上 下
32 / 117
第1章

第32話 アイハ

しおりを挟む
 その受付嬢は明らかに狼狽えていた。

「あのう、先に依頼受託の許可だけ出してくれないかな?」

「あっ、はい」

 返事をすると、急いで受託許可の手続きをしていった。

「あ、あのう、私どうしたら?」

「ちょっと場所を変えましょうか?」

 で、今はギルドマスターの部屋にいて、勝手に応接のソファーに陣取っている。

「あのねぇ、トニー君、ここがどこだか分かっているのかなぁ!?」

「ちょっとこれから大事な話をするんですから、外野は黙ってもらえませんか?」

「はい…」

 ダンジョンの件ですっかりトニーに頭の上がらなくなっているギルドマスターである。

「えっと、まず、自己紹介からしてくれる?俺の名前はもう知っているよね?」

「は、はい。アイハです…」

「えっと、あの約束というか、ジャッジメントの約束事項って破るとどうなる?」

「多分お互い死にます」

「はぁ!何してくれるんだよ!最低どれ位付き合うのとかないのか?」

 ・・・

「俺も迂闊だったけど、期限を決めていないって…どちらかが死んだらもう一方は約束を果たせなくなるから…つまり死ぬのとちゃうんかよ??」

 ・・・

「まじか!。受付嬢を辞めて、貴方の女として掃除人をするだったよな」

「はい。一字一句間違いないわ、いえ、です」

「ちょっと、アイハ君、話の感じだと、まさかその条件でトニー君相手にスキルを使って賭けて負けたんだ?」

「あんたも知っているのか?」

「勿論よ。となると、復帰の道は残してあげるけど、受付嬢は一旦退職ね。これで一つクリアだね。もう一つが解釈が厳しいけど、取り敢えずアイハ君の最後の仕事として、トニー君の六連星に加入する手続きが必要ね。トニー君にレイラ君のカードを貸して」

 2人は黙ってカードを顕現して、アイハに渡すとアイハは慌てて駆けていった。

「まったくもう。100戦目で負けたようね」

「あいつこんなんをそんなにやっていたの?」

「止めておきなよ!と警告をしていたんだけどね。どうするの?」

「レイラ、少し外してくれる?アイハと一緒に彼女の装備を買いに行ってくれないかな?これから一緒に連れて行かなきゃかならないから。お金はこれを使って。弓矢を必ず装備させて欲しい」

「分かったわ」

 レイラは大人しく出ていった。

「レイラを見ていてどう思いますか?」

「彼女なんか変わった?いや、別人のようになっているよね?」

「彼女はスキルレベル9の呪術にて精神を侵食されています。俺がその対象の能力者だったので発動しました。多分死体を掘り起こしに行った時に俺の正体に気が付き、発動してしまったようです」

「それって大丈夫なの?」

「いや、駄目です。どうも俺の子を孕むように仕向けられていて、やたらと挑発や誘惑をしてきます」

 ジト目をされた。

「勿論手を出していないよ。彼女は剣姫を目指していて、初夜は剣姫になった時にと言ってありますが、あくまで時間稼ぎです。早々に解呪しないとです」

「そんなの解呪出来る人が居るって聞いた事が無いよ」

「それは大丈夫です。俺がレベル10の闇を取りますから。そうするとアイハの契約も解呪出来るんだ。ただ、彼女ではなく、女と言うのが気になります。何をしなきゃならないと思いますか?俺も死にたくないので、最低限しなきゃならん事は彼女の尊厳を踏みにじる事になろうともせざるを得ないですし」

「どれ位で出来るのかい?」

「レベルが6上がったらかな。それでレベル10の闇を取れるから」

「君の秘密は誰が知ってるのかニャ?」

「レイラだけだ。でもアイハに話をしなきゃならない」

「ボクにも話すにゃ?勿論秘密厳守だよ?」

 俺は相談に乗れる人を求め、ギルドマスターへ全てを話す事に決めたのであった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow
ファンタジー
 1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。  各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。  ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。  その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。  彼らは通称カーヴァント。  カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。  カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。  しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。  また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。  探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。  つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。  数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。  月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。  彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。  そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。  勿論二世だ。  斗枡が持っている最大の能力はカード合成。  それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。  彼はその程度の認識だった。  実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。  単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。  つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。  また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。  斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?  女子が自然と彼の取り巻きに!  彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる
ファンタジー
 結界で隔離されたど田舎に住んでいる『ムツヤ』。彼は裏庭の塔が裏ダンジョンだと知らずに子供の頃から遊び場にしていた。  裏ダンジョンで鍛えた力とチート級のアイテムと、アホのムツヤは夢を見て外の世界へと飛び立つが、早速オークに捕らえれてしまう。  そこで知る憧れの世界の厳しく、残酷な現実とは……?  挿絵結構あります

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

処理中です...