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第1章

第27話 説教

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 風呂を上がるともう夕食の時間だった。

 比較的高い宿の為、客層は良い。
 香辛料が少ないのか、全体的に薄味だ。しかしレイラは美味しいと言っているのただが、一番は温かい食事だからだと。

 やはり上品に食べている。

「なあ、俺を見てみな?庶民なんて俺よりもガチャガチャさせて食うぞ。そうだな。ナイフとフォークをわざと逆に持ってみな。そうそう、そんな感じだよ・・・」

 食事の後、部屋にてレイラをベッドに押し倒しじゃなく、座らせ、トニーは椅子をくるっと反対にして、背もたれを体の前に持ってきて座った。

「なあ、色々確認したいんだが、この国は風呂とか混浴か?真面目に聞いているから茶化すなよ」

「いや、その、別よ」

「じゃあ、さっきのあれは何だ?胸がもろ見えたぞ」

「その、済まない。つい油断したの」

「俺も男だから気を付けろよ。それとさっきの風呂上がりは何だよ!」

「裸じゃなく、バスタオルを巻いていたわよ」 

「あのなぁ、お前、自分の見た目をちゃんと分かっているのか?控えめに言って美少女だぞ」

「綺麗だと言ってくれるの?」

「ああ。美人のああ言う格好は、理性が飛び兼ねないんだ。こんなふうにな」

 トニーは立ち上がるとレイラの肩を掴み、押し倒した。

 するとレイラは目を閉じた。

「何で目を閉じるんだよ!抵抗する場面だぞ!というか、襲わないって誓ったから襲われないとでも思っていないか?俺も男だぞ」

「その時はその時だ。トニーは責任を取るだろう?」

「まあ、そうなったら責任ってそうじゃないだろ。自分をもっと大事にしろ!ただそれだけだ」  

「うん。ありがとう。」

 ・・・・・・

「分かってくれたなら、それで良いんだ。話が変わるが、困った事が有るんだ。レベルが10になったが、転職候補が出ない。何か条件があり、それをクリアしていないっぽいんだ。だから明日から暫くは魔物を倒してレベルを上げたい。ただ、その前に神殿で確認だな。それとギルマスに言っていたけど、レイラは元々何処かを目指していたのか?」

「この国の王都に。そこに剣聖がいるらしいの。そこに行って手解きを受けたいの」

「付き合うよ。ただ、一週間位は魔物を倒してもう少しレベルを上げてからにしよう」

「良いのか?」

「行く当てもないし、どうせなら、あちこちを旅して、見聞を広げたいしな。旅をしながら魔物を倒し、美味しいものを食べる。こんな感じで行かないか?」

「それも良いな。その前にお金ね」

「王都迄はどれくらい掛かるんだ?」

「寄り道をしなければおおよそ馬車で10日程かと思う」

「急ぐのか?」

「いいえ。急がないわよ」

「途中途中、依頼をこなして路銀を稼がないとな」

「頼りにしているわ」

「俺はこの世界に来てからまだ僅かだ。だから旅の途中で知らない事が多いから迷惑を掛けるかもな」

「お互い様よ」

 トニーはあくびをした。

「眠いな。そろそろ休もうか」

「はい。ベッドは私こちらを使っていましたから、トニーはこちらを」

「う、うん。おやすみなさい」

 そうして横になると、レイラが明かりを消した。

 トニーは悶々としていた。無防備な美少女と同じ部屋だ。悪魔が囁く。

 やっちゃえ!あれは待っているぞ!少し突けばやれるぞ!と。

 行くか?でも拒否されたらどうしよう?
 あかん。知り合って直ぐにそんな気持ちにはなれんだろう…

 しかしその時が来た。レイラしかいないが、布団に入って来たのだ。 

 トニーの心臓は破裂しそうな位ドキドキしている。

 レイラはピタっと背中に抱きついた。

「もう寝ちゃったのか。この意気地なし。でもありがとう。朝、私が同じ布団にいたら驚くかな?。男の人に抱きつくのは初めてだけど、私は誰かに抱きつかないと寂しいの。背中を借りるわね」

 レイラはわざとシクシクと嘘泣きをした。賭けである。朝になっても純潔が散らされていなければ、この人について行こう!とだ。トニーがまだ起きているのは勿論分かる。心臓の鼓動が激しいからだ。

 それでも眠気には勝てず、やがて眠りに落ちるのであった。

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