エラーから始まる異世界生活

第1章

2つ目へ

　実を言うと二つ目のダンジョンが見つからない事を祈っていた。

　元々時折突如ボッチのダンジョンがぽつりと発生する。

　但しダンジョンが一つのみだと危険は少ないのだが、同じ規模のダンジョンが立て続けに見つかったと、なるといくら楽観的な俺でも複数のダンジョンが発生するとなると危険だと判断するしかなかった。

　今はまだ他にも発生している

　と思われるダンジョンを探すには、情報がなさ過ぎる為、今回は発見報告が入るのを待つ事になる。

　既に国を通し、各町と村の長と、全てのギルドに対してこの半年以内にもしもダンジョンが発見されたならば、最優先の緊急報告を入れるように通達をしており、今回はその指示に従い報告が来ていた。

　発見の報を聞いた当日は流石にに攻略には動かなかったが、妻達にダンジョンに行く準備をお願いし、俺はセレナを伴ってダンジョンの入り口を見に行く事にした。

　発見者の所へ行き、発見者を伴ってその場所を見に行っていた。発見したのは地元の狩人だった。たまたま狩りをするのに仲間と山に入っている時にダンジョンの入り口を見つけたと言っていた。その狩人はダンジョンの件で調査及び攻略をする上級冒険者が来るとしか聞いてはおらず、それがどういう者が来るのかはそれ以上は知らなかったようだ。

　セレナの転移を使って村に来ているとはいえ、ダンジョンの位置を確認した後に最終的に村に戻るのにゲートを使う事になるので、なんとなく只者ではないというのは分かるだろう。

　40代に差し掛かるかと言う筋骨隆々の狩人、つまりハンターだった。

　村の近くにある森の中にその入り口があると言うのだ。

　変哲もないごく普通の森だったが、森の奥深くに分け入り、僅か5分程歩いたところでその入り口はあった。

　普段から巡回を良くする場所で、獣道のある所のすぐ近くであり、ある日突然その入り口が発生したと言う。10日以内に発生しているというのだ。一週間から2週間に一度は通るところであり、もしもそこに何ヶ月も前から入り口があったとしたならば見逃す筈がないと言っていた。本当に出来たてのほやほやなのだろう。

　その後村船に戻ったが、げーを見て唖然としていたのには少し笑えたが、その狩人と村長と話しをし、一週間森に入るなと言っておいた。何があるかわからないからだ。

　不安そうにしているので、よくよく聞くと、貴重な収入源となる獣を狩れないと多くのものが収入源になり、厳しい生活を強いられるのでそれが不安だという。

　俺は何も言わず、この村の者達の稼ぎに相当する分の倍以上のお金を与え、狩ができなくなる分の補填だと言ってお金を出した。

　大金をさも大した事がないかのような態度で渡したものだから、かなり驚いていた。尊村だけは俺の正体を偶々知っていた。

　その昔俺を見た事があると言っており、昔と姿の変わらぬ俺の容姿から俺の正体が分かっていた。もはや变化の指輪で偽装する必要がないと思っていたが、まさかこんな僻地の村で俺を見知った者がいるとは思わなかった。

　彼は行商人の一人だったが、父親の跡を継ぐ為に、商人を止め、村長をしていると言っていた。どうやらかつて旅の途中で魔物に襲われていた所を俺達に助けられたと行っていた。

　さすがに50年ほど前の姿は俺には分からない。まだ駆け出しの商人だったと言ってはいたが、今では70を超えているからだ。この世界の平均寿命からするとかなり長生きしている者になる。そうやって、明日からダンジョンの攻略に入ると伝え、セレナと共に村を引き上げたのであった。