37 / 73
第37話 場違いな場所
しおりを挟む
アパレル店に到着すると俺はすぐに場違いなところに来たと、俺はが来ても良いようなところではない空気感を感じた。店内は洒落た雰囲気で、陳列されている服はどれもファッション雑誌に載っていそうなものばかり。おしゃれな若者や、明らかにファッションにこだわりを持つ大人たちが次々と服を試着している。
「うわ・・・」
思わず口をついて出た。こんなところで服を選ぶなんて、俺には荷が重い。でも、森雪さんが俺の手を引っ張りながら「さ、行こう」と言い、俺は完全に言いなり状態になった。
「こっちのコーナーがいいんじゃない?」と言って、森雪さんが服を見つくろい始めた。彼女はすでにこの店の常連のようで、手際よくおしゃれなシャツやジャケット、パンツを選び出す。何もわからない俺は、それをただ「はい、はい」と受け取るだけだった。
「これとか、すごく似合いそうじゃない?」
彼女が手に取ったのは、シンプルながらも洗練された白いシャツに、黒いスリムパンツのセット。確かに俺でも着こなせそうだ。
「確かに、悪くないかも・・・」と、少しだけ安心しかけたその時、店員が近寄ってきた。
「お客様、こちらのセットもお試しになってはどうでしょうか?」
そう言って、別の服を提案してきた。見ると、ちょっと派手な柄物のシャツに、グレーのテーラードジャケット、そしてデニムジーンズ。
「今年のトレンドです」
と店員さんが言い、いかにも今風な服を勧めてきた。
俺は正直、どちらを選べばいいか分からず困惑していた。森雪さんの選んだ服はシンプルで安心感があるが、店員さんの方は少し冒険的。そこで森雪さんが「どっちがいいかな?迷うね」と言うと、店員さんも「お似合いなので、ぜひ両方お試しください」とにこやかに提案してきた。
「え・・・両方?」俺はさすがに少し戸惑ったが、森雪さんが「両方試してから決めてみようよ」と言い、俺はその提案に従うことにした。
まずは店員チョイスの派手な柄物のシャツとグレーのテーラードジャケット、デニムジーンズを試着した。試着室から出ると、森雪さんが「すごく似合ってるよ!」と褒めてくれた。
次に、森雪さんが選んだシンプルな白シャツと黒いスリムパンツのセットを試着した。これもまた、森雪さんが「やっぱりこっちも似合う!」と褒めてくれた。
「どうする?」と聞かれた俺は、少し考えた後、「お金は大丈夫だから、せっかくだし両方買うか!」と気を良くして決断した。店員さんに「これ、このまま着ていきます。そちらの服も袋に入れてください」と頼んだ。店員さんは「では、着てこられた服も包んでおきますね」と言って、元の服を丁寧に包んでくれた。
服を買った後、森雪さんと食事をすることにした。ショッピングモールの中にあるカフェで、軽くランチを楽しむ。俺はカレーライス、森雪さんはパスタを注文した。カレーライス好物だけどやっちまった!食事中森雪さんはずっとニコニコしながら「新しい服、楽しみだね」と話しかけてきたのが幸いだ。
「うん・・・まぁ、せっかくだし着てみるよ」
などと答えるが、内心は少し不安だった。自分にあの派手な柄シャツが似合うのかどうか、全く自信がない。
食事の後、時間もいい頃合いになり武器屋に戻って盾と槍を受け取ることにした。店に着くと店員が俺たちを見て微笑む。
「お待ちしておりました」
丁寧に包まれた商品を渡してくれた。透明なアクリル盾はずっしりしているが、俺にとってはそれほど負担にはならない。
盾は森雪さんのも一緒に包んでもらい、武器も俺が持つ。
「槍も素晴らしいですね。何度投げても戻ってくる性能は、戦闘において大きな利点になりますよ」
「すごい武器を手に入れたね」
店員が言うと、森雪さんもそれを見て感心していた。
武器を受け取ってから二人で駅へ向かう道すがら、森雪さんが微笑んでいたので安心した。最近ふさぎ込んでいるように感じていて心配だった。
「今日は楽しかったね」
「うん、いろいろあったけど楽しかったよ」
俺も少しホッとした。
電車に乗り込み家に帰る頃にはすっかり日が暮れていた。
「ダンジョンに行く時以外もこうやって一緒に行こうね」
森雪さんは満足そうに笑いながら言ってくれ、俺はその言葉を聞いてこれからの冒険が少しだけ楽しみになっていた。
「うわ・・・」
思わず口をついて出た。こんなところで服を選ぶなんて、俺には荷が重い。でも、森雪さんが俺の手を引っ張りながら「さ、行こう」と言い、俺は完全に言いなり状態になった。
「こっちのコーナーがいいんじゃない?」と言って、森雪さんが服を見つくろい始めた。彼女はすでにこの店の常連のようで、手際よくおしゃれなシャツやジャケット、パンツを選び出す。何もわからない俺は、それをただ「はい、はい」と受け取るだけだった。
「これとか、すごく似合いそうじゃない?」
彼女が手に取ったのは、シンプルながらも洗練された白いシャツに、黒いスリムパンツのセット。確かに俺でも着こなせそうだ。
「確かに、悪くないかも・・・」と、少しだけ安心しかけたその時、店員が近寄ってきた。
「お客様、こちらのセットもお試しになってはどうでしょうか?」
そう言って、別の服を提案してきた。見ると、ちょっと派手な柄物のシャツに、グレーのテーラードジャケット、そしてデニムジーンズ。
「今年のトレンドです」
と店員さんが言い、いかにも今風な服を勧めてきた。
俺は正直、どちらを選べばいいか分からず困惑していた。森雪さんの選んだ服はシンプルで安心感があるが、店員さんの方は少し冒険的。そこで森雪さんが「どっちがいいかな?迷うね」と言うと、店員さんも「お似合いなので、ぜひ両方お試しください」とにこやかに提案してきた。
「え・・・両方?」俺はさすがに少し戸惑ったが、森雪さんが「両方試してから決めてみようよ」と言い、俺はその提案に従うことにした。
まずは店員チョイスの派手な柄物のシャツとグレーのテーラードジャケット、デニムジーンズを試着した。試着室から出ると、森雪さんが「すごく似合ってるよ!」と褒めてくれた。
次に、森雪さんが選んだシンプルな白シャツと黒いスリムパンツのセットを試着した。これもまた、森雪さんが「やっぱりこっちも似合う!」と褒めてくれた。
「どうする?」と聞かれた俺は、少し考えた後、「お金は大丈夫だから、せっかくだし両方買うか!」と気を良くして決断した。店員さんに「これ、このまま着ていきます。そちらの服も袋に入れてください」と頼んだ。店員さんは「では、着てこられた服も包んでおきますね」と言って、元の服を丁寧に包んでくれた。
服を買った後、森雪さんと食事をすることにした。ショッピングモールの中にあるカフェで、軽くランチを楽しむ。俺はカレーライス、森雪さんはパスタを注文した。カレーライス好物だけどやっちまった!食事中森雪さんはずっとニコニコしながら「新しい服、楽しみだね」と話しかけてきたのが幸いだ。
「うん・・・まぁ、せっかくだし着てみるよ」
などと答えるが、内心は少し不安だった。自分にあの派手な柄シャツが似合うのかどうか、全く自信がない。
食事の後、時間もいい頃合いになり武器屋に戻って盾と槍を受け取ることにした。店に着くと店員が俺たちを見て微笑む。
「お待ちしておりました」
丁寧に包まれた商品を渡してくれた。透明なアクリル盾はずっしりしているが、俺にとってはそれほど負担にはならない。
盾は森雪さんのも一緒に包んでもらい、武器も俺が持つ。
「槍も素晴らしいですね。何度投げても戻ってくる性能は、戦闘において大きな利点になりますよ」
「すごい武器を手に入れたね」
店員が言うと、森雪さんもそれを見て感心していた。
武器を受け取ってから二人で駅へ向かう道すがら、森雪さんが微笑んでいたので安心した。最近ふさぎ込んでいるように感じていて心配だった。
「今日は楽しかったね」
「うん、いろいろあったけど楽しかったよ」
俺も少しホッとした。
電車に乗り込み家に帰る頃にはすっかり日が暮れていた。
「ダンジョンに行く時以外もこうやって一緒に行こうね」
森雪さんは満足そうに笑いながら言ってくれ、俺はその言葉を聞いてこれからの冒険が少しだけ楽しみになっていた。
42
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!
酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。
スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ
個人差はあるが5〜8歳で開花する。
そのスキルによって今後の人生が決まる。
しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。
世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。
カイアスもスキルは開花しなかった。
しかし、それは気付いていないだけだった。
遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!!
それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!
世界中にダンジョンが出来た。何故か俺の部屋にも出来た。
阿吽
ファンタジー
クリスマスの夜……それは突然出現した。世界中あらゆる観光地に『扉』が現れる。それは荘厳で魅惑的で威圧的で……様々な恩恵を齎したそれは、かのファンタジー要素に欠かせない【ダンジョン】であった!
※カクヨムにて先行投稿中
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる