ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

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第1章

第53話 コアについて

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 謁見の間に入ると今度は雰囲気が違った。

「トニー君、君のお陰で助かったよ。聞けば我が息子の命の恩人だとか。そうそう、あやつは良くない噂が絶えなくてね。有能ではあったのだが、まさかあれ程の事をするとは思わなかった。改めて礼をさせて貰うよ。その辺りは晩餐の時にでも話すとして、先ずは君達の本来の要件だな。それとよく見破ったな。あの趣向は謀反人ダルカスカスが進言してきてな。何やら実力のある掃除人だから、実力が有れば見抜けましょうとな。もし見抜けなければ小者だとな。確かに一理あるから提案を採用したのだがな。話がズレたな」

「それでは陛下、第一王子にして我が友バジーナルに起こった話は聞き及んでいると思いますので割愛しますが、ダンジョンが人為的に作られ、私達はその為に一度命を落としました。その後トニーさんのパーティーがダンジョンを潰してくれましたが、既にゴブリンジェネラルが出ている段階にまで成長していたとの事です。その後彼には恋人と離ればなれになるような可愛相な事が有りましたが。トニーさん、コアを」

 俺はドスン!と椅子にしか見えないコアを床に置いた。ただ、トーマスさんが何故に余分な事を今言ったのかについて理解に苦しみ、スルーする事にした。


 ざわめきが起こる。

「すまぬ、トニー殿、何処から出されたのだ?」

「自分ストレージ持ちでして、ご覧のように」

 再びストレージに入れ、また出した。

「重さはこれがほぼ限界で、ストレージに入れておけば安全なので、こうやって持ってきました。道中一度、昨夜に一度コアを回収しようとした奴に襲われましたから、少なくともこの町に仕掛けた奴の一味はいる筈です」

「成程、因みに発見が遅れた場合どうなっていたのだね?」

「ギルドマスターの話だとキング種、ロード種の順で生成され、数日以内にスタンピードが発生し、多分町は全滅していた筈だと」

「ぐう!よくも我が配下の町を!ランベルいるか!?」

 すうっと影から一人の男が現れた。

「コアを見てみろ。そしてお前の評価を聞きたい」

「失礼」

「こいつ影移動、つまり最低でも闇魔法をレベル8迄は取得している猛者か」

 俺は呟いていたようだ。

「どうかしたのかい?」

「いや、あの人強いなって」

「だね」

「陛下、確かにこれを使えば、スキル持ちならば彼の言う通りになったでしょうな」

「背後関係は分かるか?」

「ダルカスカスの手の者の仕業ではないかと思いますが、私では何とも」

「そうか。分かった。これはこちらで預かろう。時にトニー殿は我が娘の擬態も見破ったそうだな。スキルか?」

「陛下!」

「すまんすまん。スキルの詮索は御法度だったな。忘れてくれ」

「陛下の思われているスキルは持ってはいますが、それではないのですよ。スキルを使えば分かるでしょう?あくまで洞察力ですよ」

「確かにトニー様のおっしゃるとおりで、スキルを使えば私の方で分かります。しかし、スキルを使わない方が恐ろしいですな」

「そんなに難しい事ではありませんよ?王女様、陛下の前に立ってもらっても良いですか?。ありがとうございます。まずウエストです。多分メイドさんはコルセットをしないですよね?次に手です。綺麗過ぎます。顔もです」

「あらお上手ね」

「違います。確かに王女様は美人さんですが、あくまで綺麗だと言ったのは肌の事です。シミやそばかすがありません。恐らく高価な化粧品を使っているのではないかと思いましたね」

「私の侍女にも使わせているわよ」 

「決めてはお茶ですね。飲み方が優雅過ぎます」

「因みにお茶を誘われたのは?」

「決め手に欠けていたので、飲み方を見たり、多分一度はメイドだからと断るかなと。しかし断らなかった」

「これはしたり。メイドになりきれなかったようですわね」

「これはシスティーヌが一本取られたようだな。ところで2度の襲撃とは?」

「はっ。一度目は賊が首謀者に魔物を与えられたようで、それを使い襲撃してきましたが、やはりトニーさんが撃退しました。それと、2度目はですね、その油断です。昨晩皆と酒場で飲んでいたのですが、酒場に潜入していた女性に引っ掛かり、トニーさんはお持ち帰りされて囚われましたが、返り討ちにしたようです」

 システィーヌがぷいっとそっぽを向いた。

 なぜ?

「もう、男の人ってこれだから」

「おやおや!我が娘がトニー君に怒ったようだな。トニー君は女に弱いのかな?」

「陛下に申し上げます。チョロかったです」

 既に兵士達はおらず、一部のものしかいない。途中国王がシッシッと手振り身振りで下がらせていたのだ。

「よし、まだ夕食まで時間があるでな、システィーヌ、其方トニー殿に町を案内してあげなさい。まあ、その格好なら大丈夫だろう。トニー殿は娘を守ってやってくれぬか?」

 ほええ…?となったが、トーマスさんに脇腹を小突かれて、はいと返事をしてしまったのであった。
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