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第5章
ドロシー
しおりを挟むデートとなっているが二人の今の服装は、冒険者が着るような物だ。
ドロシーの髪もわざとボサボサにして、一般市民に紛れさせていた。
そうでもしないと町中をうろつけないのだが、驚いた事に慣れていた。
ロトナは買い食いをした事がなかったが、ドロシーは屋台を見掛けると
「ちょっと待っててね」
と買いに行くのだ。
「おまけしてもらっちゃった」
とまで言う。
「へー驚いたな。ドロシーは慣れてるんだね」
「うん。メイドさんとよく町に繰り出してたから」
町中に行くのは市民生活を知るためだと言う。
城にばかりいると世間ずれするからと。
中々活発に活動していたようで、着こなしも普通の町娘にしか見えない。ただ綺麗すぎるから下町には行けない。襲われ拐われるからだ。
今のドロシーの服の着こなし具合は俺と普通の恋人にしか見えないので気が楽だった。武器は剣をちゃんと身につけているので、下手に絡まれる事はなかった。夕方近いのでタニーニャに教えられた見晴らしの良い塔の上に居る。ドロシーを抱いて飛んで行き、今は塔のてっぺんだ。
勝手に上がっているので誰もいない。特に何もなく喋らず黙って手を繋ぐ。景色をただ見ている。奇麗な景色だ。どちらからともなく口づけをし、ネックレスを出して首に付ける。
語る必要すらなかった。ただお互いを理解しただけだ。
でも、ドロシーが目を拭っていたのを見逃さない俺である。俺はそっと指でドロシーの涙を拭うと顔を赤くして照れていた。
そして一分間の夜空の散歩を愉しんだ。
勿論お姫様を~お姫様抱っこでね。
俺は誰かを抱いて飛行魔法を使ったのが初めてで、その事をドロシーに伝えた。
「じゃあランスの初めての飛行デートは私なんだね」
ドロシーは目を輝かせ、俺が多くの女の子とデートしていても、自分との事が初体験と言う事がとても嬉しかったようです。
「ああ私が初めてだなんてうふふ」「よし」
とかの、ドロシーは心の声を口走っていた。
可愛いらしい一面もあるのだなと意外な一面を見れたので俺は嬉しかった。
夜になったのでもう一度飛行を行い、宿の近くまで行き、宿の食堂で二人で食事を頂く事にし、デートも終盤だ。
ドロシーは庶民の普通の料理が食べたいと言うので、宿の併設の食堂での食事とした。それは美味しそうに、温かい料理だと唸りながら食べていたが、本当に王族か?と思うほど一般市民になっていたので、不思議な娘だなと見ていて楽しかった。
ロトナと同じで毒味が終わった冷めた料理が殆どだったと言うのだ。
宿の部屋に入るとドロシーは久し振りに心の底から楽しい思いをしたとそれは嬉しそうに話してくれた。
俺も楽しかったので、何故かドロシーを高い高いしてはしゃいでいた。
ドロシーはキョトンとしていたが可愛かったのでキスをして、愛を囁いた。
耳元でかなり恥ずかしい、気障な言葉を並べて、ドロシーがくねくねしているのを愉しんだ。
何を言ったかって?内緒です。と言うか恥ずかしくて公表できません!
夜も遅くなってきたのでこれから恋人の時間だ。
風呂の準備をすると、既に服を脱ぎ捨てて手で胸とか隠しているドロシーがいた。
「あ、あのわたしゅの体どうでしゅか?」
舌を噛んだのはご愛嬌かな。
俺は腕を掴みキスをして裸体をまじまじと見て
「綺麗だよ。気絶しそうな位に」
「良かった。あ、その、清めというのをして下さい」
そう言うと床に寝転がる
どうも誰かに清めの儀式の事を間違って聞いたようだが、優しく子供を洗うように丁寧に洗いましたよ。
頑張って息子を寝かしつけしているのを、ドロシーがチラ見していて、俺が気づいているのが分かると真っ赤になりながら
「あ、あのメイドから男の人は興奮するとあれがああなると聞いたのですが、私に魅力がないのでしょうか?確かにアリアの方が胸は大きいのですが。うう」
「君は魅力的すぎるよ。俺はね清めの儀式が、奴隷制度自体許せないんだ。だから興奮できないんだよ。俺はね、ドロシーを最後に清めの儀式を禁止しようと思うんだ。だから清めの儀式の清め納めかな」
「そうとは知らず、嫌な事をさせてしまいもうしーうごごご」
キスで先を言わせない
「気にしないで。それなりにドロシーの体を確認できたからさ。アリアやロトナと違い、何かして体を鍛えてるでしょ?」
「よく分かりましたね。ええ、内緒で剣を習っていたのですよ。マクギー殿の叔父上から。国元では剣姫って二つ名があったりするんですよ」
意外だった。剣は習っていないと聞いていたが今度手合わせして実力を見せてもらう事になった。
一緒にお風呂に入り、お互い体を拭き合い、お姫様抱っこでベットに運ぶ。
これから刻印を刻むとなり、最終確認をして頷くのでキスをして、優しく愛し始めると、何とロトナとアリアから、ドロシーに優しくしてあげてねと念話が来たりした。
ちょっとした驚きもあったが、お互いの愛を確かめ合い、彼女を胸に抱き寄せながら眠りについていったのだ。
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