45 / 76
第45話 5階層の賑わい
しおりを挟む
5階層に降りると周囲は賑やかだった。この階層は、植物系と昆虫型の魔物が多く、魔石の価値も一つ8,000円と高めだから、冒険者たちに人気のエリアとなっている。
また、先ほどすれ違った男たち4人組は、4階層から戻ってきた。
「いねぇじゃねえかよ!ドンピシャでリポップしてたはずなのに誰だよ!」
悔しそうに呟いていた。狙っていた魔物を他の冒険者に先取りされたのだろうか。
(ごめんなさい、それ俺です・・・)
5階層の魔物はそれほど強くないが、数が多いので気を抜くと意外に苦戦することもある。
しかも今回はというか、この階層は人が多いので、戦利品の取り合いになりそうだ。そんなことを考えながら階段を下りて直ぐに魔物の気配を探っていると、ふと視界に見覚えのある姿が映り、同じ学校の1年生か2年生の男子と女子の2人組が転移してきているのが目に入った。
「あの子たち、どこかで見た気がするけど…」
友理奈と同じように見たことがある気がすると話しながらも、後ろ姿だけでははっきりわからない。しかも1年か2年生で小柄な女子を含めた2人だけでこの階層に挑むのは少し心配でもある。
俺たちは、彼女たちが向かった方向とは反対側にある6階層の階段を目指すルートに進むことにした。慎重に進みつつも、油断しないように辺りを警戒していると、不意に巨木にしか見えないトレントが立ちはだかり、枝葉を揺らしてこちらを睨んでいるのが見えた。
「気をつけて、あれはタフだから!」
俺の声に友理奈が構えを取り、俺も槍を手にしたその瞬間、背後からブンブンと羽音が響き、数匹の大型昆虫であるビーの一種が姿を現した。
俺の遠距離攻撃手段である槍を、まだ種類が分からないがビーに投げ、友理奈も遠距離攻撃として魔法を放つ。
接近したのはスルメイラがロングソードで倒していく。
また、トレントの枝葉による攻撃もスルメイラが弾き、俺と友理奈がトドメを担う感じになっている。
勿論倒さないとヤバそうな時はスルメイラも倒してくれるが、今はそこまでの状況ではない。
以前の俺なら失禁ものの魔物の数だが、落ち着いており槍が戻る前に接近したビーには、容赦なく振り回した盾による打撃で霧散させていく。
俺と友理奈の戦闘経験を積むためにスルメイラには魔法を控えてもらっているが、彼女の顔に焦りや心配している感じは見られない。
5階層の半ばで狩りを続け、15時半になったのもありいよいよ階段の方へ向かうことにした。5階層のボスエリアにはトレント型かビー型の大型モンスターが現れることが多いと聞いていたので、俺たちは警戒しながら進む。
すると、階段付近に先客がいるのが見えた。先ほど見かけた同じ学校の男子と小柄な女子の2人組みが、ボスである大型のトレントのツタに絡まれ、半ば捕らえられおり、もがいている。トレント型のボスが更にツタを伸ばし、まるで彼女たちを捕食しようとしているかのようだ。
「まずい、このままだと危ない!」
俺たちは急いで救出に向かうことにした。友理奈とスルメイラと共に、トレントのツタによる攻撃を避けつつ少しずつ距離を詰めていく。友理奈は勇敢に接近しながらも、ツタの攻撃を何とかかわし魔法を放つ。
友理奈には下がって支援をお願いし、俺が突撃して血路を開く行くと告げた。
スルメイラと武器を交換し、彼女はサポート役兼友理奈の護衛として俺の後方から槍を投げて援護してもらう。俺は剣を握りしめ、渾身の力でトレントの胴体を薙ぎ払い、次に突いていく。
ツタを次々に切り落としながら、3人で協力してトレントの動きを止めていく。友理奈は集中力を切らさずに冷静に立ち回り、スルメイラもその力強いサポートを続けた。最終的に俺たちの連携が功を奏し、トレントは大きな振動と共に倒れて霧散した。
「ありがとう・・・助かったわ!」
2人は無事に救出され、感謝の言葉を口にしてくれた。息をつきながら俺たちはお互いに目を見合わせ、うなずき合うが、二人共服がずたずたで、半裸状態であり、それに気がついた友理奈が俺の目に手を回して叫んだ。
「見ちゃだめ!」
また、先ほどすれ違った男たち4人組は、4階層から戻ってきた。
「いねぇじゃねえかよ!ドンピシャでリポップしてたはずなのに誰だよ!」
悔しそうに呟いていた。狙っていた魔物を他の冒険者に先取りされたのだろうか。
(ごめんなさい、それ俺です・・・)
5階層の魔物はそれほど強くないが、数が多いので気を抜くと意外に苦戦することもある。
しかも今回はというか、この階層は人が多いので、戦利品の取り合いになりそうだ。そんなことを考えながら階段を下りて直ぐに魔物の気配を探っていると、ふと視界に見覚えのある姿が映り、同じ学校の1年生か2年生の男子と女子の2人組が転移してきているのが目に入った。
「あの子たち、どこかで見た気がするけど…」
友理奈と同じように見たことがある気がすると話しながらも、後ろ姿だけでははっきりわからない。しかも1年か2年生で小柄な女子を含めた2人だけでこの階層に挑むのは少し心配でもある。
俺たちは、彼女たちが向かった方向とは反対側にある6階層の階段を目指すルートに進むことにした。慎重に進みつつも、油断しないように辺りを警戒していると、不意に巨木にしか見えないトレントが立ちはだかり、枝葉を揺らしてこちらを睨んでいるのが見えた。
「気をつけて、あれはタフだから!」
俺の声に友理奈が構えを取り、俺も槍を手にしたその瞬間、背後からブンブンと羽音が響き、数匹の大型昆虫であるビーの一種が姿を現した。
俺の遠距離攻撃手段である槍を、まだ種類が分からないがビーに投げ、友理奈も遠距離攻撃として魔法を放つ。
接近したのはスルメイラがロングソードで倒していく。
また、トレントの枝葉による攻撃もスルメイラが弾き、俺と友理奈がトドメを担う感じになっている。
勿論倒さないとヤバそうな時はスルメイラも倒してくれるが、今はそこまでの状況ではない。
以前の俺なら失禁ものの魔物の数だが、落ち着いており槍が戻る前に接近したビーには、容赦なく振り回した盾による打撃で霧散させていく。
俺と友理奈の戦闘経験を積むためにスルメイラには魔法を控えてもらっているが、彼女の顔に焦りや心配している感じは見られない。
5階層の半ばで狩りを続け、15時半になったのもありいよいよ階段の方へ向かうことにした。5階層のボスエリアにはトレント型かビー型の大型モンスターが現れることが多いと聞いていたので、俺たちは警戒しながら進む。
すると、階段付近に先客がいるのが見えた。先ほど見かけた同じ学校の男子と小柄な女子の2人組みが、ボスである大型のトレントのツタに絡まれ、半ば捕らえられおり、もがいている。トレント型のボスが更にツタを伸ばし、まるで彼女たちを捕食しようとしているかのようだ。
「まずい、このままだと危ない!」
俺たちは急いで救出に向かうことにした。友理奈とスルメイラと共に、トレントのツタによる攻撃を避けつつ少しずつ距離を詰めていく。友理奈は勇敢に接近しながらも、ツタの攻撃を何とかかわし魔法を放つ。
友理奈には下がって支援をお願いし、俺が突撃して血路を開く行くと告げた。
スルメイラと武器を交換し、彼女はサポート役兼友理奈の護衛として俺の後方から槍を投げて援護してもらう。俺は剣を握りしめ、渾身の力でトレントの胴体を薙ぎ払い、次に突いていく。
ツタを次々に切り落としながら、3人で協力してトレントの動きを止めていく。友理奈は集中力を切らさずに冷静に立ち回り、スルメイラもその力強いサポートを続けた。最終的に俺たちの連携が功を奏し、トレントは大きな振動と共に倒れて霧散した。
「ありがとう・・・助かったわ!」
2人は無事に救出され、感謝の言葉を口にしてくれた。息をつきながら俺たちはお互いに目を見合わせ、うなずき合うが、二人共服がずたずたで、半裸状態であり、それに気がついた友理奈が俺の目に手を回して叫んだ。
「見ちゃだめ!」
32
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる