侵さない為の抑止力だ。
ジュータスクの逮捕は時間の問題だ。基本的にトニー達がダンジョンに入った時点でだ。
タミースよりスラナシスカの本来の部署に、内偵調査依頼が入り、スラナシスカが派遣されてきた。
若い捜査官をと希望し、かなり苦労して若手の中で頭角を現している者を手配してもらった。捜査官のプロフィールからスラナシスカを指名していたのだ。
「スラナシスカさん、大事にならないうちに首謀者を発見するとは流石ね」
「後1週間後かと思います」
「ジュータスクも愚かな事をしたものですね」
「はい。タミース様が着任する前に既に仕込んでいたようですね」
「誰とは分かりませんでしたが、着任当初から不審な動きがありましたからね」
「では頼みましたよ。出来れば彼女による新たな被害者が出ない事を祈りましょう」
そうしてスラナシスカはタミースの元を離れた。
「さて、種まきは終わりね。全てを刈り取れるかしら?」
・・・・
トニーが戻ってこない・・・
10分位経過していた。皆で手分けしてトイレや風呂場等、顔を洗えそうな所に向かう。
見つけたのはレイラだった。
ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハゥ、ぐうぅ!
呻き声と洗い息遣い。
慌てて男性用のトイレに行くと、床に倒れて震え、喉を押さえているトニーがいた。
苦しそうにしていた。
「トニー!」
レイラは叫び、トニーを起こした。
何かを訴えていたが分からない。がぁああああと唸るだけだ。つまり過呼吸だ。
震えが止まらない。
レイラは抱きしめた、背中をさすった。
涎を垂らし、異常なまでの呼吸の粗さ。見た事がある。その時は確か抱きしめて、背中をポンポンと叩けば次第に落ち着いた。父に苦行を求められていた兄が時折そうなっていたのだ。
レイラの頬に、肩に、髪にトニーの涎が垂れていくが、優しく抱きしめた。
そうしていると、レイラの叫びを聞きつけた皆が集まり、レイラが抱きしめているその様子を固唾を呑んで見守るしかなく、システィーナだけは宮廷にいる医者を呼びに行く。
そうしていると、トニーの様態が落ち着いて来るのであった。
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