エラーから始まる異世界生活

KeyBow

文字の大きさ
上 下
526 / 527
第2章

帰還の儀式

しおりを挟む
 俺達はアトランジェト共に元の世界に戻る事を決め、置いていける物を可能な限り出していく事にした。

 決めてから2週間後の出発とし、アトランジェも技の練習をしていた。
 そこからは別れの挨拶や、研究していた事の引き継ぎ等忙しかった。
 俺達の持っている知識を可能な限り伝えていった。

 この世界の子供達は中々の吸収力があり、教え甲斐があった。
 日々伝えたい事は山程あるが、何分時間が足りない。
 それでも貪欲に知識を求められ、俺も睡眠時間を削って教えていた。

 農場や山林の整備も順調で、侵略の傷跡は深いものの、何とか自給自足が出来るようになっていた。
 ダンジョンの恩恵もあり、餓死者を出さずに済んでいた。

 そうやって過ごしていたが、別れの日までの最後の数日は、特に時間が経つのが早かった。
 勿論そう感じるだけで、1秒は1秒、1時間の長さが急に変わったわけでもない。

 そして別れの最後の日は、妻達は各々子供達と布団を共にして最後の別れの夜を過ごした。

 俺はガキどもの相手で大変だったが、それはそれで楽しかった。
 そしてこの世界を去る当日、厳かな儀式が行われ、最後の贈り物をお互いにしあっていた。

 俺は数振りの剣、もとい、槍だ。
 勿論かなりの強化を施してある。
 勿論、既にかなりの数の槍に強化を施してあるが、最後のは別格だ。

 また、2本持っているアンタレスをこの世界にと、俺とこの世界の絆として残したいとして渡した。
 俺の持っている武器の中で最強の武器だ。
 何故か合計3本を入手していて、1本はヒナタの生まれた世界に残した。

 俺もこの世界にいた最高の刀匠というか、槍作りの匠がかつて鍛えた最高峰の槍を貰った。

 その場で最強の戦士の1人と模範試合をする事になった。

 勿論スキルは使わない。
 それでも引き分けに持ち込めたので、上々だろうと思う。

 お互いに相手を称えハグをして別れた。
 他の者も心の籠もった贈り物を贈り贈られており、最後は小さな子供達が泣いて別れを惜しんでいた。

 しかし、大人が一喝してから儀式を再開し、いよいよアトランジェが種族特有の技を使う時が来た。
 
 彼女も本来の民族衣装を身に纏って槍の舞いを披露し、その後技の発動に入った。
 そして帰る者は全てアトランジェに触れていなければならないので、アトランジェは皆が自分に触れている事を確認し技の最終段階に入る。

 すると向こうの世界では見ないような種類の魔法陣が現れ、俺達を囲んでいるが、段々小さくなりやがて俺達の体に触れる直前で収縮が止まる。

「それではさようなら!」

 アトランジェが一礼してから必要ないが、その瞬間だと分かるように一言発すると、俺達は光に包まれた。

 数分間だろうか?得体の知れぬ奇妙な空間を突き進んでいた。
 アトランジェも良く分からないらしい。 

 しかしそれも突如として終わった。
 何かの膜を突き破ったかのような軽い衝撃があり、次の瞬間俺達は上空におり、落下を始めた。俺は念話で捕まえに行くからと伝え、手足を広げてバランスを取り滞空時間をなるべく長くするように伝えた。
 皆から返事が来たが、刻印を刻んでいないアトランジェはパニックを起こしていた。

 俺は皆に先ずはアトランジェからと伝えてから、急ぎアトランジェを捕まえに向かった。

 その後は近い者順にし、皆には可能な限りお互いの距離を詰め、手を繋ぐ事が可能なら繋ぐようにとお願いし、程なくして全員を掴んだ。 
 念の為、紐で括り付ける事にし、更に俺にしがみつかせる事にした。

 そうしてなんとか安全に地上に降り、紐を解いていく。

 さてここは何処?と思うも、取り敢えず屋敷の広間にゲートを出すと、あっさりと繋がった。
 つまりアトランジェの技が成功した事を意味する。
 皆アトランジェを褒め、ゲートに向かう。

 そしてアトランジェが先頭、最後が俺の順で順次ゲートに入って行くのであった、
しおりを挟む
感想 140

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜

KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。 主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。 ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。 果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...