異世界で穴掘ってます!

KeyBow

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第2章

遺品

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 リリアは泣き崩れていて、そっと抱きしめて背中を擦る。
 リリア「少しだけ胸を貸してください」 

 そう言って俺の胸で泣いていた。

 俺は黙ってぎゅっと抱きしめていたが暫くして落ち着いたようで

 リリア「あ、あの、ありがとうございました!分かっていて心の準備が出来てはいましたが、やっぱり泣いちゃいました」

 聡太「無理をしないでね。それより今後どうするの?俺は記憶がないし、幸恵さんの埋葬や遺品の整理も有るからね。どうやら俺と同じで異世界から来ていたのと、俺の同郷のようだ。もし向こうに戻れた時の為に髪を少し預かるね。せめて遺髪位は遺族に渡したいんだ」

 リリアは驚き

 リリア「えっ!お師匠様は勇者様だったのですか?」

 聡太「勇者の定義が分からないけど、この世界の住人ではないよ。異世界人が勇者ならそうだね」

 リリア「詳しくはまた教えて下さい。私はお師匠様に聡太様にお仕えして、ご寵愛を貰いなさいといわれてます。不束者ですがどうぞ宜しくお願いします」

 俺はね噎せた

 聡太「うおっ!いきなり寵愛って君の師匠は何者だったの?君のお師匠様の言いつけとはいえ、会ったばかりの男に寵愛をって普通じゃないでしょ?」

 リリア「確かに変ですよね。でも勇者様にお仕えさせて欲しいのは本気です。力にならせてください!」

 リリアの気迫に圧され頷いてしまった。

 聡太「俺って何ができると思う?」

 ステータスカードを渡すと

 リリア「職業からすると土魔法を使えるのではないでしょうか?」

 後で試す事とし幸恵さんを弔う準備をする事となり裏庭に向かう。裏庭に埋葬する事が決まっていたという。
 家はログハウスのような感じで、周囲の建物も殆どログハウスのような作りで煙突が特徴的な家だった

 あまり金銭的に余裕のある生活を送っていなかったという。墓を掘るのに人を雇う余裕がないそうだ。

 聡太「試しに俺の魔法で墓を掘ってみようか」

 リリア「ええ、やってみましょう!お願いします。お師匠様は勇者様にお願いすれば大丈夫とおっしゃっていましたからなんとかなると思いますよ!」

 俺は棺を十分に入れられる大きさの穴を想像しアースホールと念じてみると棺が十分に納まる見事な穴が空き、脇に掘った土がその形で盛られていた。

 リリア「うわー凄いですね。他の魔法も試してみましょうよ」

 そう言い各属性の初級魔法を簡単に教えられ、唱えてみるもファイヤーボールとアイスアローが出たがかなりしょぼく、牽制位にし使えないと言われた。ただ、アースホールは別格だと言われたが良くわからなかった。因みに土魔法の一番の初級魔法であるストーンショットは出ずにリリアが不思議そうにしていた。そして生活魔法なるものが使える事がわかり、リリアが大いに喜んでいた。驚いたのじゃなく、師匠の言う通りだったから喜んだのだ。

 俺は家の中で今日寝る寝床を準備していた。その間に村長にリリアが幸恵さんの死を報告しに行っていた。

 今日の夜ご飯ははリリアが作ってくれた。
 郷土料理というが中々美味しい。

 聡太「食事ありがとうね。とっても美味しいよ。これは食べた事が無い不思議な食感だね」

 リリアは褒められ照れていたが食べている時は心のここにあらずでため息ばかりだった。
 食後打ち合わせを行い、明日葬儀と埋葬を行い、その後隣街に向かう事とした。隣待と言っても歩いて半日の距離にある街だ。そこの冒険者ギルドで依頼をこなし、当面冒険者としてやっていく事とした。お風呂は普段は湯浴みだそうだ。お湯を沸かしてタライに入れてそれで湯浴みをする。どうも俺の魔力はかなり強いらしく、滅多にお湯を入れない大きな樽のような浴槽に並々とお湯を入れられた。
 生活魔法にホットというお湯を出すのがあり、普通は何とか食器を洗えるレベルだが、俺のは日本の水道の蛇口を捻ったレベルが出て驚かれた。

 リリアにお願いをされたのはお師匠様の体をクリーンじゃなく、お湯で洗ってあげたいという。老人とはいえ、最後位綺麗に化粧をしてあげたいというので、一旦遺体を収納に入れ浴槽の床に柔らかいものをひいてそこに出してリリアにチェンジした。湯船に並々とお湯を入れていたのでそれを使い髪を洗ってれあげたりとしていた。遺体を綺麗にしてくれる業者が有るそうだが、やはりお金がないとの事でせめて自分の手で綺麗にしてあげたいと言う。
 俺は涙していた。この子の心はピュアで善良だと。

 聡太「幸恵さんは幸せだな。こんなに心を込めてくれるんだもの」

 俺は綺麗になった幸恵さんを収納に入れ、遺体を安置していた場所に移して休む事にした。
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