ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

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第1章

第43話 ジュータスクの暗躍と領主との会談

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 女神ジュータスクはトニーがレイラに殴られた様を見て小躍りをしていた。

 バーサーカーを発生させたのに、あっさり倒した事に憤っていたが、レイラへの呪いは半分成功した。本来はうっふんあっはんとなり、トニーは女に溺れて堕落して行く筈だったのだが、何故かこの女は生娘のままだ。異世界人に対し人目を憚らずに迫るような呪いだったのにその効果は何故か中途半端だった。

 剣神と言われるようになり得る者が死ぬようにし、実際死んだがトニーのお陰で生き返ってしまった。だが幸いだったのは心が折れ、掃除人として挫折した。

 スラナシスカが集めた者の中にもうひとり実力者になり得る者がおり、その者をトニーの掛け替えのない仲間にする事に対して妨害をしたのだ。つまりレイラの事だ。更に万が一よりを戻すと仲間として厄介な存在になるからとトニーを引き離す工作をした。更にこの女を落としてやると工作をし始めたのだ。

 他の男に寝取らせて、その事実に打ち拉がれ、自暴自棄にさせてやる!と。

 但し、今までも直接動いておらず、手駒を使ってやらせていた。この世界がどうなっても知らないわとスラナシスカが失敗したら次は自分の出番だと。蹴落としてやる!と意気込んでいた。
 トニー達はこの女神ジュータスクの嫉妬、出世欲により迷惑を被っていた。

 スラナシスカはジュータスクを疑ってはいたが、中々尻尾を出さない。
 だが、何をしてくるのか予測は付くので次なる手を打っていた・・・

 トニーはギルドマスターと共に馬車にて領主の所に向かっていたが、泣いていた。
 レイラから公然と拒絶されたのだ。
 メンタルがフルボッコだった。

「心配する事は無いにゃ。ボクとアイハとで仲を取り持つにゃ」 

 俺は心ここにあらずで、お願いしますとしか言えなかった。

 トニーは本気でレイラの事が好きになっていたのだと改めて思う。だが、それはそれとして、アイハとの事をどうするかを考えないとだった。受付嬢をしていただけあって綺麗な人だ。
 強気なところは困ったもんだが。
 ただ、俺と付き合う事を彼女は賭けたが、付き合う事は本意では無いのだろうなと思う。
 意図せずに命が掛かってしまったから仕方がなくだよな。性格的に今後冒険者として、いや、掃除人としてやっていくにはおどおどし過ぎている。受付嬢に戻してあげた方が良いのかな?トニーはそのように考えていた。女心を分かっていないトニーだ。

 アイハはというとトニーについての今の想いはこのまま彼女の座に収まりたいだ。自分に素晴らしい加護をくれて、重大な秘密を打ち明けられ、更に少人数で秘密を共有する等、何故か自分の事を信用してくれている。

 勢いで付き合う事になったし、少しスケベだけど異常状態のレイラに手を出していない。手を出したとしても誰からも咎められないのに、紳士だ。今まで言い寄って来るくだらない男共とは違うんだ!異世界人というのは関係ない。異世界人だからといって性格的にまともな者か否かは別問題だ。だが、レイラのことを好きなのは目に見えて分かる。ある意味レイラが正気に戻った時に、レイラがしたトニーへの仕打ちに怒りを覚えたが、ライバルが脱落したと嬉しくもあった。そんなことを一瞬でも感じた自分が嫌になった。

 私って嫌な女ね。と自己嫌悪をしており、今トニーに優しくし、好きだと想いをぶつければ多分トニーの事を自分の男に出来るとは思うが、それはレイラに対してフェアではない。現状まだ彼女ですらないが、多分トニーの中ではあの賭けで付き合う事になった話はもう無効なのだと思う。
 だが、改めてお付き合いをして欲しいと告白するのは今ではない。
 今はレイラにトニーとの間に何があったのかを話し、少なくとも友達にして欲しい。今回の冒険の間、女同士で色々話しをいたけれども、気さくで話しやすかった。命を預けた仲間として信頼し始めたところで、友達になりたかったのにと、複雑だなと思うのだ。

 トニー達は領主の屋敷に着くとそのまま執務室に通され机の前に立って報告だ。
 12畳位の部屋に机があり、壁側は書棚があり、多くの本が置かれている。

「よく来たなペンリスよ。ちと待ってくれ。陛下への手紙を描いているのでな」

 手紙を封筒に入れ、蝋を垂らし机の鍵を開けて出した印を押していた。

「よし、済まぬな。そこに座ってくれ。彼がトニー君か?」

「君に依頼が有る。君が回収してきたコアとこの手紙を持って王都に参り、陛下に直接お渡しし、コアを引き渡して欲しいのだ。陛下が顛末を質問された場合、お答えするのに君が行く必要が有るのだよ。手紙はニ通だ。1つは君の事を書いて、直接陛下にしか話す事が出来ないと。人伝では駄目な重大事項だと。己はそれへの対処の為、領地を離れられない為、息子を代理として対処した当人たるトニー君の付き添いをする旨と、もう一通は何が起こったのかを書いてある」

「急な話にゃん?」

「済まんな。護衛や旅の手配や諸々はこちらでしておく。明日の朝ギルドに迎えをよごすよ。流石にここに来るのは来にくいだろうからな。ギルドには指名依頼を出しておく。もしも同行者がいたら、迎に来た者に伝えてくれたまえ。何か質問は有るかね?」

「2つ有ります。手紙はいつだれから受け取れば?」

「済まんな。そうだな。我が息子が持参し、陛下へ謁見となる時に付き添うから息子が手紙を渡す。もしも息子の同席が認められない時は、直前に息子が君に渡す事になる」

「私は見ての通りの下々の者になり、陛下に謁見するのに意図せずに無礼な真似や無作法を晒す恐れが有るのと、それに適した服の持ち合わせがありません」

「心配しなくても良い。手紙に一掃除人だと、多少の無礼はものを知らぬ市井の者だと伝えておるし、あの人はまあ面と向かって侮辱しなければ大丈夫な者じゃ。服はその格好で大丈夫じゃ。心配要らぬ」

「大丈夫にゃ。トニー君は掃除人としては珍しく礼儀正しい人にゃん!」

「ところで元気が無いようだが、大丈夫か?」

「先程オークの集落を討伐してきたばかりにゃ。魔法の使い過ぎで疲労があるだけにゃ。明日になれば回復するにゃ」
 
「そうか。疲れているところ悪かったな。明日からの旅に備え、今日はゆっくりと体を休めるのだぞ」

 そうして領主の屋敷を引き上げるのであった。
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