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第48話 ある日のイレギュラーエンカウント

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 今日は日曜日。
 俺は今、スマホデビューするべく市内の家電量販店や携帯ショップが集まるショッピングモールに向かっている。

 ことの始まりは・・・・土曜日にダンジョンを引き上げ、ショッピングセンターでの買い物も無事に終わり、1年生だと分かった二人と別れるときになって、改めてLINE交換の話が出た。

「先輩、LINE交換しませんか?」と1年生の女子がにこやかに提案してきた・・・けれども俺は携帯やスマホを持っていないから、どう返事をしたらいいのか一瞬戸惑った。

「ごめん、固定電話の番号でよいかな?」

「えっ、まさかスマホ持ってないんですか?」

 大きな目を見開き驚かれると、隣にいた友理奈まで驚いていた。

「銀治、今まで知らなかったけど・・・持ってなかったのね。てっきり壊れるといけないから部屋に置いてきてると思ってたわ」

 3人が驚きの目を向けてきた。

 友理奈は同じクラスメイトでパーティーメンバーでもあるから、これまで何かあれば直接声をかけてたし、スマホを持ってなくても不便は感じなかったんだけど・・・さすがに、こうして同じハンターとして協力することが増えた今は、連絡手段がないのはまずいのかもと思えてきた。

 それで、俺は決断する。

「じゃあ、明日スマホを買いに行こうかな」

「やっと時代に追いついたね」

 友理奈は微笑んでいたが、残念ながら友理奈は所用で会えないのでボッチで買いに行かないとだ。

 だがこうして遅ればせながらスマホデビューを果たすことになったんだ。

 ・
 ・
 ・

 そして市内の家電量販店に俺は立っていた。最初DOCODAYOの店に行ったんだ。空いていて良かったと思ったら予約制で、今日は予約が埋まっているから改めて予約からと、スマホから出来ますと言われた。持っていないと言えずじまいで、さいですかと出てきた。家電量販店にスマホメーカーのノボリがあるので、ひょっとしてと思って足を運んだんだ。

 スマホを買いに来たはいいものの、どれがいいかさっぱりわからず店員に勧められるがままに契約しようとしたその時――「先輩、昨日はありがとうございました」

 背後から声をかけられた。

 振り返ると、昨日助けた1年生の背の高い男の子がそこに立っていた。女が着ることがあるような中性的な服を着ているが、やはりどう見ても男子にしか思えない。女の子にしては声も低いし。

 思わず「ああ、昨日の…」と返すと、「どうしたんですか?」と尋ねられる。

「スマホを買いに来たんだけど、よくわからなくてさ」

 そうと告げると、俺が契約しようとしていた機種をチラリと見ると、ちょっと待ったとばかりに首を振った。

「先輩、ハンター用じゃないとダメっすよ。普通のスマホじゃダンジョンでさくっと壊れちゃいますから」

「ああ、そうなのか・・・」

 知らないのもあり素直に驚いていると、彼の言葉に気づいた店員さんが慌てた。

「失礼しました」  

 そう言って、ハンター仕様のゴツいスマホをいくつか持ってきた。確かに普通のより頑丈そうだし、ダンジョン内でも使いやすそうだ。

 こういうのがあるなんて知らなかった。

「俺、スマホのこと知らなくて助かったよ」
「いいえ、大したことじゃないし、気にしないでください!」

 お礼を言うと彼はと得意げにうなずいてくれたが、きっと呆れていることだろう。

「で、俺のことは置いといて君はどうしたの?」

 彼が少し恥ずかしそうにしながら答えた。

「偶々先輩を見かけたから声をかけました。あの・・・隣にある服屋に買い物に来ていたんです」

 すると、持っていた袋を見せた。俺も納得して「そうか」とうなずく。

 昼時だったこともあり、この後の予定は特にないというので、スマホの購入に付き合ってもらい、その後ショッピングモール内のボイゼリアで軽く食事でもしようと誘った。

 ・
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 ・
 無事にスマホをゲットし食事をするのに店に入り席に着く。
 少し当たり障りのない話をしていたところ突然、彼が真顔でとんでもないことを聞いていた。

「先輩もやっぱり、胸の大きい子が好きなんですか?」

 思わず飲みかけの水を吹きそうになった。変な質問だなと思いつつも、正直に自分の好みを話してみる。

「うーん、こだわりはないかな。見ているだけなら大きい子が気になるかな。うん、どっちかと言うと見るだけならさ。でも、好きな子の大きさが好みの大きさかな・・・」

 彼がやけにうれしそうに笑う。

「やっぱり先輩はそうなんですね!」

 何が面白いのか笑っていた

 それにしても、彼の言動には妙に引っかかるところがあったが、じゃあ君の好みは?と聞き返せなかった。




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