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第1章

第16話 秘密とレイラのステータスと従者

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 ギルドの受付でお金を受け取り、俺は2本で金貨1枚もするマナポーションを8本買った。大きさは概ねファイト一発のああいう栄養ドリンク位の大きさの小瓶にコルク?で蓋をされている感じのだ。受け取ると背嚢に仕舞う振りをしてストレージに入れていく。

 そしてギルドを後にする。

 レイラは逃すまいと俺の手首をがっちりと掴み、ずかずかと進むので俺は半ば引っ張られていく形で進んでいく。
 そして食事をするのに今はレイラの泊まっている宿の食堂に来ているが、結構高そうだ。席に座ると彼女は急に改まった。

「改めて私はマーベリック=レイラよ」

「えっと、家名はどっち?」

「えっ?そこから?マーベリック家の三女のレイラよ」 

「じゃあデュノッゾ=トニーです」

「逆じゃないの?」

「ははは。取り敢えずトニーと呼んでよ。名が先で家名が後だと思ったんだ」

「分ったわ。私はレイラで良いわよ。宜しくね」

「なんで俺を選んだ?不自然な点が有るんだ」

「信じられないかもだけど、神託があったの。きのうあの時間にギルドに行きなさいと。そうすれば…ごめんなさい。この先はまだ言えないの。つまり神託に従ったらトニーと知り合えたの」

 はっとなった。そういえばシーズン2から従者を配備すると、俺の場合優勝者特典で従者には剣姫かそれになれる実力がある者を宛てがわれる。多分それがあるから、彼女に白羽の矢が立ったのだろうかと思う。こちらの話をするかどうかだが、駄目だと思う。話をしても今の段階だと異世界からの迷い人としか言えないなと。

 どの道今の段階で自分の剣は絶望的だ。少なくとも今は近接は魔法頼みになる。だから誰か信用の置ける者とパーティーを組まないとあっという間に死に至る。

 だから少し秘密を打ち明けて、彼女の信頼を勝ち取ろうと思う。だが、全てを打ち明けるのはある程度行動を共にしてからかな。

「レイラは秘密を守れるかい?」

 一瞬眉がピクッとなった。

「自分で判断しなさいよ。君は私が守ると言ったら信じるの?」

「信じるさ。ただ、ちゃんと口に出して欲しい」 

「分かったわ。君から打ち明けられる秘密は守るわ。君はどうなの?」

「勿論守ると誓うよ」

 俺はレイラの目を真っ直ぐに見た。彼女は目を逸らさず、後ろめたさや嘘の兆候はない。

「その澄んだ目を俺は信じるよ。だけど、流石に全てを話すのは今は無理だよ。ただ、レイラが何をしたいのかが分かれば、俺の知識で協力が出来るかも」

「そうね。私は父を見返す為に掃除人になったの。掃除人として名を馳せれば父の決めた政略結婚から逃れられるの。だから予知者に私の進む道を聞いたのよ。結婚は好いた人としたいじゃない。変かしら?」
 
 嘘である。本当の所も有るが、話を盛っているのだ。先程神託と言ったが今度は予知者になった。ただ、悪意は感じられないから、本当の事を今は伏せるのに便宜上そうしているのだろうと、俺はお互い様にしようとした。

「なるほど。貴族の出か。父親を見返したいのか。まあ、そういう事にしとくよ。所でステータスのボーナスはどうやって割り振る?」

「何よそれ?」

「因みにステータスは何が表示されるんだ?」

「レベルとスキル、職業だけど、何故そのような当たり前の事を聞くのよ?」

「スキルポイントが有って、それで俺は魔法を取得したんだが、俺にしか出来ないのか?」

「聞いた事はないわよ?何よそれ?チートじゃないの?」

「どうやらこれらが俺の秘密になるね。ちょっと手を出して。うん。少し触るよ」

 彼女の小さい手に触れると頭に何かが入ってくる。

 ステータスを見ようとすると見られなかった。代わりにこう出た。

「従者に任命可能です。任命しますか?はい  いいえ」

 俺ははいを実行する。するとレイラが驚いた声を出した。

「一体何をしたのよ?従者に任命されました。受託しますか?と出たわよ?何よこれ?」

「多分レイラが最強の剣士になる第一歩だと思う。多分俺の知識でチート能力者に出来ると思う」

 彼女は迷いが無かった。

「従者を取得しました」

 と表示が出たのだ。

 更に驚きの声が出た。

「何よこのステータスは?今迄と段違いだわ!す、凄いわ」

 俺自身は彼女のステータスを見れるが、流石にステータスを操作する事は無理だった。指示をするが、実行するのは彼女だ。

 名前 マーベリック・レイラ
 年齢 15
 身長 162cm
 職業 女剣士
 レベル 3
 HP     54/54
 MP    15/15
 筋力  18【2】
 器用さ 15
 精神力 12
 幸運  10
 ステータスポイント
 残り 14
 特殊補正
 決断 +1

 スキルポイント   
 残り 14
 スキル
 
 剣術レベル3
 魔法適正
 身体能力向上レベル1
 
 どうやら初期のボーナスポイントが10だったようだ。多いのか少ないのかは分からない。
 
 ステータスの上がり方が俺とは違うな。ふむふむ。筋力値に職業補正のボーナスがあるな。(2)か。

「俺が指示するまで何もするなよ。レイラは目先の強さと、目先の強さを捨て、最終的な強さ、どちらを選ぶ」

「その感じだとこの内容を見ても驚かないのね。私の予想だとトニーは最終的な方を選んだのでしょ?違って?」

「そうだ。スキルとステータスポイントがレベルが上がると付与されるんだ。これらは本来どうやって使うんだ?レイラに未割り振りのポイントが有るだろう。少なくとも俺はそのポイントで色々なスキルを、特に魔法を選んで取得したんだ」

「おそらくとしか言えないけど、転職をするのは神殿にて行うの。その時に大幅に力が上がり、新たなスキルを得られると聞くわ。でも自分でスキルを選ぶ事が出来るだなんて聞いた事が無いわよ」

「まだ実行しないで欲しいが、例えばステータスについて、幸運に割り振りできそうか?」

「あっ!出来そうよ。取り敢えず止めた方が良いのよね?」

「俺を信じるなら俺と同じで大器晩成型にする事が出来るけど、どうする?多分剣姫になる唯一の道だ。それと許可を出したから、俺のステータスを見てみな。俺がこの知識を何故持っているかは今は聞かないで欲しい。知識が有る事を告知した事で我慢できないかな?」

「何よこれ?凄いわね。勿論今はそれで良いけど、君、私と同い歳なの?」

「正確には俺の方が2つ上だ。それだけ覚えておいて」

「何故同い年なのに2つ上なのよ?どうせ聞いても今は言わないのよね?ハイハイ、聞きません。でも話したくなったら話しても良いのよ。君から全てを打ち明けられる位に君の信頼を得るように頑張らないとね。所で何でこんなに幸運が高いの?」

 そうして今の段階ではレイラは俺の事を信じざるを得ない状況にしたのであった。
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