上 下
39 / 117
第1章

第39話 バーサーカー

しおりを挟む
 俺達はもう全てを駆逐したのだと、外に出ていて戻ってくる奴らがいる可能性があるのを誰一人として疑う事もなく集落に降りていく。平和ボケのゲーム感覚による判断ミスだ。

 高さ10m位有ったが、光魔法を使った足場構築について教えたので、皆それで下っていく。

「おーい!失敗したら真下に落ちて怪我をするから慣れないうちは慎重にな!」

俺は皆の様子をのほほんと見ていた。集落を潰した安堵からまったりしていたのだ。

 ギルマスに至っては何故か行けるよう!と唸りながらその場で魔法適性と全属性を習得してから降りていった。本来レベル1までしか習得出来ないジョブだそうだが、やはりレベル2迄習得出来たようだ。つまり近接戦闘系のようだ。ギルマスは興奮していてやたらと賑やかだった。

 ステータスを見ると言うのは、その人の年齢を見ると言う事になる。だからギルマスにはステータス開示をブロックするように伝えた。俺、レイラ、アイハはこの3人同士では閲覧に制限をしないようにしている。

 たったったっと駆けていく。
 ゲームでは近接戦闘組の戦闘では当たり前に使われる基本中の基本だった。

 ただ、アイハが失敗し、高さ3mの所から落ちて呻いていたが、幸い落ちた場所は柔らかい腐葉土の上だった。

「イタタタ!」

 目の前のトニーにご開帳である。それが分かり真っ赤になるアイハだ。

 ひぃーと唸りながらドロップを回収しにいった。
 何故スカート?と今更なのだが、彼女のパンツが丸見えだったのだが、討伐依頼に何故その格好と思った。だがそれは急遽仲間になり受け付け業務から外れたというか、退職したので私服に着替えただけだ。マントを羽織っていたので気が付かなかった俺も大概だが。レイラが胸当てだけは買ってきたが、全身のコーディネート迄は気が回らなかった。

 回収が終わりさあ帰ろうとしたが、頭に謎メッセージが入る。

「気を…来る…うまく…警戒す…逃げ…」

 ノイズ混じりでよく分からなかったが、警戒との言葉に嫌な予感がした。気配察知を使う。パッシブより任意で使った時の方がより広範囲が検索出来る。だが、オークと上位種が来るのが分かった。

「オーク共が来る!多分上位種もだ!」

 皆警戒を始めた。

 すると先ずは2匹のオークが集落のある窪地の入り口に現れると、グモーと雄叫びを上げた。

 アイハが矢を放った。俺は咄嗟にスラッシュをもう一匹に放つ。

 2匹共に霧散して行く。
 そして3匹のオークと一匹のオークウォーリアーが現れ、仲間の死を嘆くかのようにブモーと叫んだ。すると一匹が信じられない行動に出た。

 ウォーリアーが魔石を拾うと口に投げ込んだのだ。

「なっ!?」

 最悪だ。ゲームだと強制進化という理不尽なボス出現イベントだ。
 現れたのは本来存在しないオークバーサーカーだ。たが、その姿を見た瞬間俺はホッとし、更にニヤリとした。

 130cm位だった筈が俺と同じ位の背丈になり、かなり分厚い胸板に化けていく。
 確かゴブリンジェネラル以上オークジェネラル以下。まあ丁度間だ。

「バーサーカーに進化しやがった。ゴブリンジェネラル以上オークジェネラル以下だぞ!行くぞ!」

「そ、そんな!嘘!」

 アイハはその場にへたり込んでしまい、恐怖で体が動かない。
 そして最大戦力と思われるのはギルマスだが、剣を持ち震えている。

 駄目だよう!と唸る。だがレイラはやる気満々だ。

「ファイヤーボール」

 俺は最大級を2つ作り入り口に2球共投げた。
 ドゴーンドゴーンと炸裂し周辺が燃え盛る。

「殺った?」

 フラグだ・・・

「レイラ、まだだ。オークは倒したがバーサーカーには大して効いていない」

 バシッ!っと音がしたかと思うと奴は火傷をしているが、お構いなしに地面を蹴ってレイラに向かって突っ込んで行く。一気にレイラの懐に入ったかと思うと、持っていたロングソードで斬り掛かった。

 レイラは辛うじて2本の剣で受け止めるも、半ば体当りされた形になり吹き飛ばされ、木に背中を打ち付けて唸った。

「ぐはっ!」

 ゲームだと運営の介在があると言われており、上位ランカーの戦力評価をしているのではと言われていた。おかしいとは思う。

 先程の警告といい何かがおかしい。

 レイラは中々起き上がれないようだが、唸っている事から命に別条はないようだ。

 今の俺では真っ向からやりあえばひとたまりもない。しかし、レイラに構う余裕はなかった。

 但し、バーサーカーに対しては攻略法がある。
 運営が?露骨にやっていたので、攻略サイトに出ていたのだ。 

 だが、中々隙を見せない。バシッ!地面を蹴った。俺はバックステップで後方に飛びつつ躱しつつ、己の少し前にエアーボールを出し、バーサーカーの接近速度を落とす。

 そしてアイスランスを己の前に展開する。すると向こうの接近速度もあり、見事に刺さった。バーサーカーがエアーボールをを突き抜けてきたので、背面にあるエアーボウルに押し戻される形でランスが刺さる。

 攻略サイトには馬鹿の一つ覚えで突進してくるから、魔法系の者はエアーボウルで勢いを殺しランスで貫くとあっさり行けると有った。 
 その通りになった。
 ただ、体当りされ、俺はその勢いで吹き飛ばされ、地面を転げたのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow
ファンタジー
 1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。  各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。  ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。  その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。  彼らは通称カーヴァント。  カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。  カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。  しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。  また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。  探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。  つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。  数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。  月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。  彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。  そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。  勿論二世だ。  斗枡が持っている最大の能力はカード合成。  それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。  彼はその程度の認識だった。  実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。  単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。  つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。  また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。  斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?  女子が自然と彼の取り巻きに!  彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる
ファンタジー
 結界で隔離されたど田舎に住んでいる『ムツヤ』。彼は裏庭の塔が裏ダンジョンだと知らずに子供の頃から遊び場にしていた。  裏ダンジョンで鍛えた力とチート級のアイテムと、アホのムツヤは夢を見て外の世界へと飛び立つが、早速オークに捕らえれてしまう。  そこで知る憧れの世界の厳しく、残酷な現実とは……?  挿絵結構あります

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

処理中です...